夢の言葉と陽だまりの天使（上）【続編②】

第７章 （２）ホノカside

２-３

【ホノカ22歳/夢の配達人のマスターの部屋】

「ホノカちゃん。
息子の見合い相手になってくれんかね？」

「……」

マスターさんの言葉に、私は驚き過ぎて固まった。


息子の見合い、相手。
マスターさんの、息子さん。
それは、つまり……。

……。


「！っ……えっ？……ぇえッ？！」

思い掛け無い展開に、私は人生の中で一番と言っていい位の大声を上げた。

幼い頃から隠れ家に出入りしていた私を見掛ける度に、マスターさんは優しくしてくれていた。
そして医療施設で働くようになってからも、私がたった一人の女医として働きやすいように何かと気に掛けてくれていた。


でも、まさか息子さんの……。
シュウさんのお見合い相手に、私を……？

同じ隠れ家という職場に居ながら、私は結局自分からはシュウさんに歩み寄れないでいた。


新人としてはなかなかで医師として期待されていたが、まだまだシュウさんの病を診れる程の力のない私に彼は遠い存在。

そんなシュウさんと近付けるチャンス。
ずっと、ゆっくり話してみたいと思っていた。


「わ、私なんかで……よければ」

私の言葉にマスターさんは嬉しそう。
早速シュウさんに話してみると言われ、私はその日のうちに綺麗にお洒落をしてお見合い写真を撮った。

一度でもいい。
シュウさんと二人で話せるかも知れない。
私は嬉しくて夜も眠れなかった。


でも、そんな喜びは序の口で……。

翌日。
シュウさんが私と結婚を前提に会いたいと言っていると、マスターさんから報告を受けた。

信じられなくて。
でも、嬉し過ぎて……。

幼い頃からの夢が叶うかも知れない。
私はドキドキと胸を弾ませていた。

……
…………。