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第14章 (1)ユイside
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【小さな島/丘にある墓地】
「わぁ~綺麗な虹!」
蒸し暑い夏の午後。
朝から降っていた雨が止んで、晴れ渡った空に輝く美しい虹。私は思わず目を奪われて暫く空を見上げていた。
「ヴァロンさんも、見てるかな。
ね?……お母さん」
視線を目の前のお墓に移して、私は微笑む。
”リディアの墓”と書かれたそのお墓には、私を産んですぐに亡くなった本当のお母さんが眠っている。
私を育ててくれた診療所の先生と奥さんが実の両親でない事は、物心付いた時から知っていた。
二人は幼い頃から私に包み隠さず、分かりやすく色々話してくれて、とても大切に育ててくれた。
最初は、その真実を理解するのは難しかったけど……。
リディア母さんが私に遺してくれた贈り物や日記から、たくさんの深い愛と想いを貰って、自分が生まれてきた理由を次第に受け入れる事が出来た。
毎年、誕生日に私に届く贈り物。
贈り主は”夢の配達人、リディア”と書かれていた。
先生達が話してくれていたから、私には実母からだと分かったけど……。
きっとリディア母さんは私の為に、一生母親だと名乗るつもりはなかったんだと思う。
”お誕生日おめでとう!”って、毎年プレゼントと一緒に添えられた手書きのメッセージ。
何故か捨てられなくて、大切に箱に溜めていたそのメッセージカードを今改めて読み返すと……。
その短い文字の中に込められたたくさんの気持ちを考えて、涙が溢れて止まらなくなる。
私が小さな頃は、おもちゃやぬいぐるみ、中でも多かったプレゼントは絵本だった。
その絵本には必ず素敵な王子様が出て来て、お姫様やヒロインの女の子を格好良く助けてくれるの。
きっと、リディア母さんの大好きなお話だったんだよね。
「わぁ~綺麗な虹!」
蒸し暑い夏の午後。
朝から降っていた雨が止んで、晴れ渡った空に輝く美しい虹。私は思わず目を奪われて暫く空を見上げていた。
「ヴァロンさんも、見てるかな。
ね?……お母さん」
視線を目の前のお墓に移して、私は微笑む。
”リディアの墓”と書かれたそのお墓には、私を産んですぐに亡くなった本当のお母さんが眠っている。
私を育ててくれた診療所の先生と奥さんが実の両親でない事は、物心付いた時から知っていた。
二人は幼い頃から私に包み隠さず、分かりやすく色々話してくれて、とても大切に育ててくれた。
最初は、その真実を理解するのは難しかったけど……。
リディア母さんが私に遺してくれた贈り物や日記から、たくさんの深い愛と想いを貰って、自分が生まれてきた理由を次第に受け入れる事が出来た。
毎年、誕生日に私に届く贈り物。
贈り主は”夢の配達人、リディア”と書かれていた。
先生達が話してくれていたから、私には実母からだと分かったけど……。
きっとリディア母さんは私の為に、一生母親だと名乗るつもりはなかったんだと思う。
”お誕生日おめでとう!”って、毎年プレゼントと一緒に添えられた手書きのメッセージ。
何故か捨てられなくて、大切に箱に溜めていたそのメッセージカードを今改めて読み返すと……。
その短い文字の中に込められたたくさんの気持ちを考えて、涙が溢れて止まらなくなる。
私が小さな頃は、おもちゃやぬいぐるみ、中でも多かったプレゼントは絵本だった。
その絵本には必ず素敵な王子様が出て来て、お姫様やヒロインの女の子を格好良く助けてくれるの。
きっと、リディア母さんの大好きなお話だったんだよね。
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