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第1章(1)ツバサside
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「ツバサ、何処に行くの?
レノアーノ様の所へ、行ってあげなくていいの?」
心配して一緒に付いて来てくれたジャナフが、電車の正面の席で向かい合うように座っている俺に控えめな声で尋ねて来た。
そう、俺は今電車に乗ってある場所に向かっているが、そこはレノアーノが居るアッシュトゥーナ家ではない。別の場所だ。
俺はヴィンセント様からの電話でレノアの病気の事と、それによってサリウス様との婚約が白紙になり……下剋上も、もう行わなくてもいい事を告げられた。
ジャナフは全国的に報道されたニュースでそれを知って、ヴィンセント様からの電話の後に街で佇んでいた俺を見付けてくれて、ただ、抱き締めてくれた。
その温もりが、俺に力をくれた。
俺にはまだやるべき事がある、と気付かせてくれたんだ。
そうだ。俺にはまだやるべき事が……。俺だから、出来る事がきっとあるんだ。
「やるべき事があるんだ。
そして、それはきっとレノアを助ける道にも繋がると思う。
……付いて来てくれるか?俺と一緒に、居てほしい」
俺はジャナフの手をギュッと握り締めながら、自分の気持ちを伝えた。
すると初めは驚いたようにして頬を赤く染めたジャナフだけど、すぐに頷いて、笑ってくれた。
「もちろんだよ!!
僕はツバサを信じてる!何があっても一緒に居る!ずっと、僕はツバサの味方だからね!!」
心強い笑顔に、俺も微笑み返す事が出来た。
そして、思った。
「百点満点は、ジャナフの方だよ」
「え?」
「ジャナフとの出会いは、俺にとって百点満点だ」
「っ、」
「百点満点の……。いや、それ以上の親友だ」
「~~っ、ツバサ……!それくらいでいいよっ」
「え?なんか変な事、言ったか?」
目の前で真っ赤になった顔を伏せるジャナフを見て、俺は頭の中が?マークでいっぱいだった。
お世辞でもなく。
褒め過ぎでもなく。
本当に、ジャナフのおかげだ。
俺は恐れずに、"あの場所"へ向かう事が出来た。
……
…………。
「ツバサ、何処に行くの?
レノアーノ様の所へ、行ってあげなくていいの?」
心配して一緒に付いて来てくれたジャナフが、電車の正面の席で向かい合うように座っている俺に控えめな声で尋ねて来た。
そう、俺は今電車に乗ってある場所に向かっているが、そこはレノアーノが居るアッシュトゥーナ家ではない。別の場所だ。
俺はヴィンセント様からの電話でレノアの病気の事と、それによってサリウス様との婚約が白紙になり……下剋上も、もう行わなくてもいい事を告げられた。
ジャナフは全国的に報道されたニュースでそれを知って、ヴィンセント様からの電話の後に街で佇んでいた俺を見付けてくれて、ただ、抱き締めてくれた。
その温もりが、俺に力をくれた。
俺にはまだやるべき事がある、と気付かせてくれたんだ。
そうだ。俺にはまだやるべき事が……。俺だから、出来る事がきっとあるんだ。
「やるべき事があるんだ。
そして、それはきっとレノアを助ける道にも繋がると思う。
……付いて来てくれるか?俺と一緒に、居てほしい」
俺はジャナフの手をギュッと握り締めながら、自分の気持ちを伝えた。
すると初めは驚いたようにして頬を赤く染めたジャナフだけど、すぐに頷いて、笑ってくれた。
「もちろんだよ!!
僕はツバサを信じてる!何があっても一緒に居る!ずっと、僕はツバサの味方だからね!!」
心強い笑顔に、俺も微笑み返す事が出来た。
そして、思った。
「百点満点は、ジャナフの方だよ」
「え?」
「ジャナフとの出会いは、俺にとって百点満点だ」
「っ、」
「百点満点の……。いや、それ以上の親友だ」
「~~っ、ツバサ……!それくらいでいいよっ」
「え?なんか変な事、言ったか?」
目の前で真っ赤になった顔を伏せるジャナフを見て、俺は頭の中が?マークでいっぱいだった。
お世辞でもなく。
褒め過ぎでもなく。
本当に、ジャナフのおかげだ。
俺は恐れずに、"あの場所"へ向かう事が出来た。
……
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