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第9章 (1)ヴァロンside
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しおりを挟む「……で?
今日は何処に行きたいんだ?」
「ホントに、何処でも付き合ってくれるの?」
俺がアカリを包む様に抱き返しながら尋ねると、逆に質問を返された。
「……ああ。
アカリが行きたい場所に連れて行ってやる」
そう言うと同時に、胸が痛んだ。
俺はこのデートが終わったら……。
アカリに酷い話を、する。
また泣かせてしまう事を言おうとしてる。
長期任務の事。
シュウにギリギリまで返事を延ばしてもらっているアランとの任務開始は、8月15日。
準備期間を入れても……今日が最後。
今夜には答えを出さなくてはいけない。
そして俺の中で、もう答えは決まってるんだ……。
「じゃあね。まずは、お買い物に行きたい!
どうしても買いたい物があるの」
「了解。じゃあ、行くか」
俺が手を取って恋人繋ぎをすると、アカリがとても嬉しそうに微笑む。
こんな些細な事を、本当に心から嬉しそうに喜ぶ彼女。
アカリの笑顔が、いつだって俺の事も笑顔にしてくれた。
今日は一緒にいっぱい笑おう。
今は明日の事は考えず、楽しもう。
……。
一緒に家を出て、買い物をする繁華街までの道のり。
俺はなるべく笑ってアカリに話し掛けた。
実は、こういうの……苦手。
と言うか、あまり経験がない。
今まで生きて来て、好きな女の子とデートなんて……実はアカリが初めてなんだよ。
仕事じゃなくて本当の自分を見られるのは、やっぱり恥ずかしくてきっと俺の方がドキドキしてた。
……
…………。
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