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第13章 (1)ヴァロン(マオ)side
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しおりを挟む【2月下旬/アルバートの別荘】
この別荘を訪れるのは、久し振りだ。
あの時は”バロン”、今回は”マオ”。
思えば仕事の時以外に来た事はない。
次来る時は、長期任務が終わりアカリとヒナタを迎えに行く時だと思っていた俺にとって、今回ここへ来たのは予定外の事。
今の俺の雇い主、アランが提案したせいだ。
……。
アカリが、この別荘内に居る。
そう考えるだけで心が揺れない筈がない。
仕事をしながらも、俺はいつだって彼女の事を捜してるんだから……。
でも、俺はそれをアランに悟られたくない。
そして……。
奴にアカリを絶対に見せたくないし、接触させたくもなかった。
……。
なんだか、嫌な予感がしたから……。
気にし過ぎかも知れない。
アカリの元婚約者という立場の奴に、嫉妬しているだけかも知れない。
だが、アランはやたらと俺をアカリの事で動揺させようとしてくるのが伝わってくる。
俺が滞在している奴の屋敷の使用人もそうだ。
アランが選んだ俺の専属の使用人”スズカ”。
黒い髪、黒い瞳の容姿。
少しドジで、でも頑張り屋な彼女は、俺に何度もアカリを思い出させた。
笑顔を見てしまったら、親しくなってしまったらマズいと思って冷たくしようとしたが……。
そこにも奴の策略があり、そうも出来ない。
あの屋敷は使用人への待遇が悪く、アランの思惑通りに彼女が俺を持て成す事が出来なければ、どうなるか分からなかった。
純情そうで、家族の為に働く健気な様子に、俺はアランの策略通りスズカの事を完全に無関心では出来ずにいる。
そんな彼女に”好き”だと、告白された時はさすがに参った。
アカリに泣かれてるみたいで、思わず動揺した。
”マオ”として過ごしている期間、アランに付いて色んな場所に行く度に女性関係が絡んできて正直勘弁してくれと思う日の連続。
この別荘を訪れるのは、久し振りだ。
あの時は”バロン”、今回は”マオ”。
思えば仕事の時以外に来た事はない。
次来る時は、長期任務が終わりアカリとヒナタを迎えに行く時だと思っていた俺にとって、今回ここへ来たのは予定外の事。
今の俺の雇い主、アランが提案したせいだ。
……。
アカリが、この別荘内に居る。
そう考えるだけで心が揺れない筈がない。
仕事をしながらも、俺はいつだって彼女の事を捜してるんだから……。
でも、俺はそれをアランに悟られたくない。
そして……。
奴にアカリを絶対に見せたくないし、接触させたくもなかった。
……。
なんだか、嫌な予感がしたから……。
気にし過ぎかも知れない。
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だが、アランはやたらと俺をアカリの事で動揺させようとしてくるのが伝わってくる。
俺が滞在している奴の屋敷の使用人もそうだ。
アランが選んだ俺の専属の使用人”スズカ”。
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そんな彼女に”好き”だと、告白された時はさすがに参った。
アカリに泣かれてるみたいで、思わず動揺した。
”マオ”として過ごしている期間、アランに付いて色んな場所に行く度に女性関係が絡んできて正直勘弁してくれと思う日の連続。
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