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第16章 (1)ヴァロンside
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しおりを挟むもしアランがシュウ達に何かしていたら、俺はきっと奴を許せなかった。
……でも。
俺の中でアランに感じた”違和感”が胸をくすぶる。
出来れば、もう会いたくない。
何故だかそう感じる自分が分からなくて、通信機をギュッと握り締めていると……。
「ヴァロン?……どうしたの?」
いつの間にか傍に来ていたアカリが、心配そうな表情で俺を覗き込んでいた。
「難しい顔して、何かあったの?」
通信機を持つ俺の手を両手で包んでくれる、暖かい彼女の温もり。
俺の大切なアカリ。
……帰って、きたんだ。
もう、絶対に離れたりしない。
ずっとアカリの笑顔の傍に居られるんだ。
「……何でもないよ」
俺はアカリの手を引き寄せてそっと口付けると、通信機を机に置いて彼女を抱き締めた。
程よい柔らかい身体と、アカリから香る匂いが、俺に安らぎをくれると同時に……男の欲を生む。
「……俺達も寝るか?
アカリも疲れてるだろ?」
「うん。……っ。
あの、ね……。い、一緒に寝たい」
何気無い、深い意味は絶対にない純粋なアカリの言葉。
そんな言葉や、照れながら見上げて訴える仕草の一つ一つに欲情する汚い俺。
世の中の夫婦が産後どの位で妻を抱くのか知らないけど、まだヒナタに授乳しているアカリにこんな気持ちになる自分が情けなくなる。
ヒナタを身籠っていると知ってから長期任務が明ける今日まで、不思議とそういう欲求は起こらなかったのに……。
きっとアカリを求めたくなってるのは、俺の心がアランの一件で不安定になっているからだ。
……もう、嫌だ。
そんな気持ちを埋める為に、久々に会えたアカリを抱きたくない。
「ん、わかった。一緒に寝よ」
俺の笑顔と返答に嬉しそうに微笑む彼女と、部屋の明かりを消すとベッドに横になった。
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