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第12章 (3)モニカside
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しおりを挟むアカリと一緒にバルコニーに通じる大きな窓ガラスに近付き、外の様子を伺う。
別荘の敷地内に止まる高そうな高級車。
アルバート様のものでも、私が知る親戚の物でもない。
間違いなくあれに乗っているのは、アラン様。
あんな高価な物を所有出来る程の人物なんだと、改めて思い知らされる。
アルバート様や私達の家よりも、上なんだと……。
……。
ヴァロンが相手の条件を飲んで従った理由が分かった気がした。
まだ跡を継いだばかりだと聞いたけど、きっと先代達を凌ぐ力を……アラン様は持ってる。
「っ……ヴァロンッ」
「!……え?」
アカリの声にハッとして外を見ると、運転手が開けた後部座席の扉から降りて来たのは……。
アラン様と”マオ”の姿をしたヴァロン。
その姿に驚く。
私が最後に見たのは”バロン”の時のヴァロン。
その時の姿とは、全く違う。
髪型や髪色だけじゃなくて、雰囲気も別人だ。
今日ここにヴァロンが来ると分かっているから彼だと分かるものの……。
町中で出会ったら、まず彼だと気付かない。
「ビックリだわ……。
ヴァロンの変装って本当にすごいのね。
……。っ……アカリ?」
私が驚きつつも感心しながらアカリに目を向けると……。
彼女の瞳から、涙が溢れて静かに頬をつたり落ちた。
「っ……ダメだね。
ヴァロンが、帰ってくる日までっ……。泣かないって、決めてた……のに……ッ。」
会いたくて会いたくて仕方なかったのだと……。
痛い位に伝わってくる、アカリの姿。
「……。
見なかった事にしてあげるわ」
必死に涙を止めようとするアカリにそう言って優しく肩を抱くと、彼女は暫く俯いたままだった。
……
…………。
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