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第13章 (1)ヴァロン(マオ)side
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しおりを挟む「マオ、準備は整ったか?始めるぞ」
「……はい、アラン様」
会議室の扉がガチャッと開きアランが入ってくる。
俺はなんとかマオに戻ると、震えかけた資料を配る手と心を落ち着けて微笑む。
すると……。
そんな俺を励ますように、窓から差し込む春の陽射しが会議室を明るく照らしてくれた。
「っ……」
思わず窓の外を見ると、陽の光を浴びた桜の花びらが可愛らしく輝いて、花吹雪となって舞っている。
”頑張って!”って、聴こえた気がした。
まるで、俺を応援してくれているように……。
暖かい陽だまりが包んでくれて、俺を穏やかな気持ちにしてくれる。
「……。
真っ直ぐ、最短で帰る」
気付いたら、俺はそう小さく呟いていた。
「マオ、どうかしたか?」
「いえ、何でもありません。
……皆様、お待たせ致しました。
これより定例会議を始めます。ご着席下さい」
いつの間にかすっかり気持ちの落ち着いた俺は、微笑んでいつものように会議を進行した。
……。
結婚して初めての結婚記念日も、アカリの誕生日も、祝ってやれなかった。
桜の季節が来て、”また来年も来よう”って約束したお花見も叶えてやれなくて……。
初めてのお産も、アカリを独りにして……。
ヒナタの産声も聴いてやれなければ……。
生まれて来る瞬間も、傍で迎えてやれなかった。
アカリ、ヒナタ。
本当にごめんな。
長期任務を決めた時に、分かっていて覚悟していた筈だったのに……。
二人の写真を見たら、やっぱり寂しくなった。
でも。
くよくよしてる暇なんて、ないよな。
自分の信じる道を歩くと決めたじゃないか。
立ち止まらず、前に進め。
大切な家族の為に、俺は強くなる。
……
…………。
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