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第2章 人との交流
第35話 取引しよう
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「魔物との共存を目指す…?」
俺はヴァロンの言葉を繰り返した。
「あぁ、俺達はお前らと戦う気はねぇ。早く帰りな」
そう言うとヴァロンはルイエから手を離す。ルイエは離された瞬間、此方に駆け寄って俺の背後に着く。
「…ただいま」
「あぁ、おかえり」
少し申し訳なさそうに言うルイエに、俺はルイエにすり寄り、安心させるかの様に言う。
「これで信じてくれたか?」
ヴァロンは此方を真剣に見つめ、肩をすくめた。
「サーナを攫った癖にそれを俺達に信用しろと?」
「あぁ、それは俺達じゃねぇ。追放された奴が奴隷にして売れば金になるって、勝手に連れて来ただけだ」
……嘘を言っている様には見えないな。
「サーナ、アイツの言ってる事本当か?」
「は、はい…でもあの人、私を攫った人を殺せって」
……へぇ、随分物騒だな? 攫った奴はもう殺したって事か。そう言えばボードに映ってる人数も1人居なくなっている。
そいつは私服を肥やそうとしたから殺された…過激ではあるが、その意志は分かった。だが、それが魔物との共存を望む理由にはならない。
「確認は済んだか?」
「…まぁな。だが信用には値しない情報だった。信頼する訳にはいかない」
「それは残念だ、じゃあどうする? また続きをするか?」
そう言うとヴァロンは背負っていた大剣の柄を握った。
また戦うのはマズイ。アイツの魔法は強力だ。ルイエ達を連れて逃げ切れる気はしない。
DPももうない。戦闘をするにも俺達には攻撃手段がない。
………どうする…いや、どうにかしなければならない!!
そう思った俺は頭をフル回転させる。
そしてーー
「……取引をしないか?」
「アノム!?」
「アノムさん!?」
「ほぅ……?」
ヴァロンは片眉を上げ、面白そうに笑った。
「今のアンタ達のアジト、相当寒そうに思えた」
あの大部屋に居た者は洞窟の中でも、コートを羽織っていた。アルベック山脈の麓とは言え、ここはまだ寒い。
「アンタ達のアジトの生活環境を良くしてやる」
「どうやって?」
「1週間待って貰えればコートなんて羽織わなくても過ごせる、そんなアジトを提供してやる。俺の能力で」
俺達の洞窟、霊王の洞窟では暖房(小)を2つで人が過ごせる環境が整った。
こっちの大きな洞窟では、それなら暖房(小)を4つぐらい設置すれば少しは暖かくなるだろう。暖房(大)を設置してみるのも悪くないな。
「なるほどな………だが、そのガキを助けているとは言え魔王軍って名乗るアンタ達を信用する訳にはいかないな」
まぁ、そうだよな…。
俺は息を飲み、口を大きく開いて言った。
「俺達は、魔物の中でも最大のタブーとされている人助けをし、実力も最弱だと言われ、魔王様から追放を言い渡された最弱の魔物パーティーだ」
「ははっ…! 何だそりゃ!! お前が最弱の魔物パーティーだとしたら、もう人間は全部滅ばされているぜ…!!」
ヴァロンは俺の言葉に大笑いをかました後、腹を抑えてうずくまる。
そこまで面白かったか…? 事実なんだけど。
「はぁ、はぁー…そんな馬鹿見てぇな話。嘘ついてまで言う訳ねぇよな…いいぜ…取引成立だ。よろしく頼むぜ、犬っころ」
「犬っころじゃない。アノムだ。ヴァロンさん」
「そうか、アノム。俺の事はヴァロンと呼び捨てで呼んでくれて構わねぇ」
俺達はお互いに近づき、握手を交わした。
俺はヴァロンの言葉を繰り返した。
「あぁ、俺達はお前らと戦う気はねぇ。早く帰りな」
そう言うとヴァロンはルイエから手を離す。ルイエは離された瞬間、此方に駆け寄って俺の背後に着く。
「…ただいま」
「あぁ、おかえり」
少し申し訳なさそうに言うルイエに、俺はルイエにすり寄り、安心させるかの様に言う。
「これで信じてくれたか?」
ヴァロンは此方を真剣に見つめ、肩をすくめた。
「サーナを攫った癖にそれを俺達に信用しろと?」
「あぁ、それは俺達じゃねぇ。追放された奴が奴隷にして売れば金になるって、勝手に連れて来ただけだ」
……嘘を言っている様には見えないな。
「サーナ、アイツの言ってる事本当か?」
「は、はい…でもあの人、私を攫った人を殺せって」
……へぇ、随分物騒だな? 攫った奴はもう殺したって事か。そう言えばボードに映ってる人数も1人居なくなっている。
そいつは私服を肥やそうとしたから殺された…過激ではあるが、その意志は分かった。だが、それが魔物との共存を望む理由にはならない。
「確認は済んだか?」
「…まぁな。だが信用には値しない情報だった。信頼する訳にはいかない」
「それは残念だ、じゃあどうする? また続きをするか?」
そう言うとヴァロンは背負っていた大剣の柄を握った。
また戦うのはマズイ。アイツの魔法は強力だ。ルイエ達を連れて逃げ切れる気はしない。
DPももうない。戦闘をするにも俺達には攻撃手段がない。
………どうする…いや、どうにかしなければならない!!
そう思った俺は頭をフル回転させる。
そしてーー
「……取引をしないか?」
「アノム!?」
「アノムさん!?」
「ほぅ……?」
ヴァロンは片眉を上げ、面白そうに笑った。
「今のアンタ達のアジト、相当寒そうに思えた」
あの大部屋に居た者は洞窟の中でも、コートを羽織っていた。アルベック山脈の麓とは言え、ここはまだ寒い。
「アンタ達のアジトの生活環境を良くしてやる」
「どうやって?」
「1週間待って貰えればコートなんて羽織わなくても過ごせる、そんなアジトを提供してやる。俺の能力で」
俺達の洞窟、霊王の洞窟では暖房(小)を2つで人が過ごせる環境が整った。
こっちの大きな洞窟では、それなら暖房(小)を4つぐらい設置すれば少しは暖かくなるだろう。暖房(大)を設置してみるのも悪くないな。
「なるほどな………だが、そのガキを助けているとは言え魔王軍って名乗るアンタ達を信用する訳にはいかないな」
まぁ、そうだよな…。
俺は息を飲み、口を大きく開いて言った。
「俺達は、魔物の中でも最大のタブーとされている人助けをし、実力も最弱だと言われ、魔王様から追放を言い渡された最弱の魔物パーティーだ」
「ははっ…! 何だそりゃ!! お前が最弱の魔物パーティーだとしたら、もう人間は全部滅ばされているぜ…!!」
ヴァロンは俺の言葉に大笑いをかました後、腹を抑えてうずくまる。
そこまで面白かったか…? 事実なんだけど。
「はぁ、はぁー…そんな馬鹿見てぇな話。嘘ついてまで言う訳ねぇよな…いいぜ…取引成立だ。よろしく頼むぜ、犬っころ」
「犬っころじゃない。アノムだ。ヴァロンさん」
「そうか、アノム。俺の事はヴァロンと呼び捨てで呼んでくれて構わねぇ」
俺達はお互いに近づき、握手を交わした。
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