Koruseit world online〜魔力特化した私は体力10しかありません。なので幻術使ってどうにかしたいと思います〜

ゆうらしあ

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第1章.始まり

16.宝玉

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 なんだろう? これ?

 私は【鑑定】を発動させてみる。


 ???


 それは?としかでなかった。

 それは私の拳の大きさと同じくらいだった。ゲームの中の私の拳の大きさと同じくらいって事は大分小さい。

 私がその黒いモヤに触ろうとすると、それは動き出す。

「うわっ!!」
 私が手を引っ込めると、それは私の目の高さまで浮かび上がる。


 それは明滅しながら移動して、人骨が大量にある所で止まった。
 それは細かく明滅する、まるで、此処とでも言う様に。


 手がかりが何もない私達は、それに縋るしかなかった。
 それが止まった真下の人骨を寄せていく。そこにはボロボロになった紙があった。


 カサカサ

 私はその紙を手に取る。
「……メモ?」




 その紙には殴り書きされた様な文字で、


 "あの 切 者を絶対に す !! アイツのせいで俺達は…もう 間 ない。誰でもいい…街を救ってくれ"


 所々ボロボロになっているその紙からは、とてつもない怨念と切実な願いがこもっている様な気がした。



「これは…。」

(スプリング、悲しいの?)

「え? なんで?」

(だって泣いてるよ?)



「あ…。」
 私は、顔に触れると涙が溢れている事に気づいた。

(よしよし。)
 ベリアルが私の頭を撫でてくる。

 私はベリアルにされるがままに撫で続けられる。

(そんなに悲しかった?)


「少しね…。裏切られるって辛い事だから。」
 私がそう言うと、黒いモヤが私の目の前に来て、ゆっくりと明滅する。


「ははっ、どうしたの?」
 私は黒いモヤに触れてみる。

 冷たい…。この子はなんなんだろう。どういう存在で、どうして此処にいて、何をしたいんだろう。疑問が尽きなかった。


 黒いモヤが動き、私達が降りてきた階段を登る。
 私は持っていたメモを急いでポケットに入れ、追いかける。


 黒いモヤの周りだけがボンヤリと光り、手探りで降りてきた階段が、今では薄っすらと見える。


「もしかして、私達が登りやすい様に?」
 私は黒いモヤに言うと、恥ずかしそうに少し明滅する。


 恥ずかしがり屋さんなのかな?可愛いなぁと思っていると、服の裾を引っ張られる。


「……。」


 そこには膨れっ面になってるベリアルが。


 可愛い。尊びます、私。
 私は、自然と手を合掌してしまう。

 前には恥ずかしがり屋さん。後ろには嫉妬しているベリアル。
 はぁっ! これがずっと続けば良いのに!!


 私がそう思ってると、あっという間に地上まで着いた。


(着いたねー。)
 ベリアルは私の服はグイグイ引っ張る。

 黒いモヤは私の頭の周りをグルグルと回る。


「……。」
 悪くない。けど、


「はい! 2人ともストップ! これは後でお願い! 今はこの街に何が起きたのか知りたいの!」
 私がそう言うと、2人は動きをピタッと止めた。

(うー。わかった。)

 黒いモヤも明滅している。
 どうやら返事をしている様だ。


 私は2人を落ち着かせると家から出た。


「何処に行けば良いか分かる?」
 私は黒いモヤに話しかける。

 この子はこのメモの場所を教えてくれた。他の手がかりも何か知っている筈。
 私はそう予想し、黒いモヤの返事を待った。


 明滅する。

 黒いモヤは明滅すると、この街の奥へと進んでいく。


「ベリアル行くよ。」

(うん!)


 私達は街の奥へと進む。
 するとそこには、始まりの街アバールにもあった様な教会が。しかし壁は剥がれ、所々天井も抜け落ちていた。

 黒いモヤは、その教会に入ると激しく明滅すると、すごい速さで教会の奥へと行ってしまった。


 私達もすぐそれを追いかける。そこには3つの大人の人骨があった。


 黒いモヤは、その近くでしばらく明滅すると教会の奥の中央にある祭壇に行き、明滅した。


 石造りの祭壇の上には、ドス黒い球状のガラスの玉の様な物があった。私は【鑑定】を発動させた。


 ▲ユニークアイテム
『混沌の宝玉』
 5大闇宝具と言われており、宝玉の中に混沌が秘められている。これを手にした者にはあらゆる災いが起きると言われている。

 …。

 触ろうとしていた手を止める。




「あっぶねー!!」
 私は触ろうとしてた手を急いで引っ込めた。


 なんでこんな危ない物がこんな所に!?
 私は黒いモヤを見て、目で訴える。


 黒いモヤは、私を見た?後に『混沌の宝玉』の近くで明滅する。


 …何。


 明滅する。


 触れって?


 明滅する。


 ………。


 明滅する。


「…やってやろうじゃない!! このゲームをなんでやってると思ってんのよ!」
 私は手を『混沌の宝玉』に近づけ、触れる。


(スプリング! 無理しちゃダメ!)


 私が宝玉に触れた瞬間、ベリアルも宝玉に突っ込んだ。

 私達は宝玉に飲み込まれた。





 教会に残されたのは黒いモヤだけ。


(……頑張って。)


 教会に優しい少年の声が響いた。
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