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第3章 (3)ヴァロンside
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【自宅】
「……!……あれ?」
自宅の扉の前。
鍵を鍵穴に差し込んで解除しようとすると……。すでに開いている形跡。
アカリが帰宅して内側から鍵をかけ忘れたのかも知れない。
いくらこの建物が元夢の配達人に管理されていて安全性が高いと言っても、無用心だから後で注意しないとな。
俺がそう思いながら扉を開けると……。
「みゃ~!」
「お、リディア。ただいま」
いつも通りの猫リディアのお出迎え。
床をぴょんっと蹴って俺の腕に跳び込んでくると、ゴロゴロと喉を鳴らして甘えてくる。
鞄を床に置き、よしよし、と優しく猫リディアの喉を撫でながら俺は顔を正面に向けてアカリの姿を探す。
「……アカリ?
……。アカリ……?」
普段なら猫リディアに続いて、その後ろから照れたように遠慮がちに付いてきて……。
ダイニングキッチンから玄関に続く廊下に立っている彼女。
その姿が、ない。
「……っ?」
俺は猫リディアを床に降ろすと、慌てて靴を脱いで奥へ足を進めた。
「アカリ?
っ……アカリッ!何処だっ?」
……ッ?!
俺の目に飛び込んできたのは……。
床にぶちまけられたような、アカリの鞄の中身。
買い物してきたばかりの食材も、テーブルの上で放置されていた。
ザワッと胸が震える。
「っ……アカリッ。
おいっ!アカリッ……!!」
俺は彼女の名前を呼びながら、必死に家中を探し回った。
……何処にも、いない。
「……っ……嘘、だろ?」
心が、身体が…ガタガタと震え出す。
俺は壁に寄り掛かるようにして身体を支えながら、何とか冷静になろうとした。
ーーけど、駄目だッ……!!
”アカリがいない”……。
それだけで、どうしようもない不安が襲ってくる。
「……!……あれ?」
自宅の扉の前。
鍵を鍵穴に差し込んで解除しようとすると……。すでに開いている形跡。
アカリが帰宅して内側から鍵をかけ忘れたのかも知れない。
いくらこの建物が元夢の配達人に管理されていて安全性が高いと言っても、無用心だから後で注意しないとな。
俺がそう思いながら扉を開けると……。
「みゃ~!」
「お、リディア。ただいま」
いつも通りの猫リディアのお出迎え。
床をぴょんっと蹴って俺の腕に跳び込んでくると、ゴロゴロと喉を鳴らして甘えてくる。
鞄を床に置き、よしよし、と優しく猫リディアの喉を撫でながら俺は顔を正面に向けてアカリの姿を探す。
「……アカリ?
……。アカリ……?」
普段なら猫リディアに続いて、その後ろから照れたように遠慮がちに付いてきて……。
ダイニングキッチンから玄関に続く廊下に立っている彼女。
その姿が、ない。
「……っ?」
俺は猫リディアを床に降ろすと、慌てて靴を脱いで奥へ足を進めた。
「アカリ?
っ……アカリッ!何処だっ?」
……ッ?!
俺の目に飛び込んできたのは……。
床にぶちまけられたような、アカリの鞄の中身。
買い物してきたばかりの食材も、テーブルの上で放置されていた。
ザワッと胸が震える。
「っ……アカリッ。
おいっ!アカリッ……!!」
俺は彼女の名前を呼びながら、必死に家中を探し回った。
……何処にも、いない。
「……っ……嘘、だろ?」
心が、身体が…ガタガタと震え出す。
俺は壁に寄り掛かるようにして身体を支えながら、何とか冷静になろうとした。
ーーけど、駄目だッ……!!
”アカリがいない”……。
それだけで、どうしようもない不安が襲ってくる。
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