夢の言葉と陽だまりの天使(下)【続編③】

☆リサーナ☆

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第12章 (2)モニカside

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「自分が楽しかったり、嬉しかったり。
例えば、美味しい物を食べたり。綺麗な景色を見た時……。
”この人と、共感したい”と、真っ先に思い浮かぶ人が自分にとっての1番大切な人だと思います」

「……」

「”好き”と言うのは、簡単です。
私は食べるのも”好き”ですしね?
でも、”特別な好き”は簡単には言えません」

黙って聞いている私に微笑むと、バロンは自分の手を自分の胸元に当てて目を閉じた。


「”特別な好き”は、言葉ではありません。
いつの間にか自分に宿り、とっさに溢れ出すものなんですよ?
ビックリ箱のように、自分でも驚く行動をしてしまうくらいにね?」


……。

そう言ったバロンを私は単純に素敵だと思ったわ。
でも、言われた意味を深く理解はしていなくて……。

その言葉が分かったのは、この直後。


使用人としてではなく、初めてあんな風に私に接してくれたバロンを私が”欲しい”とアカリに言った時。

”っ……ふざけないでッ!
バロンは、物じゃないわッ……!!”。

あんなに私のご機嫌を伺って笑顔だった彼女が、感情をむき出しにして本気で怒鳴った。

そして、アカリがさらわれた事を伝えた時。
バロンは、間違いなくヴァロンだった。
冷静で穏やかなバロンの仮面が外れて、血相を変えてアカリを助ける為に駆け出して行った。


”ビックリ箱のように、自分でも驚く行動をしてしまう”……。

ああ、こういう事なんだなぁ……。って、思った。
言葉よりも深い繋がりを2人に感じて、私は本当に羨ましかった。


〈回想終了〉
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