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第16章 (3)ヴァロンside
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しおりを挟む「……なんか。
プレゼント貰ってんの俺の方みたいじゃん」
心の奥底から幸せが溢れて、表情が緩む。
そっと抱き返してくれるアカリの温もりが、心地いい。
「いいの!
誕生日も、結婚記念日も二人分お祝いしよ?
……ね?ヴァロンは私にしてほしい事ない?」
腕の中で響く嬉しい言葉。
彼女に導かれる様に、俺も素直になってしまう。
「……手料理が、食べたい」
「!……え?」
「俺、アカリの手料理が食べたい。
任務中、食事の度に……ずっとそう思ってた」
俺の言葉に、顔をあげたアカリの頬がみるみる内にピンク色に染まって……。
「っ……もうっ。
そんな、可愛くて嬉しいお願い……反則ッ」
照れた表情を隠す為に、また俺の胸に顔を埋め込んで恥ずかしがる。
この初々しい反応に、いつも骨抜きだ。
「……じゃあさ、一緒に料理しよっか。
アカリと居られる時間、一分一秒も無駄にしたくねぇ」
「!……それ、楽しそう。賛成!
……あ、でも。ちょっと待って!」
俺の提案を嬉しそうに賛成したと思いきや、アカリは離れて自分の机の方へ駆けて行く。
首を傾げて見つめていると、カメラを手に彼女は微笑んだ。
「その姿のヴァロン、撮らせてほしいなぁ?」
遠慮がちにモジモジしながら、俺を上目遣いで見つめるアカリ。
そんな可愛い表情で好きな人におねだりされて、断る男がいるんだろうか?
「……いいよ。
いくらでも、どうぞ?」
応えてやりたいと、思った。
今までも、普段も……。
俺はたくさん彼女に我慢をさせてきたんだ。
俺の目の届くところにいる限り、手の届く場所にいる限りは、この笑顔を必ず守ってやりたい。
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