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第2章.幻想
30.尖兵
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~現実~
「まさか柚月ちゃんも同じゲームをやっているとは…。」
「いや、先輩こそ。まさか幻想姫が先輩だったとは。」
私達は2人で会社のデスクでお弁当を食べながら話していた。
「柚月ちゃんは、いつからKoruseit world onlineをやってるの?」
私はお弁当の鮭を食べる。お弁当にはやっぱり鮭が入ってないとね。おいしっ。
「私は発売当初からやってますよ。」
「発売当初って事は半年前ぐらい?」
「そうです! 発売する前からこのゲームは楽しみにしてて! やり始めたらもう止まらなくって!!」
柚月ちゃんは元気に返事をする。柚月ちゃんは中々のゲーマーみたいだ。いや~、柚月ちゃんってこんな顔するんだ~。ニヤニヤしてしまう。
「あ、そう言えば! 今日の夜22時にイベントがあるらしいですよ!!」
「今日から!? 休日って話じゃなかった!?」
「何故か急に今日になったんですよ、何でですかね?」
柚月ちゃんは首を傾げている。
「じゃあ、ご飯食べている暇もないよ! 早くノルマ終らせて、残業なしで帰らないと!!」
私はお昼ご飯をかき込んで、仕事で唯一の至福の時間を終わらせる。
「はい! 今日も頑張りましょう!!」
私の真似をして、柚月ちゃんもご飯をかき込む。
~家~
「はぁ、はぁ、はぁ。」
つ、着いた!
私はヒールを脱ぎ捨て、家へ駆け込む。まずスーツを脱ぎ捨てお風呂! お風呂で今日の疲れを取って、ご飯! コンビニ飯が手っ取り早い、チンしてかき込む!
21時55分…間に合った!!
私はベッドに寝転んだ。
そしてヘッドギアを付けた。
~始まりの街~
私達はハトムーさんの古書堂前にいた。
「あ!先輩来ましたね!」
とサキさん…もとい後輩の柚月ちゃんが声をかけてきた。んー。なんか違和感。昨日まで敬語じゃなかったからなぁ。
「んー。なんか気持ち悪いから前のままでいかない?」
私はとりあえず会社の先輩として提案してみる。
「え、でも…先輩ですし…。」
柚月ちゃんは眉を八の字にしている。そこまで嫌なんだろうか。
「ゲームの中なんだし! そういうのは無しにして欲しいです、私は!」
そう私がサキさんに言うと悩んだ結果、
「…分かった! じゃあそうしよう!」
と言ってくれた。うん。これでいつも通りだね。ベリアル達パートナーを含めて、私達は笑い合う。そうしていると
ブンッ
始まりの街、上空に大きなディスプレイが出現した。周りのNPCはとても動揺しているようで、「炎神の啓示だ!!」と騒いでいる。ただのイベントの告知だと思うけどね。
ジジッ…ジジ
上空に映し出された。
それは闇だった。
揺めく闇は言う。
『この世界はあと数年で滅びを迎える。』
は?
周囲がシンと静かになる。
『誰かが啓示を残した当初は頑張っていたようだが…今となっては…その安寧に胡座をかいているように思える。』
『世界が終わる覚悟を決めておくんだな…。』
そう言うと闇はドンドン小さくなり、消えていった。
それが消えると、私の目の前に1人の男が映し出された。
「ロザンさん?」
それはこのゲームで最初に会った人物、ロザンであった。
『皆さん、こんばんは。この様な時間に呼び出してしまい申し訳ありません。』
ロザンさんは頭を下げる。
「最初の人?」
とサキさんにもロザンさんが見えている様だった。
『先に言っておきますが、これは「炎に認められし子」の方にしか見えていません。』
私が周りを見てみると他のプレイヤーの人も黙って見ている人や、私の様にキョロキョロして周りの様子を伺っている人がいた。
『今回のイベントを発表します。イベントは先程の上空に映された映像と関係あります。もう行動している人も居るようですが。』
もう、行動している? まだイベント発表されてないのに? 私がそんな事を考えていると、ロザンさんは真顔で言い放った。
『それは"神の尖兵を撃破しろ"です。』
神の尖兵?
「え?どう言う事?」
「なに言ってんだ?」
「説明しろ!」
その様な声が周りから上がる。
『この炎のベールがかかっている大陸に、世界を破滅に導く神の尖兵が全部で6体潜んでいます。それを現実の世界、1ヶ月以内に倒して下さい。』
『それらを倒さなければ、この大陸の活動範囲は狭まる事になるでしょう。ちなみに1体は、もうプレイヤーと接触がありました。』
『1体も倒さないとなれば、このゲーム。Koruseit world onlineは活動を中止せざるを得ないです。このゲームのOPにも言いました通り、滅びの道に抗うか、それともこれに従い世界を滅びに導くかは自由。あなた方があらゆる生物と協力し、この世界を救うのを心から願っていますよ。』
私達が何も言えずにいると、ロザンは優雅に礼をして映像は切れた。
「まさか柚月ちゃんも同じゲームをやっているとは…。」
「いや、先輩こそ。まさか幻想姫が先輩だったとは。」
私達は2人で会社のデスクでお弁当を食べながら話していた。
「柚月ちゃんは、いつからKoruseit world onlineをやってるの?」
私はお弁当の鮭を食べる。お弁当にはやっぱり鮭が入ってないとね。おいしっ。
「私は発売当初からやってますよ。」
「発売当初って事は半年前ぐらい?」
「そうです! 発売する前からこのゲームは楽しみにしてて! やり始めたらもう止まらなくって!!」
柚月ちゃんは元気に返事をする。柚月ちゃんは中々のゲーマーみたいだ。いや~、柚月ちゃんってこんな顔するんだ~。ニヤニヤしてしまう。
「あ、そう言えば! 今日の夜22時にイベントがあるらしいですよ!!」
「今日から!? 休日って話じゃなかった!?」
「何故か急に今日になったんですよ、何でですかね?」
柚月ちゃんは首を傾げている。
「じゃあ、ご飯食べている暇もないよ! 早くノルマ終らせて、残業なしで帰らないと!!」
私はお昼ご飯をかき込んで、仕事で唯一の至福の時間を終わらせる。
「はい! 今日も頑張りましょう!!」
私の真似をして、柚月ちゃんもご飯をかき込む。
~家~
「はぁ、はぁ、はぁ。」
つ、着いた!
私はヒールを脱ぎ捨て、家へ駆け込む。まずスーツを脱ぎ捨てお風呂! お風呂で今日の疲れを取って、ご飯! コンビニ飯が手っ取り早い、チンしてかき込む!
21時55分…間に合った!!
私はベッドに寝転んだ。
そしてヘッドギアを付けた。
~始まりの街~
私達はハトムーさんの古書堂前にいた。
「あ!先輩来ましたね!」
とサキさん…もとい後輩の柚月ちゃんが声をかけてきた。んー。なんか違和感。昨日まで敬語じゃなかったからなぁ。
「んー。なんか気持ち悪いから前のままでいかない?」
私はとりあえず会社の先輩として提案してみる。
「え、でも…先輩ですし…。」
柚月ちゃんは眉を八の字にしている。そこまで嫌なんだろうか。
「ゲームの中なんだし! そういうのは無しにして欲しいです、私は!」
そう私がサキさんに言うと悩んだ結果、
「…分かった! じゃあそうしよう!」
と言ってくれた。うん。これでいつも通りだね。ベリアル達パートナーを含めて、私達は笑い合う。そうしていると
ブンッ
始まりの街、上空に大きなディスプレイが出現した。周りのNPCはとても動揺しているようで、「炎神の啓示だ!!」と騒いでいる。ただのイベントの告知だと思うけどね。
ジジッ…ジジ
上空に映し出された。
それは闇だった。
揺めく闇は言う。
『この世界はあと数年で滅びを迎える。』
は?
周囲がシンと静かになる。
『誰かが啓示を残した当初は頑張っていたようだが…今となっては…その安寧に胡座をかいているように思える。』
『世界が終わる覚悟を決めておくんだな…。』
そう言うと闇はドンドン小さくなり、消えていった。
それが消えると、私の目の前に1人の男が映し出された。
「ロザンさん?」
それはこのゲームで最初に会った人物、ロザンであった。
『皆さん、こんばんは。この様な時間に呼び出してしまい申し訳ありません。』
ロザンさんは頭を下げる。
「最初の人?」
とサキさんにもロザンさんが見えている様だった。
『先に言っておきますが、これは「炎に認められし子」の方にしか見えていません。』
私が周りを見てみると他のプレイヤーの人も黙って見ている人や、私の様にキョロキョロして周りの様子を伺っている人がいた。
『今回のイベントを発表します。イベントは先程の上空に映された映像と関係あります。もう行動している人も居るようですが。』
もう、行動している? まだイベント発表されてないのに? 私がそんな事を考えていると、ロザンさんは真顔で言い放った。
『それは"神の尖兵を撃破しろ"です。』
神の尖兵?
「え?どう言う事?」
「なに言ってんだ?」
「説明しろ!」
その様な声が周りから上がる。
『この炎のベールがかかっている大陸に、世界を破滅に導く神の尖兵が全部で6体潜んでいます。それを現実の世界、1ヶ月以内に倒して下さい。』
『それらを倒さなければ、この大陸の活動範囲は狭まる事になるでしょう。ちなみに1体は、もうプレイヤーと接触がありました。』
『1体も倒さないとなれば、このゲーム。Koruseit world onlineは活動を中止せざるを得ないです。このゲームのOPにも言いました通り、滅びの道に抗うか、それともこれに従い世界を滅びに導くかは自由。あなた方があらゆる生物と協力し、この世界を救うのを心から願っていますよ。』
私達が何も言えずにいると、ロザンは優雅に礼をして映像は切れた。
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