Koruseit world online〜魔力特化した私は体力10しかありません。なので幻術使ってどうにかしたいと思います〜

ゆうらしあ

文字の大きさ
上 下
38 / 57
第2章.幻想

36.エリアボス戦2

しおりを挟む
 ワタシ、カンジヨメナイデース。


 チリッ


 体力:8/10


 あっ、やっぱり読めます!
 てかふざけてる場合じゃないよ! 早く火から離れないと!

 私は周りの燃え上がっている木々から離れる。
 それと同時に、ドライアドに近づいてるわけで…



「ーーーッ!!」

「ひぃー!!」
 私は影でドライアドの葉っぱ攻撃を受ける。

 このままじゃジリ貧だ…どうにかしないと…。

 そうだ!


「ベリアル!! 【闇魔術】でどうにかならない!?」
 私が聞くと


(SPない~、【いたずら】なら発動できるよ?)

「そ、それは最終手段で。」
 それはやったらどうなるか分からないからね…
 クソ~! 私の子達をこんなに虐めたのに! 何も出来ないなんて!! どうすれば…。


 私は上空に目を向ける。するとこちらの様子を伺っているソーマと目が合った様な気がした。


 どう…すれば…


 あ、いい事思いついたかも。







 チリッ

「スプリング達大丈夫かな…。まさかフェイズ2になるなんて思ってもなかった…。」

 サキは周りの火からダメージを受けながらも、後方で心配していた。そしてスプリング達に言ってなかった事を後悔していた。
 あの有名な『幻想姫』だ。どうにかなるんだろうと、たかを括っていたのだ。

 相手と1番厄介なSP吸収を教えただけで、フェイズ2になるという事を話していなかった。


「まさか周りの木を燃やしてもフェイズ2になるとはね…。」
 そう。大木を燃やすとドライアドが怒って進化するのだ。私はそれを防ごうと声をかけたが…今回は周りの木々を燃やして進化してしまった訳で…。

 いや、でもしょうがないじゃないですか。
 だってあんなモヤモヤしたのが【火魔術】使うと思わないし…。今回はダメかなぁ。

 サキが心の中でそんな事を思っていると。



「おぉーーー!!!」

「ッ!?!?」


 あの先輩は常識知ってる様で、全然知らない。

「はは…忘れてた。」
 あの人は、このゲーム内で初日にして名を挙げた『幻想姫』だと。







「おぉーーー!!! 」

 いやぁ、ちょっとテンション上がっちゃうね!! だって子供の頃の夢を実現させてるんだもん!!


(スプリングすごい!! 飛んでる!!)


 そうなのだ。私は今、飛んでいた。何故浮いてるかと言うと…このスキルだ。


【浮遊】…SPを使わずに浮かぶ事ができる。


 このスキル、今まで使う事がなかったけど…まさかこんなに良いものだったとは!!


「ーーッ!」
 ドライアドが葉っぱ攻撃を私達に仕掛けてくる。


(スプリング!? どうやって防ぐの!?)
 とベリアルの焦った声が聞こえてくる。


「ふふっ、大丈夫。安心してベリアル。」
 私はそう言うと、捕まえていたベリアルを下にして盾のように構える。


(…スプリング?)
 と悲しそうな目で見て来るベリアル。


 いや、そんな目しないでベリアル…!ちゃんと考えてるから!!


「【光魔術】発動!!」

 私は自分の背後に光の玉を作る。


 薄暗かった部屋が明るく照らされる。
 そして、私の影がベリアルに映し出される。


「それで…こう!!」
 私は同時に【影魔術】を発動させる。


「…よし!!」
 私は同時発動を成功させ、葉っぱ攻撃を防ぐ事に成功する。


 これで防ぐ事ができた!! あとは攻撃!!


 ってあれ?


 地面にいる時と状況変わんなくない?
 ドライアドに全然近づけないで終わってるよ!


(スプリングさん!! 大丈夫ですか!?)
 ソーマが私の近くまでやって来る。


「ソーマ見て! 私飛んでるよ! ソーマと一緒!」

(う、嬉しいですけど! それは後です!!)
 ちょっと照れてるソーマかーわーいーいー(ギャル風)!


 で、どうするかだけど…


「ソーマ、まだ火魔術使える?」

(はい。使えますけど…?)

 うん…なら近づけはしそうだね。


「じゃあソーマ…」

 私はソーマに伝える。


(それならなんとか…)

「よろしくね。」


 私達は早速、作戦を実行する。


(【誘引】【火魔術】!)
 ソーマは【誘引】をしながら、【火魔術】を発動させてドライアドの注意を引く。
 所々の葉っぱに火がつき、燃え落ちる。

【誘引】はすぐに解けて、ドライアドは周囲を警戒する。ドライアドは特に上を警戒している様だ。


 だけど、私達はそこにいないよ。


 私達はソーマが【誘引】を使って、すぐに下へと降りた。ドライアドの目には光魔術を使っていたせいか、先程よりも部屋が暗く感じているだろう。だから私達がさっきまで使っていた【光魔術】を解く事で気配を薄くした。
 それに上を警戒しているって事は、下が疎かになるって事だしね!!

 私は近づく事を悟られずに、【光魔術】をドライアドの真正面で思い切り使う。


「~~~ッ!!?」
 ドライアドの目は潰れ、悲鳴を上げている様だ。葉っぱ攻撃をしているが、葉っぱが所々焼け落ちていて、先程よりも受けるのが楽になっている。


 そして私は【光魔術】を使いながらドライアドのすぐ側まで近づく。


「まさか【光魔術】にこんな使い方があったなんてね。」
 私は【光魔術】で作った、強い光の玉を後ろ足元へ置く。







 するとスプリングの影は大きく映し出される。
 スプリングの影は通常より大きく動く。


「ーーーッ!!?!?」
 ドライアドが後ずさって行く。


「何? 私が怖いの?」
 スプリングが近づくとドライアドは、スプリングと連動する様に距離を取る。


「可愛い。」


 スプリングがそう言った瞬間、ドライアドが覚悟を決めたかの様に体当たりをしてくる。体当たりだと影て防げないと判断したんだろう。確かにそれは正しい。


「それは悪手だよ。」


 スプリングはそう言うと、影を槍の様に変化させると、それをドライアドへぶっ刺した。



「ーーーッ!、!」



 スプリングはドライアドの様子を見ると、後方で待っている私の元へ歩いて来た。


 しかし


「ーーーーーッ!!!」
 最後の抵抗か、様子を見計らっていたのか、ドライアドがスプリングへと襲いかかった。


「ベリアル。」


(てやぁ!!)
 スプリングが予想していたかの様にそう呟くと、ベリアルがドライアドの後方から三叉槍での攻撃を繰り出す。
 その攻撃は、ドライアドの体力を失くすには十分だったみたいだ。


「ッ…!」


 ドライアドは今度こそ倒れ、ホログラムになって消えていった。







「サキさん! お待たせ!」

「ははっ……」
 あまりのスプリングの戦いぶりに、私は苦笑いを浮かべる事しか出来なかった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

とある会社の秘密の研修

廣瀬純一
SF
男女の性別を入れ替えて研修を行う会社の話

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られる都市~

こばん
SF
世界は唐突に終わりを告げる。それはある日突然現れて、平和な日常を過ごす人々に襲い掛かった。それは醜悪な様相に異臭を放ちながら、かつての日常に我が物顔で居座った。 人から人に感染し、感染した人はまだ感染していない人に襲い掛かり、恐るべき加速度で被害は広がって行く。 それに対抗する術は、今は無い。 平和な日常があっという間に非日常の世界に変わり、残った人々は集い、四国でいくつかの都市を形成して反攻の糸口と感染のルーツを探る。 しかしそれに対してか感染者も進化して困難な状況に拍車をかけてくる。 さらにそんな状態のなかでも、権益を求め人の足元をすくうため画策する者、理性をなくし欲望のままに動く者、この状況を利用すらして己の利益のみを求めて動く者らが牙をむき出しにしていきパニックは混迷を極める。 普通の高校生であったカナタもパニックに巻き込まれ、都市の一つに避難した。その都市の守備隊に仲間達と共に入り、第十一番隊として活動していく。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら、感染者や都市外の略奪者などと戦い、都市同士の思惑に巻き込まれたりしながら日々を過ごしていた。 そして、やがて一つの真実に辿り着く。 それは大きな選択を迫られるものだった。 bio defence ※物語に出て来るすべての人名及び地名などの固有名詞はすべてフィクションです。作者の頭の中だけに存在するものであり、特定の人物や場所に対して何らかの意味合いを持たせたものではありません。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

【書籍化進行中、完結】私だけが知らない

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...