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第2章 人との交流
第32話 俺のターン
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ダンジョンにはDPを使う事以外にもやれる事はある。
ダンジョン内の侵入者の数、それに前に居た物ならその者の場所の確認、その他諸々。
その中でも今回使ったのはこれだ。
「俺のダンジョンに入るには許可が無ければ入る事が出来ない」
俺は眠っている人間達を前に呟く。
俺が今回仕掛けたのは、落とし穴にスモッグ(睡眠)だ。
まずDPを使って岩の破片を出し、音を出して敵を誘き寄せる。その後、そこに仕掛けていた落とし穴を発動。敵に、すぐ俺を見ても攻撃させない様に警戒させ、スモッグ(睡眠)を発動。すぐ近くに入り口があるから、外に出ると予想したが、まさかここまで上手く行くとは思わなかった。
「ダンジョンの許可なしに此処にいる事はできない。だけど許可がなくても此処から出される事もない」
これはダンジョンから聞いた事だ。
ダンジョンに明確な意思を伝えなければ、許可のありなし関係なしにダンジョン内には居る事は出来る。
ダンジョン領域の俺の半径2メートルとは、また違う扱いになるらしいが…そして、許可しないという明確な意思をダンジョンに伝えれば、全員がこの洞窟の外から出る事になる。これでもしサーナを見つけ出して領域内に入れても、周囲に敵がいる状態で戦闘になりかねない。
「これなら安全に進む事が出来る」
「アノム、大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。ルイエは寒くない所で待っててくれ」
俺は安全の為、ルイエをそこに置いてくと奥へと進んだ。
「それにしても…まだ半分か」
俺は壁を背にしながら呟く。
ダンジョンの能力で敵の数、位置は分かるが、まだまだ人数は居るし、相手が見ている方向は分からない。用心に越した事はないだろう。
そしてこの洞窟の通路は大体3メートルほど。俺のダンジョンの領域は半径2メートル、つまり直径4メートル。
だけどーー
「この先の部屋は大分広そうだな…」
さっきの通路では上手く事が運んだ。
しかし、今度この部屋を覆い尽くすほどのスモッグを焚いても広さがある所為で俺のダンジョンで堰き止める事は出来ない。
DPは残り500P。
「さて…アレをやったらDPはほぼない。これで決めなきゃ終わりだな…まぁ、やるしかないか」
俺は大きく息を吐いて、ボードを操作した。
◇
「ち…アイツら遅せぇな…」
俺は調べに行った者達からの報告が来ない事にイライラしていた。
「お、お頭。そんなイライラしないでくだせぇ…折角の旨い酒も不味くなりますよ?」
「うっせぇっ!!」
『アイスフェイス』の頭、ヴァロンは手に持っていたグラスを手下の足下に投げつけた。
ちょっと変な物音がしたから調べに行くだけの、簡単な事だ。これで何で何分も掛かりやがる…1人ぐらい報告しに来ても……いや、考え過ぎか。
俺は大きく息を吐いて天井を見上げる。
「さて、あのガキをどうするか…」
そう呟いた瞬間。
「あ? 何だありゃ?」
1人の手下が呟く。
そこに居たのはーー
「ウルフ…?」
少し霞んだ色をした普通のウルフだった。
そのウルフは俺達の方へと歩みを進める。
何だ…何が起きている? 此処にウルフが迷い込むのは珍しい事ではない。だが、入り口には部下が居た筈だ。
何で此処に居る?
そう思っていると、徐ろにウルフが口を開けた。
「この部屋の天候を"吹雪"に変えてくれ」
魔物にしては流暢なその言葉に、俺の視界は真っ白へと変わった。
ダンジョン内の侵入者の数、それに前に居た物ならその者の場所の確認、その他諸々。
その中でも今回使ったのはこれだ。
「俺のダンジョンに入るには許可が無ければ入る事が出来ない」
俺は眠っている人間達を前に呟く。
俺が今回仕掛けたのは、落とし穴にスモッグ(睡眠)だ。
まずDPを使って岩の破片を出し、音を出して敵を誘き寄せる。その後、そこに仕掛けていた落とし穴を発動。敵に、すぐ俺を見ても攻撃させない様に警戒させ、スモッグ(睡眠)を発動。すぐ近くに入り口があるから、外に出ると予想したが、まさかここまで上手く行くとは思わなかった。
「ダンジョンの許可なしに此処にいる事はできない。だけど許可がなくても此処から出される事もない」
これはダンジョンから聞いた事だ。
ダンジョンに明確な意思を伝えなければ、許可のありなし関係なしにダンジョン内には居る事は出来る。
ダンジョン領域の俺の半径2メートルとは、また違う扱いになるらしいが…そして、許可しないという明確な意思をダンジョンに伝えれば、全員がこの洞窟の外から出る事になる。これでもしサーナを見つけ出して領域内に入れても、周囲に敵がいる状態で戦闘になりかねない。
「これなら安全に進む事が出来る」
「アノム、大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。ルイエは寒くない所で待っててくれ」
俺は安全の為、ルイエをそこに置いてくと奥へと進んだ。
「それにしても…まだ半分か」
俺は壁を背にしながら呟く。
ダンジョンの能力で敵の数、位置は分かるが、まだまだ人数は居るし、相手が見ている方向は分からない。用心に越した事はないだろう。
そしてこの洞窟の通路は大体3メートルほど。俺のダンジョンの領域は半径2メートル、つまり直径4メートル。
だけどーー
「この先の部屋は大分広そうだな…」
さっきの通路では上手く事が運んだ。
しかし、今度この部屋を覆い尽くすほどのスモッグを焚いても広さがある所為で俺のダンジョンで堰き止める事は出来ない。
DPは残り500P。
「さて…アレをやったらDPはほぼない。これで決めなきゃ終わりだな…まぁ、やるしかないか」
俺は大きく息を吐いて、ボードを操作した。
◇
「ち…アイツら遅せぇな…」
俺は調べに行った者達からの報告が来ない事にイライラしていた。
「お、お頭。そんなイライラしないでくだせぇ…折角の旨い酒も不味くなりますよ?」
「うっせぇっ!!」
『アイスフェイス』の頭、ヴァロンは手に持っていたグラスを手下の足下に投げつけた。
ちょっと変な物音がしたから調べに行くだけの、簡単な事だ。これで何で何分も掛かりやがる…1人ぐらい報告しに来ても……いや、考え過ぎか。
俺は大きく息を吐いて天井を見上げる。
「さて、あのガキをどうするか…」
そう呟いた瞬間。
「あ? 何だありゃ?」
1人の手下が呟く。
そこに居たのはーー
「ウルフ…?」
少し霞んだ色をした普通のウルフだった。
そのウルフは俺達の方へと歩みを進める。
何だ…何が起きている? 此処にウルフが迷い込むのは珍しい事ではない。だが、入り口には部下が居た筈だ。
何で此処に居る?
そう思っていると、徐ろにウルフが口を開けた。
「この部屋の天候を"吹雪"に変えてくれ」
魔物にしては流暢なその言葉に、俺の視界は真っ白へと変わった。
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