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第4章 (2)アカリside

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……
…………。

お昼のピークが過ぎて、いつもならお店が一旦落ち着く時間帯。

でも今日は店内がずっとワイワイしていて、一向にお客さんが止む気配がない。
女性のお客さん多いし、ヴァロンはさっきからたくさん声かけられてる……。


「うわっ!店内、女性客いっぱい。
完全にギルさん効果だよな~」

一緒に厨房で調理をしていたユウさんが、私の隣に来てガラス戸から外を見て言った。

ヴァロンの事は信用してる。
でも、やっぱり”彼は私の旦那様”って言えないのは……少し寂しいと感じてしまう自分がいた。

すると。


「ホント、モテるな~。
女は好きだよね、ギルさんみたいな顔。
……。アカリも好き?」

「っ……。
わ、私は……別に……」

ヴァロンの事を気にしてるのを悟られちゃいけない、と私は笑顔を作って目を逸らした。

仕事!仕事!と集中しようとする私。


けれど、ユウさんが続ける言葉が私の動きを止める。


「恵まれてるよね~。
見た目も良くて、仕事も出来て、女ウケもいいなんてさ」

「っ……」

その言葉にドクッと心が反応して、私はギュッと自分の拳を握り締めた。


……恵まれてる?……違うよ。
ヴァロンはたくさん苦労して、苦しんで……。
辛い想いをたくさん乗り越えて、生きてきたの。


「確かに上部は良い人だけど……。
みんな見た目に騙されてるよ。
あんな完璧な人、いるわけないし」

「……ッ」

っ……酷い。
なんで、そんな事言うのっ?

ユウさんの言葉に胸が震えて、今にも叫びそうになる声を私は必死で抑えた。

ここで自分がヴァロンを庇う発言をすれば、怪しまれてしまうかも知れない。
そう思った。


……でも。
ユウさんの止まらないヴァロンの評価に、私はついに耐えられなくなってしまう。
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