Koruseit world online〜魔力特化した私は体力10しかありません。なので幻術使ってどうにかしたいと思います〜

ゆうらしあ

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第1章.始まり

15.影の中へ

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 光魔術を覚えたい。私はそう思っていた。あの大男にやられて、ベリアルから言われた言葉…



「じゃあ、修行して貰おうかね。」

 ソフィアさんが指をパチンと鳴らすと、突然私の足元から"どぷん"という音が聞こえ、私の身体が影に落ちていく。


「え!?」


(スプリング!! )
 ベリアルが必死に私の腕を掴み、持ち上げようとするが現実はそう上手くいかない。


「アンタの修行は、そこで光魔術を覚える事。光と闇は正反対な属性だが、だからこそ…」

 ソフィアさんの声が途中で途切れる。
 私達は2人共影に落ちた。

 影の中は水の様で、呼吸が出来なかった。
 や、やばい…。死ぬ…。そう思った瞬間に私達は影から出た。

 どぷん


 何…ここ?

 私が出た先には街があり、薄暗く霧に包まれていた。周りも大きな木に包まれており、高さは30メートルほどはあると思う。しかし、1番気になったのは、その木が全部真っ黒な色をしている事だった。まるでそこから悪魔が出てくる様な、そんな悍ましい光景を思い浮かばせる。

 私は恐怖で数秒動けなかったが、それと同時に自分の気持ちが高揚している事に驚愕を覚えた。そして私は歩き出した。





 ~暗澹たる街~


「こんにちはー。」
 私は街の門から、小ちゃな声で挨拶をしながら入る。

(うぅ~。スプリング怖い。)
 ベリアルが羽根を震わせながら、私に擦り寄ってくる。

 可愛いな~、といつも通り思う。しかし、ベリアルがこんなに怖がるのも無理はない。
 何故なら街では誰1人歩いている人がいないのだ。家はあるのに人の気配が全くない。不気味だ。


 コンコンッ
 私は近くの家の扉をノックする。


 ……。



 何の反応もない。
 が、鍵は空いていた。


「…失礼しまーす。」
 悩んだ結果、入ったら何かこの街の事が分かるかもしれないと思い、私はゆっくりと扉を開ける。


 入ると、そこには普通の家具が置いてあった。

「うーん、別にこれといった物はないかなぁ。」
 私はちょこまかと部屋を歩いて、どこもかしこも漁りに漁った。


「最近まで人が住んでいたっぽいんだけどなぁ。」
 私がキッチンに行くと、鍋の中にスープが入っていた。あまり濁っておらず最近まで此処に人がいて、料理をしていたかの様な形跡が残っていた。


(スプリング!ここに何かある!)
 ベリアルが話しかけてきて、此処と指差していたのは、変哲もないただの壁であった。


「ん? その壁がどうしたの?」
 私がベリアルに聞くと、


(ここから風? 吹いてる?)


 ベリアルは壁を指でなぞる。
 私もそれを真似する。


「……本当だ。」
 そこからは風が通っていた。壁は、よく見れば扉の様に線が引かれている様に見えた。


 隠し扉?
 私は壁をゆっくり押す。…ビクともしない。

 私は【影魔術】を使って、扉を押した。


 ズズッ…


 扉が開くとそこには、地下へと繋がる階段の様な物が存在した。


 …わぁお。
 私は身体を震わせる。

(こわい…。)
 ベリアルも恐怖している様だ。

 その地下の階段は灯りも何もなく、闇に包まれていた。


 …ごくり。
 私は覚悟を決めて手探りで階段を降りる。


 ピチョン…ピチョン…


 その静かな階段は、何処からか水が落ちている音が聞こえていた。

 こ、怖すぎる。視覚がないだけで、こんなに怖いなんて…。

 私は少しでも気を紛らそうとして話しかける。
「この下には何があるんだろうねー。」


(………。)
 …姿は見えないが、ベリアルは私の服の裾を掴んで、ガタガタ震えている様だ。


 ベリアル…仮にも悪魔でしょうが…。
 まぁ、実は怖がりって言うのも可愛いから良いけど。


 私達はドンドン下へ進む。


「ん? 階段はなくなったみたい?」
 私達は何処か開けた場所に着いた様だった。
 私は手探りで何かないか探る。


「んー、何かないのかなぁ。」


 カチッ


 パッ


 私は何かのスイッチを押してしまった。

 そして視界が明るくなり、私達は思わず目を瞑る。数秒後、視界が回復するのを待ち目を開ける。

 そこには数々の人骨が落ちてあった。

「うぇっ…!」
 私はあまりの光景に膝をつき、嗚咽する。

 ゲーム中の筈なのに、このリアルさは何よ。やめてほしい。でも…嫌いじゃない。


 私は立ち上がり、人骨を漁る。


(ス、スプリング!? 何してるの!?)
 ベリアルは焦るように私に聞いてくる。


「おそらくここの街で何かが起こったのは事実。今まで歩いてきたけど、何の手がかりもない。ここで何もしないで街に戻るなんて出来ないよ。」
 私は額の汗を拭いながら、人骨を寄せたり、持ち上げたりして何かないか調べる。


(う~…俺も手伝う!!)
 ベリアルも私と同じ様に人骨を寄せる。


「…ふふっ。ありがとね、ベリアル。」


(べ、別に! 俺がやりたかったからやってるだけ!)
 ベリアルはそっぽ向く。


 いやいや、かわい死するわ。
 私がそんな事を思っていると、


(あれ?スプリング、アレ何?)
 ベリアルが何かを見つけた様だ。


「どうしたの?」
 私はベリアルの方に行くと、そこには黒い球体のモヤがあった。
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