夢の言葉と陽だまりの天使(下)【続編③】

☆リサーナ☆

文字の大きさ
上 下
63 / 151
第14章 (2)シュウside

2-1

しおりを挟む
【自宅/自室】

「……はい。そうですか、分かりました。
では、引き続き調査をお願いします」

調査員からの報告を受け、通信を切った通信機を机の上に置くと私はその横にある雑誌や新聞を見て苦笑いを零す。


「全く……。
君はこの任務中、何人の女性に口説かれてるんですか?」

ヴァロンがアラン様の長期任務に行って、一年が過ぎた。
彼自身から一度も連絡や報告はないが、こういった長期任務の場合はどの配達人であれ調査員が必ず付き、その者が定期的に私に報告を上げてくる。

今日の報告でもヴァロンは順調。
最終契約先である社長とも無事に交渉を進めているようだ。
ここまでこれば、きっと彼は問題ない。
あと二ヶ月もすれば契約を成立させ帰ってくるだろう。


……しかし。
私の中ではいくつか問題に思う事があった。


「……あらあら。
ヴァロンさんは相変わらずモテモテですね。」

「!……ホノカさん」

私が仕事机に向かいヴァロンの記事を見ていると、お茶を運んで来てくれたホノカさんがくすくすと微笑いながら言った。


……そう。
これがその問題の一つ。

ヴァロンは任務に行くと必ずと言っていい程に口説かれる。
日数の続く任務の時は尚更。
時に、女性だけではなく同性からも言い寄られていると報告を受けた事もある。

今回の長期任務も、まあ一年がかりとなればまたそんな報告があると覚悟はしていたが……。
アラン様の任務に行ってから受けた報告は、今までで過去最多。
さすがのヴァロンも参っているのではないか、と心配だ。


「ヴァロンさん、アカリさんと結婚されてから更に素敵になりましたからね。
以前も魅力的でしたけど、今は落ち着いた大人の男性って感じで……」

「そうですね」

ホノカさんの意見に納得して私は微笑む。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

殺された伯爵夫人の六年と七時間のやりなおし

さき
恋愛
愛のない結婚と冷遇生活の末、六年目の結婚記念日に夫に殺されたプリシラ。 だが目を覚ました彼女は結婚した日の夜に戻っていた。 魔女が行った『六年間の時戻し』、それに巻き込まれたプリシラは、同じ人生は歩まないと決めて再び六年間に挑む。 変わらず横暴な夫、今度の人生では慕ってくれる継子。前回の人生では得られなかった味方。 二度目の人生を少しずつ変えていく中、プリシラは前回の人生では現れなかった青年オリバーと出会い……。

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

【完結保証】好きでもないなら婚約者のフリはやめてください

ネコ
恋愛
侯爵令嬢の私と伯爵令息ルイは子供の頃から婚約していた。 だが成人式直前、ルイは「本当は君を好きになれなかった」と告白。 さらに「他に愛している相手がいる」と勝手に破棄を宣言する。 誠意も何も感じられない嘘まみれの婚約に縛られていたなんて、こっちこそ御免被る。 失恋の痛みを振り払って新たな道を歩む私に、なぜかルイは焦り始めるが……今さら何を言われても心はもう戻らない。

御曹司の執着愛

文野多咲
恋愛
甘い一夜を過ごした相手は、私の店も家も奪おうとしてきた不動産デベロッパーの御曹司だった。 ――このまま俺から逃げられると思うな。 御曹司の執着愛。  

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない

ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。 既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。 未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。 後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。 欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。 * 作り話です * そんなに長くしない予定です

「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。  しかも、定番の悪役令嬢。 いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。  ですから婚約者の王子様。 私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。

逆行令嬢の反撃~これから妹達に陥れられると知っているので、安全な自分の部屋に籠りつつ逆行前のお返しを行います~

柚木ゆず
恋愛
 妹ソフィ―、継母アンナ、婚約者シリルの3人に陥れられ、極刑を宣告されてしまった子爵家令嬢・セリア。  そんな彼女は執行前夜泣き疲れて眠り、次の日起きると――そこは、牢屋ではなく自分の部屋。セリアは3人の罠にはまってしまうその日に、戻っていたのでした。  こんな人達の思い通りにはさせないし、許せない。  逆行して3人の本心と企みを知っているセリアは、反撃を決意。そうとは知らない妹たち3人は、セリアに翻弄されてゆくことになるのでした――。 ※体調不良の影響で現在感想欄は閉じさせていただいております。 ※こちらは3年前に投稿させていただいたお話の改稿版(文章をすべて書き直し、ストーリーの一部を変更したもの)となっております。  1月29日追加。後日ざまぁの部分にストーリーを追加させていただきます。

処理中です...