じいちゃんから譲られた土地に店を開いた。そしたら限界集落だった店の周りが都会になっていた。

ゆうらしあ

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第4章 お祭り

第47話 神になった牛がいた所で問題は解決しない

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「おー……っす?」


 俺達が飼育小屋の方へ入って行くと、そこで待っていたのはトメさんと比奈だった。


「アレ? トメさん?」


 ここ最近は本業の牛のお世話が忙しすぎて、嘆いていた筈だ。何でこんな所に?


「うん? 哲平かい、久しぶりだね」
「もしかしてぎゅーさんの様子でも見に来た?」
「そう見えるかい?」


 そう言って肩をすくめたトメさんの先には、
 申し訳なさそうに眉を顰め肩を落としている比奈が此方を見つめていた。


「……その、ぎゅーさんが居なくなってしまって」
「ん? ぎゅーさんが?」


 飼育小屋を見渡せば、飼育小屋が一杯になるぐらいの牛乳の保管瓶が見えるが、いつも見えるあの巨体が見つからない。どうやら本当の様だ。


「ぎゅーさんが出られる様に作った出口には鍵掛けてたんだよな?」
「はい……」


 比奈ならそんなミス早々しないだろうからなぁ。
 それに、外に出たならぎゅーさんのあの巨体で保管瓶がこんなに綺麗に並んでる筈がない。


「ぎゅー、どこにもいない……」
「ぎ、ぎゅー様が居なくなった……?」


 メマも心配している、そして何故か凪さんはぎゅーに様付けてるが……本当に何処に行ったんだか。



 ……ォ~~~ッ


 ん?


 俺が困り果てて天井を見上げていると、何処からともなく"あの声"が耳に響いて来る。


「今の、聞こえたか?」
「今の? 何がですか?」
「ん? どうしたんだい?」
「おとーちゃん?」


 どうやら皆んな聞こえてないみたいだ。俺の気のせいか……?


 モォ~~~ッ


 っ!!


「い、今!
「た、確かに今、ぎゅー様の声が……!!」


 俺が確信した同時に凪さんも声を挙げ、俺達は顔を見合わせた。


「聞こえたよな? 幻聴じゃないよな?」
「間違いない! アレはぎゅー様の声だ!!」


 凪さんは飼育小屋の中心に走り、辺りを見渡している。


 ……な、凪さんって実は動物好きとか?ま……まさかそんな全力で探してくれるとは思ってなかったな。


『主の近くで魔力の使用を感知……詳細を確認』
「ん?」


 俺達が呆然と凪さんの方を見ていると、頭に指導者さんの機械的な声が響く。


『個体名"ぎゅー"からの魔力を感知……危険性は0』


 ふむふむ……つまり? ぎゅーは近くに居るって事で良いんだよな?


『肯定』


 本当に優秀な奴だ、そんな事を思いながら俺は周囲を見渡した。


 そして見つけたのは空間の微かな"歪み"。


 俺はそこに近づいて、手を伸ばした。


「うおっ!?」


 伸ばした手が消え、俺は急いで手を引き戻す。
 そしてその驚いた声で反応したのか、歪んでいた空間が更に歪む。


 ンモッ

「ぎゅー……あまり驚かすなよなぁ」


 そこから出て来たのはぎゅーの顔だ。はぁ、何処に行ってたんだか。心配させやがって。


「ぎゅーっ!」
「ぎゅー様!!」
「良かった……見つかって」
「……もう私は何も驚かないよ」


 俺がぎゅーを撫でていると、皆んなぎゅーが居る事に気付いて、ぎゅーの周りを囲んだ。
 皆んながどれだけ心配してたか分かるな。


「ぎゅーさまぁ……ご無事で良かったです」


 まぁ……まさかこんな心配していたとは思ってもいなかった奴が、ぎゅーさんにしな垂れ掛かっては居るが。


 そんな凪さんを俺が半目で呆れながら見ていると、隣に比奈がやって来る。


「無事で何よりですが……哲平さん。これ……」
「あぁ……どうなってんだろうな」


 比奈が指差した方向はぎゅーの顔が出ている下の方。そこには何もない。

 そう。あるべき筈である身体が一切見えないのだ。しかも、その顔の下を嬉しさのあまり走り回っているメマ。

 そこには頭はあるのに、身体は存在していないみたいだ。


『どうやらお困りの様ですね』

 ぷるっ


 入り口の方から指導者さん、それに肩に乗ったエースさんが現れる。


「おー、エースさんも一緒か」
『先程まで指導をしてまして』
「エースさんに?」
『はい』


 エースさんに指導する事なんて無いと思うが……まぁそれは今良いか。


「で? これはどういう事よ?」
『はい。まぁ、簡単に言えば神です』
「は?」
『ぎゅーさんが、ぎゅー様になったと言う事です』












 神様、この土地多過ぎじゃね?
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