Koruseit world online〜魔力特化した私は体力10しかありません。なので幻術使ってどうにかしたいと思います〜

ゆうらしあ

文字の大きさ
上 下
16 / 57
第1章.始まり

14.強くなる為に

しおりを挟む
「…見たことのない天井だ。」
 私はあの大男にやられて、恐らくは体力が0になった。そして起きた場所は、私の知らない天井だった。
 ベリアルもいるんだ…。
 私は視線を動かし、ベリアさんがいる事を知る。

 ベリアルが私に気づく。
(スプリング~。大丈夫?)
 ベリアルが眉を八の字にしながら聞いてくる。


 あまりの可愛さに抱きつこうと思ったが、心配してくれているベリアルに嫌われたくないので、私は大人の対応を心掛けた。

「はぁ…はぁ…大丈夫だよ? ベリアル?」
 …やばい。なんかすごい変態みたいになってしまった。


(よかったー。安心!)
 ベリアルがピシッとヘンテコなポーズをとる。


 …可愛い。
 私がベリアルを見て癒やさせていると、周りが見た事のある建物という事に気づいた。

「あれ? もしかしてここって、ロザンさんに会った教会?」
 此処は、私がこの世界に初めて訪れた場所であった。


 死んじゃったら此処に出るんだ。その他に死んだら…装備とかは…まぁ譲渡不可だから大丈夫か。…げっ! お金が減ってる! 1670ギル…折角初依頼を成功させて増やしたばっかなのに!!


(スプリング? どうしたの? )


「ごめん、ベリアル。私があの人に倒されちゃって、またお金減っちゃった。」
 私がベリアルに謝ると


(ううん! 気にしないで! )


「でも…。」



(俺、スプリングにあんな事言われて嬉しかった!)
 ベリアルは満面の笑みを浮かべながら言う。


 な、なんて良い子なの!! この子は!!
 私は目頭を熱くしながらも、ベリアルの頭を撫でる。

 ベリアルは気持ち良さそうに目を細めて、私の手に擦り寄る。
 なんだこの生き物、可愛すぎだろ。

 私はベリアルの頭を撫で終わると、教会から出る。


「ふぅ。」
 私達は教会から出ると近くのベンチに座り、一息ついた。



「ベリアル、これからどうする?」
 私は情けなくも、ベリアルに今後の方針を委ねた。

(スプリングはもっと強いのに、今は強くない! もっと強くなる!)
 ベリアルは両手を上げ、言う。


「もっと強いのに? どういう事?」

(スプリングは力使えきれてない! 俺もいる!2人で協力する! もっと強くなる!)
 ベリアルは今までないくらいに、情熱的に私に迫る。


 力を使えきれてない…か…。ベリアルもいる…。確かにスライムと戦った時も、あれだと協力したとは言えないかも。
 あれだとただ私が自分の身を守った後に、ベリアルに攻撃をベリアルに任せっきりにしちゃってたしね。


 私はもっと戦い方を学ぶ必要がある。



 そう考えた私は、ある所に向かった。





(スプリングー。また此処に来たの?)

「うん。」
 私達の周りが一瞬暗くなった。


「カァーッ!カァーッ!カァーッ!」
 カラスの様な鳴き声が聞こえてくる。

 そして、

 そこには1つの小さな民家が現れた。


(? なに?ここ?)
 ベリアルの頭の上に?マークが浮かぶ。


「前に私、ここで居なくなったでしょ? その時私は此処にいたの。」

 私は門をゆっくりと優しく開けると、そこにはソフィアさんがいた。


「スプリング。随分遅かったじゃないか。」
 ソフィアはそう言うと、私に近づく。


 パンッ!


 頭を叩かれた。今の攻撃で体力が1減った。
「ちょっとやめて下さい! 私体力が10しかないんですから! 」


「アンタ! 私がどれだけ待ってたと思うんだい! 来るのが遅いんだよ! 」
 ソフィアさんはそう言うと、私に怒る。


「なんでそんなに怒ってるんですか!そんなに日にち経ってないでしょ!」


「何を言ってんだ! もう2日も経ってるじゃないか! この時間があれば、ゾウでもお手玉できるようになるよ! 早く来な!」
 ソフィアさんはそう言うと、家に向かって歩いて行く。

 理不尽な事を言われたが、ついてく他ない。私達はソフィアさんの後を追って、家に入った。




 ソフィアさんは椅子に座り、ベリアルに視線を移す。

「その子は?」


「この子は私のパートナーのベリアルと言います。」

(よろしくね~!)
 ベリアルが手を挙げて、ソフィアさんに挨拶をする。


「…そうかい。」
 ソフィアさんはそう言うと立ち上がり、ベリアルにテーブルの上に置いてあったお饅頭を差し出す。


(食べて良いの? ありがとう!)
 ベリアルは満面の笑みをソフィアさんに向けると、お饅頭を受け取った。


「この子は良い子みたいだねぇ。」
 ソフィアさんはベリアルに向かって優しく微笑んでいる。


 ソフィアさんってこんな顔出来たんだ…。いつも、しわくちゃに顔を顰めているのに…。私はそんな事を考えながらソフィアさん達を見る。


 すると、ソフィアさんが首だけを回転させて私の方を向く。
「何を見てんだい。」
 短くも怒気を含くんでいる言葉だった。


「す、すみません!」
 私は思わず背筋をピンっと伸ばす。
 ビ、ビックリした。まさかこんな怒ってくるとは…。


 ソフィアさんは、もう1度椅子に座り直す。


「で、アンタらは此処に何の用があって此処に来たんだい?」
 ソフィアさんは、改めて私に聞いてくる。


「私に光魔術を教えてください!」
 私がそう言うと、ソフィアさんはニヤリと笑う。


「ま、それしかないだろうねぇ。」
 ソフィアさんは、分かっていたかの様に即答した。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

とある会社の秘密の研修

廣瀬純一
SF
男女の性別を入れ替えて研修を行う会社の話

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られる都市~

こばん
SF
世界は唐突に終わりを告げる。それはある日突然現れて、平和な日常を過ごす人々に襲い掛かった。それは醜悪な様相に異臭を放ちながら、かつての日常に我が物顔で居座った。 人から人に感染し、感染した人はまだ感染していない人に襲い掛かり、恐るべき加速度で被害は広がって行く。 それに対抗する術は、今は無い。 平和な日常があっという間に非日常の世界に変わり、残った人々は集い、四国でいくつかの都市を形成して反攻の糸口と感染のルーツを探る。 しかしそれに対してか感染者も進化して困難な状況に拍車をかけてくる。 さらにそんな状態のなかでも、権益を求め人の足元をすくうため画策する者、理性をなくし欲望のままに動く者、この状況を利用すらして己の利益のみを求めて動く者らが牙をむき出しにしていきパニックは混迷を極める。 普通の高校生であったカナタもパニックに巻き込まれ、都市の一つに避難した。その都市の守備隊に仲間達と共に入り、第十一番隊として活動していく。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら、感染者や都市外の略奪者などと戦い、都市同士の思惑に巻き込まれたりしながら日々を過ごしていた。 そして、やがて一つの真実に辿り着く。 それは大きな選択を迫られるものだった。 bio defence ※物語に出て来るすべての人名及び地名などの固有名詞はすべてフィクションです。作者の頭の中だけに存在するものであり、特定の人物や場所に対して何らかの意味合いを持たせたものではありません。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

【書籍化進行中、完結】私だけが知らない

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...