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第4章 お祭り
第56話 もう遅いか……。
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「それでお祭りが始まった訳ですが……」
「ぜんぜんいなーい……」
屋台の周りにはチラホラとお客さんが居る訳だが……その殆どがもうお祭りを満喫し切っている感じで、帰路についてるみたいだ。
いや、まぁ、確かにね。もう花火大会も終盤ですよ。だからと言ってもう帰っちゃうのはどうかと思うんですよ!
「てっぺいさん」
「ん? どうしたんだ?」
俺が嘆いていると、しょうた君が話し掛けて来る。
因みに呼び方は矯正済みである。次とうちゃんなんて呼んだらアレだから、デコピン3連発ぐらいかますから。
「なんでここにおきゃくさんがこないのかわかったよ」
「は? マジか?」
さっきまで姿見えなかったけど、そんな事調査してたのか。
「うん、あれみて」
俺はしょうたの指差す方を見た。そこには、何やら赤いドラゴンの様な装飾をした剣や、妖精の様なチョコを型取った物を乗せているクレープを持った親子連れが歩いている。
「ここのはんたいのばしょで、なんかすごいのやってるみたいなんだ。たしかーー」
反対……ずっとメマの事を探し回ってたんだ。思い当たる所がある。
「「ダンジョン屋台」」だよな?」
俺はしょうたと共に同じ名前を言った。やっぱりだ。
「しってたのか」
「まぁ、ちょっとな……」
祭り前にそこの人と少し話したからな。
確か……異世界の扉にちなんで作った屋台で、子供が楽しめる射的とかB級グルメが食べれる場所だったよな?
まぁ、そんな目新しい物があって、屋台の内容も良かったらーー。
「こっちに人が居ないのも納得だなー……」
俺は大きく溜息を吐いた。
材料は収穫した物……ずんだを作る時に使った砂糖と塩、ソフトクリームのコーン、それにソフトクリームを作る為に借りた機械代……これだと借金は増えるだけだ。
これなら屋台なんかやんなきゃ……。
パンッ
「え?」
「おとーちゃん?」
しょうた君、メマが首を傾げて俺を見る。
「……だからって弱気になってたらダメだろ! 俺達のも負けてない!!」
俺は両頬を叩いた勢いで、大きく叫んだ。
俺はこの店の責任者! 態度も行動も考えてする! 溜息なんてしてる暇あったら客引きしろ!!
「さぁっ! 美味しいずんだソフトは如何ですか~っ!!」
俺は腹の奥から声を出した。
すると、横で見てたメマとしょうた君が屋台から出る。
「おいしいよー!! ソフトクリームたべてー!!」
「ここのソフトクリームはマジでうまいぞ!! たべてみてくれ!!」
メマとしょうた君が叫ぶ。メマは兎も角、しょうた君も客引きしてくれるなんて……やっぱ、メマを助けたお礼に食べさせたずんだソフトが美味し過ぎたのかな?
よし、俺も負けじとーー。
「1個150円! そこらのジュースよりも安いよ~!!」
俺は叫ぶ。そんな俺達を遠くで客引きをしていた2人が見ている。なんか話してるのか?
「皆んなして急に……ふふっ、負けてられないね」
「……私は別に、勝負してる訳ではない。天峯様に頼まれて嫌々やってるだけだからな」
「凪はもうちょっと素直になったら可愛いのにな~」
「な!? 何を!?」
……うむ。元気そうである。その元気を客引きに回してくれよ?
俺が頷いていると、比奈が何かに気づいたかの様に「あっ」と声を挙げて俺の元へ駆け寄って来る。
「って、そう言えば哲平さん。まだ出してあげないんですか?」
「ん? 何を?」
どうした急に。
「え? エースさんですよ。指導者さんに言われてエースさんも連れてけって哲平さんが言ってたって……」
………そんな事言った覚えないんですけど。
「ぽよぽよはここー!!」
ぷるっ!
俺が眉を顰めて唇を出していると、メマがエースさんの事を掲げている……って! 何をしてるんだね!?
「メマ!! 早くこっち来なさい!!」
それ魔物だってバレたら終わり!!
「すごい! これほしい!!」
「あら、これどうやって出来てるのかしら? 不思議な感触ね~」
ピキッ
あ、終わった。
「ずんだソフトかってくれたらあげる!」
「ほんと!? おかーさん!!」
「はいはい、じゃあ2つお願いします」
「は、はい……」
い、いや、バレなかったけど、あげるって……エースさんをあげることなんて出来ないぞメマ。
俺はメマの方をチラチラ見ながら、ぎゅーさんの作った空間からソフトクリームを提供していると、メマは可愛く親指を立てものすっごい笑顔で頷いていた。
な、何か策があるという事なのだろうか?
俺がメマと男の子の様子を見つめていると、男の子のお母さんが「ま"っ!? 美味し過ぎる!?」と声を上げ、瞬く間に屋台の前には人が集まって来る。比奈と凪さんも客引きを止め、急いで接客に回る。
「ありがとうございます、ありがとうございます」
って! 今これどころじゃないんだけど!? エースさん!! エースさんはどうなったの!?
「はい! どーぞー!」
そこでお客さん達の隙間、緑色の髪が見え、俺はそこを凝視する。そこにはメマとエースさんが小さな子供達に囲まれている姿。
「ちょーだい!」
「うん! いいよー!」
メマは男の子に手を差し出されーー。
ぷちっ
「!?」
「はい! どーぞ!!」
エースさぁーーーんっ!!?
メマはエースさんの体を小さく千切り、男の子へと渡していたのだった。
「ぜんぜんいなーい……」
屋台の周りにはチラホラとお客さんが居る訳だが……その殆どがもうお祭りを満喫し切っている感じで、帰路についてるみたいだ。
いや、まぁ、確かにね。もう花火大会も終盤ですよ。だからと言ってもう帰っちゃうのはどうかと思うんですよ!
「てっぺいさん」
「ん? どうしたんだ?」
俺が嘆いていると、しょうた君が話し掛けて来る。
因みに呼び方は矯正済みである。次とうちゃんなんて呼んだらアレだから、デコピン3連発ぐらいかますから。
「なんでここにおきゃくさんがこないのかわかったよ」
「は? マジか?」
さっきまで姿見えなかったけど、そんな事調査してたのか。
「うん、あれみて」
俺はしょうたの指差す方を見た。そこには、何やら赤いドラゴンの様な装飾をした剣や、妖精の様なチョコを型取った物を乗せているクレープを持った親子連れが歩いている。
「ここのはんたいのばしょで、なんかすごいのやってるみたいなんだ。たしかーー」
反対……ずっとメマの事を探し回ってたんだ。思い当たる所がある。
「「ダンジョン屋台」」だよな?」
俺はしょうたと共に同じ名前を言った。やっぱりだ。
「しってたのか」
「まぁ、ちょっとな……」
祭り前にそこの人と少し話したからな。
確か……異世界の扉にちなんで作った屋台で、子供が楽しめる射的とかB級グルメが食べれる場所だったよな?
まぁ、そんな目新しい物があって、屋台の内容も良かったらーー。
「こっちに人が居ないのも納得だなー……」
俺は大きく溜息を吐いた。
材料は収穫した物……ずんだを作る時に使った砂糖と塩、ソフトクリームのコーン、それにソフトクリームを作る為に借りた機械代……これだと借金は増えるだけだ。
これなら屋台なんかやんなきゃ……。
パンッ
「え?」
「おとーちゃん?」
しょうた君、メマが首を傾げて俺を見る。
「……だからって弱気になってたらダメだろ! 俺達のも負けてない!!」
俺は両頬を叩いた勢いで、大きく叫んだ。
俺はこの店の責任者! 態度も行動も考えてする! 溜息なんてしてる暇あったら客引きしろ!!
「さぁっ! 美味しいずんだソフトは如何ですか~っ!!」
俺は腹の奥から声を出した。
すると、横で見てたメマとしょうた君が屋台から出る。
「おいしいよー!! ソフトクリームたべてー!!」
「ここのソフトクリームはマジでうまいぞ!! たべてみてくれ!!」
メマとしょうた君が叫ぶ。メマは兎も角、しょうた君も客引きしてくれるなんて……やっぱ、メマを助けたお礼に食べさせたずんだソフトが美味し過ぎたのかな?
よし、俺も負けじとーー。
「1個150円! そこらのジュースよりも安いよ~!!」
俺は叫ぶ。そんな俺達を遠くで客引きをしていた2人が見ている。なんか話してるのか?
「皆んなして急に……ふふっ、負けてられないね」
「……私は別に、勝負してる訳ではない。天峯様に頼まれて嫌々やってるだけだからな」
「凪はもうちょっと素直になったら可愛いのにな~」
「な!? 何を!?」
……うむ。元気そうである。その元気を客引きに回してくれよ?
俺が頷いていると、比奈が何かに気づいたかの様に「あっ」と声を挙げて俺の元へ駆け寄って来る。
「って、そう言えば哲平さん。まだ出してあげないんですか?」
「ん? 何を?」
どうした急に。
「え? エースさんですよ。指導者さんに言われてエースさんも連れてけって哲平さんが言ってたって……」
………そんな事言った覚えないんですけど。
「ぽよぽよはここー!!」
ぷるっ!
俺が眉を顰めて唇を出していると、メマがエースさんの事を掲げている……って! 何をしてるんだね!?
「メマ!! 早くこっち来なさい!!」
それ魔物だってバレたら終わり!!
「すごい! これほしい!!」
「あら、これどうやって出来てるのかしら? 不思議な感触ね~」
ピキッ
あ、終わった。
「ずんだソフトかってくれたらあげる!」
「ほんと!? おかーさん!!」
「はいはい、じゃあ2つお願いします」
「は、はい……」
い、いや、バレなかったけど、あげるって……エースさんをあげることなんて出来ないぞメマ。
俺はメマの方をチラチラ見ながら、ぎゅーさんの作った空間からソフトクリームを提供していると、メマは可愛く親指を立てものすっごい笑顔で頷いていた。
な、何か策があるという事なのだろうか?
俺がメマと男の子の様子を見つめていると、男の子のお母さんが「ま"っ!? 美味し過ぎる!?」と声を上げ、瞬く間に屋台の前には人が集まって来る。比奈と凪さんも客引きを止め、急いで接客に回る。
「ありがとうございます、ありがとうございます」
って! 今これどころじゃないんだけど!? エースさん!! エースさんはどうなったの!?
「はい! どーぞー!」
そこでお客さん達の隙間、緑色の髪が見え、俺はそこを凝視する。そこにはメマとエースさんが小さな子供達に囲まれている姿。
「ちょーだい!」
「うん! いいよー!」
メマは男の子に手を差し出されーー。
ぷちっ
「!?」
「はい! どーぞ!!」
エースさぁーーーんっ!!?
メマはエースさんの体を小さく千切り、男の子へと渡していたのだった。
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