Koruseit world online〜魔力特化した私は体力10しかありません。なので幻術使ってどうにかしたいと思います〜

ゆうらしあ

文字の大きさ
上 下
53 / 57
第2章.幻想

51.実家とレストラン

しおりを挟む
「あぁ。ねぇーちゃん、楽しんでるかなぁ」
 四月一日 夏樹は学校から帰ってきて、部屋で1人思う。

 ねぇーちゃんは学生時代は結構モテてた。
 なんなら学校でも1、2位を争うぐらいに容姿が整っていて、ねぇーちゃんが家の前で告白されてたのだって見たことがある。

 それなのに、今となっては…。
 俺は大きな溜息を吐いて、階段を降りてリビングへと向かう。

「夏樹、早くお皿準備してちょうだい」
 母さんが言ってくる。

「はいよー。てか父さんは?」
 いつもならこの時間には家にいる筈だけど…。

「なんか今日は会社で大事な食事会らしいわ。帰ってくるのは遅くなるらしいの。だから、お父さんの分は要らないわよ。」
 母さんはそう言うと、料理を続ける。

 珍しいな。会社でそういうのあるなんて。

『何がなんでも定時で帰るのが俺のポリシーだ!! 帰りに飲み!? 俺はあの可愛い母さんの手料理が食べたいんだよ!!』
 と言い張るぐらいのラブラブっぷりを見せつけるぐらいに母さんが好きな父さんが…。

 まぁ、そういう時もあるか。
 俺はいつも通り、席に着くと母さんと一緒にご飯を食べた。



 ギシッ

「はぁ。腹一杯」
 俺はベッドに寝転がると、スマホをいじる。

 今日のハンバーグ、なんかイマイチだったな。やっぱり父さんに食べてもらわないと、本気になれないのかな? 母さんも。

 母さんって父さんの愛情表現嫌がりつつも、本当は裏でニヤニヤしてる所あるしなー。

 本当に、ラブラブだよなー。
 俺はとりあえず彼女を作らないとなっと。
 俺はポインを開く。

「ん? なんだ? 珍しいな、佐藤からポインが来てるなんて」

 佐藤 檸檬(さとう れもん)、学校1の優等生でいつも眼鏡をかけている。休み時間の間も自分の席で何かしている、暗い奴だ。

 俺は佐藤とのトーク履歴を開く。そこには、

『今度の日曜日、会ってちょっと話さない?』


 は!?
 俺はベッドから起き上がる。

「こ、これはもしや…!!」
 デートってやつか!? 俺はあまりの予想外な内容にベッドの上で腕立て伏せを始める。

「ふん! ふん! ふん!」

 どうしようどうしようどうしよう!!
 デートって! 何すんの!?
 俺は上の服を脱ぎ、腕立て伏せをしながら頭の中を整理させようとする。しかし上手くいかない。


「夏樹ー、ちょっとさっきから何を…」
 母さんがいきなりドアを開ける。
 そこには上半身裸でベッドの上で変な声を挙げながら、うつ伏せの状態になっている俺が…

「あ、えっと…」
「…本当に何してる…あ、いや、ごめんなさい。母さん、今度からちゃんとノックする様にするから。安心して」
 そういうと、母さんは俺の部屋のドアを閉めて、階段を降りて行く。

 俺は何も悪い事をしている訳ではなかったが、何故か窓から飛び降りたい気持ちを抑えながら、眠りについた。

 ~~~~~~

「四月一日さーん。今日、アレあるの覚えてますか~?」
「はぁ。ちゃんと覚えてるよ。行けばいいんだろ、行けば…」
 今日も愛する妻のご飯が家で待ってた筈なのに…!! 俺は1人皆んなから見えない場所に行って、涙を流す。

「すみません、遅れてしまって…」
 俺は高級レストランである男に言う。

「いえ! 私達も今来た所ですので!!」
 正面に座っている男が立ち上がり、深く礼をしてくる。

「そこまでかしこまらなくて良いですよ。もっと楽にいきましょう。」
「そう言って頂けるとありがたいです」
 男はそう言って汗をハンカチで拭きながら、席に着く。

「よし、じゃあまずは飯を食いますか!」
「はい!」
 俺たちは親睦を深めながら、高級レストランの料理を堪能する。

「で、どうですか最近? 上手く言ってますか?」
「ははっ、まぁボチボチって所ですかね」
 男は苦笑いを浮かべて、最高級のワインを口に運ぶ。

「ボチボチですか、よく言いますよ!」
 俺は高笑いをしながらワインを口に運ぶ。

「聞きましたよ! 最近日本中から注目を浴びてるとか!」
「いえいえ、まだまだですよ。四月一日さんの方は如何なんですか?」
「あー、私達の方もボチボチですかね?」
「四月一日さんはいつも通り、冗談がお上手の様だ。」
 男は皿に乗っている肉をナイフで切り分け、口に運んだ。

「四月一日さんの方はもう、世界でも通用する物を、作られているじゃないですか。私達の物と比べたら天と地の差がありますよ」
「そんな事ありませんよ、私達もまだまだですよ。」
 そう言うと2人は笑いながら料理を楽しんだ。

「おっと…そろそろ帰らないとウチの家内が心配しそうなので、これぐらいでいいですかね?」
「あ、ご結婚されてるんでしたね。すみません、気が利かず」
 男は深く、頭を下げる。

「じゃあ、またご一緒にご飯を食べましょう。」
「はい。今日はとても楽しい時間を過ごす事が出来ました。ありがとうございました」
 俺は男と握手を交わすと、手を挙げタクシーを止める。

「あぁ! そうだ! 忘れてた!!」
 俺はタクシーをそのままにレストランへ入っていく。

「?」
「ふぅ。これでよしと」
「何をしに行ったんですか?」
「ん? あぁ! これですよ! 家内にお土産で持ってこうと思って!! ふふっ、家内の嬉しいけど隠せてない顔が目に浮かびますよ!」
 俺はお土産に買った物を大事に抱えて、タクシーに乗る。

「ふふふっ! やはり貴方と一緒に居ると何時間でも話し続けられそうですよ!」
 男は腹を抱えて笑っている。

 そこまで面白かったか?
 まぁ、楽しんで貰えたならいいか!

「ではまた今度会った時はよろしくお願いします! 結城さん!!」
「はい。こちらこそよろしくお願いします。四月一日さん」
 2人の会社の代表食事会は、無事に終わりを迎えた。



「母さん! これお土産で買って来たぞ!」
「な、何よこれ…」
「前に上手い魚が食べたいって言ってたろ? だから買ってきたんだけど…」
「要らないわよ、なんでこんな物を…」
 母さんはそれをしまう為、背中を向ける。しかし、母さんの耳は真っ赤になっていて嬉しさを隠しきれていない。

「ふふっ!」
「何を笑ってんのよ…」
 母さんがまたこちらを振り返ってる時には元通りになっている。

「いや~俺、母さんが大好きだなぁって思ってさ!」
 俺がそう言うと、母さんは俺の胸に寄りかかった。

「…バカ」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~

エール
ファンタジー
 古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。  彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。  経営者は若い美人姉妹。  妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。  そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。  最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~

ハル*
ファンタジー
高校教師の俺。 いつもと同じように過ごしていたはずなのに、ある日を境にちょっとずつ何かが変わっていく。 テスト準備期間のある放課後。行き慣れた部室に向かった俺の目の前に、ぐっすり眠っているマネージャーのあの娘。 そのシチュエーションの最中、頭ん中で変な音と共に、俺の日常を変えていく声が聞こえた。 『強制フラグを、立てますか?』 その言葉自体を知らないわけじゃない。 だがしかし、そのフラグって、何に対してなんだ? 聞いたことがない声。聞こえてくる場所も、ハッキリしない。 混乱する俺に、さっきの声が繰り返された。 しかも、ちょっとだけ違うセリフで。 『強制フラグを立てますよ? いいですね?』 その変化は、目の前の彼女の名前を呼んだ瞬間に訪れた。 「今日って、そんなに疲れるようなことあったか?」 今まで感じたことがない違和感に、さっさと目の前のことを終わらせようとした俺。 結論づけた瞬間、俺の体が勝手に動いた。 『強制フラグを立てました』 その声と、ほぼ同時に。 高校教師の俺が、自分の気持ちに反する行動を勝手に決めつけられながら、 女子高生と禁断の恋愛? しかも、勝手に決めつけているのが、どこぞの誰かが書いている某アプリの二次小説の作者って……。 いやいや。俺、そんなセリフ言わないし! 甘い言葉だなんて、吐いたことないのに、勝手に言わせないでくれって! 俺のイメージが崩れる一方なんだけど! ……でも、この娘、いい子なんだよな。 っていうか、この娘を嫌うようなやつなんて、いるのか? 「ごめんなさい。……センセイは、先生なのに。好きに…なっちゃ、だめなのに」 このセリフは、彼女の本心か? それともこれも俺と彼女の恋愛フラグが立たせられているせい? 誰かの二次小説の中で振り回される高校教師と女子高生の恋愛物語が、今、はじまる。

アレク・プランタン

かえるまる
ファンタジー
長く辛い闘病が終わった と‥‥転生となった 剣と魔法が織りなす世界へ チートも特典も何もないまま ただ前世の記憶だけを頼りに 俺は精一杯やってみる 毎日更新中!

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

処理中です...