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第12章 (1)アルバートside
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【アランの会社/会議室】
この日はアラン君の持つ会社で、定期的な会議が開かれた。
半年前からアラン君の隣には常に”マオ”という人物がいる。
それが、ヴァロン君だ。
その姿を初めて見た時は驚いた。
普段の薄い栗毛色の髪と瞳を灰色の髪と瞳に変え、アラン君の家系に良く似せられたその姿。
夢の配達人ヴァロンの特技がいくら変装だと言っても、ここまで変わるものなのか……。と、目を疑った。
そして、何より……。
「あの……!ちょっと、いいかね?」
会議が終わり他の者達が退室するのを待っていた私は、残って片付けをしているヴァロン君に話しかけた。
すると、片付けをした手を止めヴァロン君は姿勢を正して私を見ると優しく微笑んだ。
「はい?アルバート様、お疲れ様です。
私に何か御用でしょうか?」
何より驚くのが、この口調と彼を纏う雰囲気。
口が悪く不良の様に何処か子供っぽい普段の彼とは一変して、真面目そうな誠実さが溢れた好青年。
黒ぶちの眼鏡の奥の穏やかな瞳。
とても良く調べてこの任務に臨んだのだろう。
今のヴァロン君は、アラン君の父親……。
つまり先代によく似ている。
私は先代の時からこの会社とは友好関係にあり、プライベートでも時々食事をしたりする仲だった。
ヴァロン君の”マオ”の姿は、若き日の先代の様で何処か懐かしい気持ちを思い出させてくれる。
「?……アルバート様?」
「!……あ、いや。すまない」
つい、思い出に浸り黙り込んでしまった。
私は軽く咳払いをし、他に人がいないのを確認するとヴァロン君に囁く様に口を開いた。
この日はアラン君の持つ会社で、定期的な会議が開かれた。
半年前からアラン君の隣には常に”マオ”という人物がいる。
それが、ヴァロン君だ。
その姿を初めて見た時は驚いた。
普段の薄い栗毛色の髪と瞳を灰色の髪と瞳に変え、アラン君の家系に良く似せられたその姿。
夢の配達人ヴァロンの特技がいくら変装だと言っても、ここまで変わるものなのか……。と、目を疑った。
そして、何より……。
「あの……!ちょっと、いいかね?」
会議が終わり他の者達が退室するのを待っていた私は、残って片付けをしているヴァロン君に話しかけた。
すると、片付けをした手を止めヴァロン君は姿勢を正して私を見ると優しく微笑んだ。
「はい?アルバート様、お疲れ様です。
私に何か御用でしょうか?」
何より驚くのが、この口調と彼を纏う雰囲気。
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黒ぶちの眼鏡の奥の穏やかな瞳。
とても良く調べてこの任務に臨んだのだろう。
今のヴァロン君は、アラン君の父親……。
つまり先代によく似ている。
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ヴァロン君の”マオ”の姿は、若き日の先代の様で何処か懐かしい気持ちを思い出させてくれる。
「?……アルバート様?」
「!……あ、いや。すまない」
つい、思い出に浸り黙り込んでしまった。
私は軽く咳払いをし、他に人がいないのを確認するとヴァロン君に囁く様に口を開いた。
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