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第10章 (4)ヴァロンside
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しおりを挟む「お前が最初に担当する仕事だ。
お前をその企画のリーダーにする。
まずはその仕事を成功させて、職場の人間の信用と信頼を得ろ。……出来るか?」
「……。
お望みの期間は?」
問い掛けに質問を返すとアランは楽しそうにニヤリと笑った。
本来任せたい仕事の前に、この程度の仕事を熟してもらわなきゃ話にならない、と言った感じだ。
奴のその態度が、俺に火を点ける。
「そうだな……。
二ヶ月で成果を出して……」
「わかりました。……では、一ヶ月で。
一ヶ月以内に終わらせます」
俺とアランは顔を見合わせて、笑った。
互いに一歩も引きたくない。
奴は難題を突き付け、俺はそれを期待以上の成果で上げたい。
相手の上に行きたいという、感情のぶつけ合いだ。
「……面白い。
お手並み拝見だ、ヴァロン。
……。
いや、契約期間中は……」
アランは薄い笑みを浮かべたまま俺をジロジロと眺めるよう様に見つめ、視線を止めた。
そして……。
「……猫(mao)。
お前は今日からマオだ」
奴がそう言った視線の先にあるのは、俺のネクタイピン。
最後のデートの時にアカリがくれた、猫を象った銀色のネクタイピンだ。
マオ。
異国の言葉で猫と言う意味。
不思議とその心地良い名前に違和感を感じなかった。
マオ。
俺は、マオ。
心の中で呟くと、俺の中で……夢の配達人のスイッチが入る。
「……かしこまりました。
では、本日よりこのマオ。
貴方様に心より努めさせて頂きます」
片手を胸に当て、アラン様に深く頭を下げた。
依頼人の夢を叶える。
さぁ、俺のマオとしての時間の始まりだ。
……
…………。
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