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第13章 (3)ヴァロン(マオ)side
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***
……
…………。
「……私の、負け。……だな」
レースが終わり、暫く窓の外を眺めていたロイス様が呟いた。
……けど。
俺にはやはりリディアのように、雨上がりの空に虹を架ける事が出来ない。
「契約の話を、聞こう。後日……」
「いえ。
勝負は、僕の負けです」
「!……なに?」
俺は椅子から立ち上がると、こっちを見て顔をしかめるロイス様の隣へ行き、大きな窓ガラスの外を指差した。
その先にあるのは、レースの結果が映し出された掲示板。
そこには、まだレース結果が確定しておらず……。
”審”という文字が付いている。
これは、審議の”審”。
レース中になんらかの問題があり、この勝負が正当なものでなかった時に映し出される文字。
つまり、このレースには何らかの問題が起きていた。
「……レインボーデイは、降着になります。
その結果、繰り上がりでキサラギの勝ちです」
「!?……」
俺の目には見えていた。
素晴らしい末脚で追い込みを見せてくれたレインボーデイが、その凄まじさのあまりに他馬に接触していた瞬間を……。
悔しいが……。
アクシデントは、つきものだ。
頑張って走ってくれたレインボーデイに罪はない。
それでも結果が全て……。俺の、負けだ。
『レース結果が確定致しました!
1着はキサラギ!
レインボーデイは素晴らしい末脚を見せてくれましたが……』
掲示板に確定したレース結果が映し出されて、実況者の言葉と観客の歓声が場内に響いている。
「……。
では、契約の話は……諦めるのかね?」
ロイス様が、呟くように言った。
……。
諦める?
……まさか。
「……いえ、諦めません」
俺はロイス様を見て微笑んだ。
……
…………。
「……私の、負け。……だな」
レースが終わり、暫く窓の外を眺めていたロイス様が呟いた。
……けど。
俺にはやはりリディアのように、雨上がりの空に虹を架ける事が出来ない。
「契約の話を、聞こう。後日……」
「いえ。
勝負は、僕の負けです」
「!……なに?」
俺は椅子から立ち上がると、こっちを見て顔をしかめるロイス様の隣へ行き、大きな窓ガラスの外を指差した。
その先にあるのは、レースの結果が映し出された掲示板。
そこには、まだレース結果が確定しておらず……。
”審”という文字が付いている。
これは、審議の”審”。
レース中になんらかの問題があり、この勝負が正当なものでなかった時に映し出される文字。
つまり、このレースには何らかの問題が起きていた。
「……レインボーデイは、降着になります。
その結果、繰り上がりでキサラギの勝ちです」
「!?……」
俺の目には見えていた。
素晴らしい末脚で追い込みを見せてくれたレインボーデイが、その凄まじさのあまりに他馬に接触していた瞬間を……。
悔しいが……。
アクシデントは、つきものだ。
頑張って走ってくれたレインボーデイに罪はない。
それでも結果が全て……。俺の、負けだ。
『レース結果が確定致しました!
1着はキサラギ!
レインボーデイは素晴らしい末脚を見せてくれましたが……』
掲示板に確定したレース結果が映し出されて、実況者の言葉と観客の歓声が場内に響いている。
「……。
では、契約の話は……諦めるのかね?」
ロイス様が、呟くように言った。
……。
諦める?
……まさか。
「……いえ、諦めません」
俺はロイス様を見て微笑んだ。
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