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第10章 (2)シュウside

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……。

ずっと、ヴァロンだけだと思っていた。
彼だけが、私の胸を震わせてくれる”特別”だと思っていた。

私の気持ちに気付いても、ずっと変わらず居てくれるのはヴァロンだと……。
私の1番傍に居て、私に気付いてくれるのは彼だと…思っていた。

……。

じっと見つめたままの私に、ホノカさんは急に恥ずかしくなったのかパッと手を離すと……照れた様に微笑んだ。

その表情を見た瞬間。
私の中にある記憶が蘇ってきた。


子供の頃、隠れ家の広場でヴァロンと毎日の様に組手をしていた時の事。

「……あの子、また見てますよ。
相変わらずヴァロンはモテますね」

物陰から遠慮がちにこっちを見ている少女に気付いて、私がヴァロンにそう言うと……。

”……お前、馬鹿だな。
あれはどう見ても、お前を見てんだよ。”

呆れた様に、ヴァロンが言ったんだ。


〈回想終了〉
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