夢の言葉と陽だまりの天使(下)【続編③】

☆リサーナ☆

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第14章 (2)シュウside

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【自宅/自室】

「……はい。そうですか、分かりました。
では、引き続き調査をお願いします」

調査員からの報告を受け、通信を切った通信機を机の上に置くと私はその横にある雑誌や新聞を見て苦笑いを零す。


「全く……。
君はこの任務中、何人の女性に口説かれてるんですか?」

ヴァロンがアラン様の長期任務に行って、一年が過ぎた。
彼自身から一度も連絡や報告はないが、こういった長期任務の場合はどの配達人であれ調査員が必ず付き、その者が定期的に私に報告を上げてくる。

今日の報告でもヴァロンは順調。
最終契約先である社長とも無事に交渉を進めているようだ。
ここまでこれば、きっと彼は問題ない。
あと二ヶ月もすれば契約を成立させ帰ってくるだろう。


……しかし。
私の中ではいくつか問題に思う事があった。


「……あらあら。
ヴァロンさんは相変わらずモテモテですね。」

「!……ホノカさん」

私が仕事机に向かいヴァロンの記事を見ていると、お茶を運んで来てくれたホノカさんがくすくすと微笑いながら言った。


……そう。
これがその問題の一つ。

ヴァロンは任務に行くと必ずと言っていい程に口説かれる。
日数の続く任務の時は尚更。
時に、女性だけではなく同性からも言い寄られていると報告を受けた事もある。

今回の長期任務も、まあ一年がかりとなればまたそんな報告があると覚悟はしていたが……。
アラン様の任務に行ってから受けた報告は、今までで過去最多。
さすがのヴァロンも参っているのではないか、と心配だ。


「ヴァロンさん、アカリさんと結婚されてから更に素敵になりましたからね。
以前も魅力的でしたけど、今は落ち着いた大人の男性って感じで……」

「そうですね」

ホノカさんの意見に納得して私は微笑む。
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