Koruseit world online〜魔力特化した私は体力10しかありません。なので幻術使ってどうにかしたいと思います〜

ゆうらしあ

文字の大きさ
上 下
18 / 57
第1章.始まり

16.宝玉

しおりを挟む


だぁれだよぉ、お前! とか言いたくなった。

そんなセリフ、俺が言ったのか。

顔から火が出そうだ、朝っぱらから。

「学校行きたくねぇ」

まさかの理由で登校拒否したくなると思わなかった。

学校に行きたくないのは、あいつとした会話のこともそうだけど。

「…………はあぁぁーーーーー」

俺がやった行動が、俺的に大問題。

でも作家的にはナイスだったらしい。

しかも、あやうく車の中で18禁に突入するきっかけを起こされかかってたっていう……。

恋してんだろうなと神田に囁いた時、そのまま耳の後ろにわざとリップ音をたてながらキスをしてた俺。

「うあああああああ」

恥ずかしい!

そんなこと、絶対しない! お・れ・な・ら!

夢を見るように、自分がしたことを、作家曰く脳内再生でエンドリピってやつで知らされた。

その内容の中で、作家が俺がやめてくれ! って思うような展開を途中まで書いたりもして、何度か車内で時間の巻き戻しみたいな感覚があった。

自分が女を口説くところを、後々自分で鑑賞するハメになるって、どういう事態だよ。

俺の行動と発言のどこからどこまで、俺は干渉できるのか…いまだつかめていない。

どうにかして、最悪の事態は免れたい。

「この場合の最悪って、どこまでのことだろうな」

最近ため息ばっかりだ。

昨日のやり直しめいたことがなきゃ、彼女の耳裏にキスをした後、そのまま助手席を倒して。

「最後までとはいかずとも、服の上からあいつの……」

自分が意識していないところで触れて、書き直して、違う展開にして。

ってやったはずなのに、この手のひらに残っている気がして朝から頭の中がふしだらだ。

胸だけだったとはいえ、あいつの体に触れた。

展開が変わったはずなのに、あいつの口からもれた…女のアノ声。

どこか照れが混じった、決して普段聞くことがないはずの声。声っていうか、吐息?

それが耳について、離れない。

「……………………デカかったな」

手のひらに収まらなかった。

手のひらにも、その感触が残ってる。

「あぁ、もう」

もてあます歯がゆさに、頭を抱える。

たとえきっかけがどこぞの作者がよこした恋なんだとしても、俺があいつに対して好意を持っていることを消したいと思えない。

俺自身、もう…。

「好きになってんだろ」

最近増えたため息の理由わけは、あいつ一択。

それを不快に感じていない。

学校で自分がやらなきゃいけないことを順番に片していったとしても、サブリミナルみたいにあいつの顔や声や言葉が俺の中に必ず存在しつつある。

忘れないでと言われているような、自分に気づいてほしがっているような。

ノイズっぽい感覚もある。

今自分が置かれている状態が小説の中ってわかっていなきゃ、自分の中で何が起きているのかわからなくて、混乱してどう動いていいのかわからなくなっていただろう。

誰かに相談したかもしれない。

同期の保険医に聞いたかもしれないな。

俺の体がなんか変とか口走った可能性がある。

それをきっと笑われて終わっていたかも。

「そういや」

俺以外にも、この世界が二次小説って言われている場所だって知ってるのかな。

知ってて、自分が望む方にどうにかしようとするんだろうか。

とはいえ、異常なことではあるから、聞きまわるわけにもいかない。

「……それは、さておき」

やっぱり学校に行きたくない。

「会ったら、どんな顔してりゃいいんだ」

なんてボヤきつつ、タバコに手を伸ばした時だ。

「う…あっ」

目の前の景色が歪んだ。

見覚えのある景色。

(またかよ)

抗えなかった、今回も。

「先生ぇー、おはよ」

俺は学校の門のそばに立っていて。

「センセ、寝不足? 俺らより歳なんだから、無理すんなよ?」

「それな!」

「あっはははは」

見慣れたバスケ部のやつらに、からかわれていた。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

とある会社の秘密の研修

廣瀬純一
SF
男女の性別を入れ替えて研修を行う会社の話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セリオン共和国再興記 もしくは宇宙刑事が召喚されてしまったので・・・

今卓&
ファンタジー
地球での任務が終わった銀河連合所属の刑事二人は帰途の途中原因不明のワームホールに巻き込まれる、彼が気が付くと可住惑星上に居た。 その頃会議中の皇帝の元へ伯爵から使者が送られる、彼等は捕らえられ教会の地下へと送られた。 皇帝は日課の教会へ向かう途中でタイスと名乗る少女を”宮”へ招待するという、タイスは不安ながらも両親と周囲の反応から招待を断る事はできず”宮”へ向かう事となる。 刑事は離別したパートナーの捜索と惑星の調査の為、巡視艇から下船する事とした、そこで彼は4人の知性体を救出し獣人二人とエルフを連れてエルフの住む土地へ彼等を届ける旅にでる事となる。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られる都市~

こばん
SF
世界は唐突に終わりを告げる。それはある日突然現れて、平和な日常を過ごす人々に襲い掛かった。それは醜悪な様相に異臭を放ちながら、かつての日常に我が物顔で居座った。 人から人に感染し、感染した人はまだ感染していない人に襲い掛かり、恐るべき加速度で被害は広がって行く。 それに対抗する術は、今は無い。 平和な日常があっという間に非日常の世界に変わり、残った人々は集い、四国でいくつかの都市を形成して反攻の糸口と感染のルーツを探る。 しかしそれに対してか感染者も進化して困難な状況に拍車をかけてくる。 さらにそんな状態のなかでも、権益を求め人の足元をすくうため画策する者、理性をなくし欲望のままに動く者、この状況を利用すらして己の利益のみを求めて動く者らが牙をむき出しにしていきパニックは混迷を極める。 普通の高校生であったカナタもパニックに巻き込まれ、都市の一つに避難した。その都市の守備隊に仲間達と共に入り、第十一番隊として活動していく。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら、感染者や都市外の略奪者などと戦い、都市同士の思惑に巻き込まれたりしながら日々を過ごしていた。 そして、やがて一つの真実に辿り着く。 それは大きな選択を迫られるものだった。 bio defence ※物語に出て来るすべての人名及び地名などの固有名詞はすべてフィクションです。作者の頭の中だけに存在するものであり、特定の人物や場所に対して何らかの意味合いを持たせたものではありません。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...