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第9章 (3)アカリside

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【8月12日/小さな町】

「……。だって、渡せないもん。
今年のヴァロンの誕生日は、渡せない……でしょ?」

生まれ育った、私が17歳まで育った自宅。
オレンジ色の陽が窓から射し込んで照らされる中、私はヴァロンの腕の中でそう呟いた。

黙ったまま、ゆっくりと身体を離して……。
ヴァロンが私をじっと見つめている。
その瞳が、表情が……。
嘘をつけない子供みたいに純粋で、愛おしい。


……分かってた。
私は、大丈夫だよ?

そう言う様に、私は彼を見上げて微笑む。


私はずっと気付いていた。
ヴァロンが、長期任務に行くと決めている事。

そして、私とヒナタの事をとても愛して大切に想ってくれている事も……知ってる。

……
…………。
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