夢の言葉と陽だまりの天使(下)【続編③】

☆リサーナ☆

文字の大きさ
上 下
1 / 151
第11章 (1)アカリside

1-1

しおりを挟む
【2月中旬/アルバート別荘/アカリの部屋】

「もう半年も身重の妻を放ったらかしなんて!
ヴァロンは一体何を考えてるんですの!」

椅子に座っていつもの様に編み物をしていると、遊びに来てくれたモニカが私の話を聞いて怒った様に声を上げる。


「モニカ、落ち着いて。
そんなに興奮するとお腹の赤ちゃんに良くないよ?」

私は、妊娠9ヶ月になった。
すっかり大きくなった自分のお腹を撫でながらモニカをなだめるように言うと、彼女は不機嫌そうな表情のままゆっくりと椅子に座る。
そんなモニカも現在妊娠5ヶ月。
安定期に入って体調も落ち着いた為、私の様子を気にして会いに来てくれたのだ。


「だって、いくら仕事で忙しいからって酷いじゃない。
会いに来れなくても、せめて電話や手紙くらい……」

私を気遣ってくれる優しいモニカ。

ヴァロンが長期任務に行って半年。
彼から、一度も連絡がない。


「お仕事だもん、仕方ないよ。
ヴァロンが元気なら……私は大丈夫」

そう言って、私は机の上にある新聞や雑誌をチラッと見た。
ローザ達に定期的に持って来てもらってるこれには、ヴァロンが今関わってるお仕事の記事が載っている。

今回の最新の記事もすごかった。
アラン様が持っている会社が、ずっと拒まれていた異国の大手企業と手を組む事が決まったって……。

それを成功させたのは、”アラン様の右腕”と呼ばれる男……マオ。
名前を変えてるけど、間違いなくヴァロンの事だ。


「ヴァロンはすごいなぁ……。
ホントに何でも出来ちゃうんだよね」

その場にいなくても分かる。
きっとみんな彼に魅了されて、周りが自然と動いて、どんな不利な状況もいつの間にか成功に導かれていく……。

ヴァロンの魔法で、キラキラと輝くんだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

平凡なる側室は陛下の愛は求めていない

かぐや
恋愛
小国の王女と帝国の主上との結婚式は恙なく終わり、王女は側室として後宮に住まうことになった。 そこで帝は言う。「俺に愛を求めるな」と。 だが側室は自他共に認める平凡で、はなからそんなものは求めていない。 側室が求めているのは、自由と安然のみであった。 そんな側室が周囲を巻き込んで自分の自由を求め、その過程でうっかり陛下にも溺愛されるお話。

後悔はなんだった?

木嶋うめ香
恋愛
目が覚めたら私は、妙な懐かしさを感じる部屋にいた。 「お嬢様、目を覚まされたのですねっ!」 怠い体を起こそうとしたのに力が上手く入らない。 何とか顔を動かそうとした瞬間、大きな声が部屋に響いた。 お嬢様? 私がそう呼ばれていたのは、遥か昔の筈。 結婚前、スフィール侯爵令嬢と呼ばれていた頃だ。 私はスフィール侯爵の長女として生まれ、亡くなった兄の代わりに婿をとりスフィール侯爵夫人となった。 その筈なのにどうしてあなたは私をお嬢様と呼ぶの? 疑問に感じながら、声の主を見ればそれは記憶よりもだいぶ若い侍女だった。 主人公三歳から始まりますので、恋愛話になるまで少し時間があります。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

皇帝陛下は身ごもった寵姫を再愛する

真木
恋愛
燐砂宮が雪景色に覆われる頃、佳南は紫貴帝の御子を身ごもった。子の未来に不安を抱く佳南だったが、皇帝の溺愛は日に日に増して……。※「燐砂宮の秘めごと」のエピローグですが、単体でも読めます。

拝啓 私のことが大嫌いな旦那様。あなたがほんとうに愛する私の双子の姉との仲を取り持ちますので、もう私とは離縁してください

ぽんた
恋愛
ミカは、夫を心から愛している。しかし、夫はミカを嫌っている。そして、彼のほんとうに愛する人はミカの双子の姉。彼女は、夫のしあわせを願っている。それゆえ、彼女は誓う。夫に離縁してもらい、夫がほんとうに愛している双子の姉と結婚してしあわせになってもらいたい、と。そして、ついにその機会がやってきた。 ※ハッピーエンド確約。タイトル通りです。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。

【コミカライズ&書籍化・取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。

ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの? ……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。 彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ? 婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。 お幸せに、婚約者様。 私も私で、幸せになりますので。

婚約破棄後のお話

Nau
恋愛
これは婚約破棄された令嬢のその後の物語 皆さん、令嬢として18年生きてきた私が平民となり大変な思いをしているとお思いでしょうね? 残念。私、愛されてますから…

【完結】似て非なる双子の結婚

野村にれ
恋愛
ウェーブ王国のグラーフ伯爵家のメルベールとユーリ、トスター侯爵家のキリアムとオーランド兄弟は共に双子だった。メルベールとユーリは一卵性で、キリアムとオーランドは二卵性で、兄弟という程度に似ていた。 隣り合った領地で、伯爵家と侯爵家爵位ということもあり、親同士も仲が良かった。幼い頃から、親たちはよく集まっては、双子同士が結婚すれば面白い、どちらが継いでもいいななどと、集まっては話していた。 そして、図らずも両家の願いは叶い、メルベールとキリアムは婚約をした。 ユーリもオーランドとの婚約を迫られるが、二組の双子は幸せになれるのだろうか。

処理中です...