Koruseit world online〜魔力特化した私は体力10しかありません。なので幻術使ってどうにかしたいと思います〜

ゆうらしあ

文字の大きさ
上 下
8 / 57
第1章.始まり

6.幻術

しおりを挟む
「大器晩成型?」
 私はソフィアさんの言葉を自然に復唱していた。


「そうさね、まず他の魔法を覚えないと幻術は使えない。だから幻術師は不遇職として見られやすい。」

「なるほど…他の魔法というのは何の魔法を覚えればいいんですか?」
 幻術師になったからには絶対に幻術使えるようになってやる!そう思っていた。

「全部さね。」


「え…」
 咄嗟に言葉が出ず、固まる。


「全部覚えれば、幻術の効果は上がる。まぁ、まずは光魔術を覚えればいいさね。」
 ソフィアさんはキッチンに行き、茶葉の入ったティーポットを持ってきた。


「光魔術を覚えれば幻術は使えるんですか?」

「覚えたからと言って幻術を使える訳ではないよ。幻術を使うためには、複数の魔術を同時に使う訳だからね。こんな風に。」
 ソフィアさんは空中で火と水を出すと、それを合わせて水をお湯にした。お湯にした物を少しずつ、ティーポットへ入れていく。


「すごい…。でも、他の魔術が使えるなら皆んな幻術師になれば良いのに…。」

「他の魔術が使えるからと言っても、他の職業の属性魔術師と同じぐらい使えるという訳ではないのさ。」

「属性魔術師?」
 私は首を傾ける。


「アンタは…属性魔術師ってのも分からないのかい…。属性魔術師ってのは、それぞれの属性を極める事ができる職業だよ。」
 ソフィアさんは呆れながら言う。


「その属性ってのは、何があるんですか?」
 私が聞くと

「火、水、地、風、光、闇、影の7つさね。この7つを覚えれば最強の幻術師になれるよ。」

「てことは、ソフィアさんは全部覚えてるんですか!?」

「残念ながら、あと地、闇、風が覚えられてないね。この歳になっても、ここまでしか覚えれなかったんだ。もう死ぬのも近いし、私は全部覚えるのを諦めて未来に託すことにしたのさ。」
 ソフィアさんは、少し哀愁を漂わせながら言った。


「そうなんですか…。じゃあ私は全部覚えてみせますよ!」

「フフフッ、全部覚えるにはアンタの運の良さも必要さね。頑張りな。」
 ソフィアさんはそう笑いながらも、私にエールを送ってくれた。


「あと、アンタが光魔術を覚えたいって時には私を頼りな。全部を教えるのはアンタのためにはならないからやらないが、もう最低限の魔術だけは教えてやるよ。あとは…これだ。」
 ソフィアさんはそう言うと、本を取り出した。

「なんですか?これは?」
 私はそれを受け取り【鑑定】した。


 ▲ユニークアイテム
『混迷の幻惑書』
 この本には影の大精霊が宿っており、誰かを待っているかのように紫色に物寂しく輝く。使用者がこの本に適する程、本の輝きは増し、使用者を認めると、大精霊が力を貸すと言われている。

 SP+500 魔力+150  譲渡不可


 すごいチートアイテム!?
「こんなのどうするんですか!?」
 私が聞くと


「はぁ?アンタにやるのさ。」
 カップに紅茶を入れながら言う。


「はぁっ!?」
 私は思わず立ち上がる。


「私の弟子になるんだ。それぐらいの装備を持ってもらわないとと困るよ。」
 ソフィアさんは紅茶を飲む。


 いやいやいや! どう言う事!? この人なんでこんな強い装備持ってるの!?


「いらないって言うなら、いいけどね。」

「いいい、いります! ありがとうございます!!」
 私はその本を急いで抱え込み、頭を下げる。


「さて…まぁ、今日のとこはもう良いさね。ここにいるから分からないだろうけど、もう大分時間が経ってる。さっさと帰りな。」

「私はまだ居ても

「アンタが壊した門も直さないといけないしね。」

「失礼します! 師匠!」
 私は深く頭を下げて、扉を開けて外に出る。


「あ! 待ちな! これを持ってきな!」
 ソフィアさんは私にバッジを投げ渡した。


「これは?」

「アンタの目。見たところ、炎に認められし子だね。これはあって損はない筈だよ。」


『幻術破りのバッジ』
 ソフィアによって作られたバッジ。パートナー専用。パートナーに付けると幻術に掛からなくなる。禍々しい髑髏の様な見た目をしている。

 幻術無効


 おぉ!! これは!!
「絶対に必要です! ありがとうございます!」
 私はお礼を言う。

「ここに来たい時は同じように路地裏に来な! アンタにはここの出入りを自由にしとく!」
 ソフィアさんは大きな声で叫ぶ。


 その瞬間にソフィアさんの家が消えて、元にいた路地裏に帰ってくる。その瞬間、



『ユニーククエスト:ソフィアの試練がクリアされました。ユニーククエストが初めてクリアされました。クリアした人物には称号『初ユニーク攻略者』を贈与します。』

『ユニークアイテムを初めて手に入れました。手に入れた人物には称号『初ユニークを手にする者』を贈与します。』

 え、なんかめっちゃ頭に声が響いてるんですけど。

 私がそう思っていると、道の方から
「マジか!」
「嘘でしょ!?」
「誰がやったんだ!?」
 と言う声が聞こえてきた。なるほど、今のは皆んなにも聞こえてたんだ。

 すると、

(スプリング~!! どこ行ってたの!!)

「ぶへぇっ!!」
 ベリアルが私の顔面にタックルを決めてくる。


「ご、ごめんね?ベリアル。大丈夫だった?」

(大丈夫じゃないよ~! なんか大勢ここに人来たんだよ!! 俺は高く飛んでてバレなかったけど…。こわかった。)

「ご、ごめん!!お詫びと言っていいか分からないけど…これあげるから許して? 」
 私はソフィアさんからもらった『幻術破りのバッジ』をベリアルへ付けてあげる。

(………。)
 ベリアルは自分の胸に付いたバッジを見ている。

「えーと、どうかな?」

(…カッコいい!! スプリングすごい!!)
 ベリアルははしゃいで、私の周りを飛び回る。

「よ、良かった…。」
 たまたま貰った奴だけど…なんか罪悪感が…。


 ユニーククエストやらユニークアイテムやらで浮かれてた私は、突然の罪悪感に襲われセーブしてすぐにゲームから出た。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~

エール
ファンタジー
 古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。  彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。  経営者は若い美人姉妹。  妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。  そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。  最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~

ハル*
ファンタジー
高校教師の俺。 いつもと同じように過ごしていたはずなのに、ある日を境にちょっとずつ何かが変わっていく。 テスト準備期間のある放課後。行き慣れた部室に向かった俺の目の前に、ぐっすり眠っているマネージャーのあの娘。 そのシチュエーションの最中、頭ん中で変な音と共に、俺の日常を変えていく声が聞こえた。 『強制フラグを、立てますか?』 その言葉自体を知らないわけじゃない。 だがしかし、そのフラグって、何に対してなんだ? 聞いたことがない声。聞こえてくる場所も、ハッキリしない。 混乱する俺に、さっきの声が繰り返された。 しかも、ちょっとだけ違うセリフで。 『強制フラグを立てますよ? いいですね?』 その変化は、目の前の彼女の名前を呼んだ瞬間に訪れた。 「今日って、そんなに疲れるようなことあったか?」 今まで感じたことがない違和感に、さっさと目の前のことを終わらせようとした俺。 結論づけた瞬間、俺の体が勝手に動いた。 『強制フラグを立てました』 その声と、ほぼ同時に。 高校教師の俺が、自分の気持ちに反する行動を勝手に決めつけられながら、 女子高生と禁断の恋愛? しかも、勝手に決めつけているのが、どこぞの誰かが書いている某アプリの二次小説の作者って……。 いやいや。俺、そんなセリフ言わないし! 甘い言葉だなんて、吐いたことないのに、勝手に言わせないでくれって! 俺のイメージが崩れる一方なんだけど! ……でも、この娘、いい子なんだよな。 っていうか、この娘を嫌うようなやつなんて、いるのか? 「ごめんなさい。……センセイは、先生なのに。好きに…なっちゃ、だめなのに」 このセリフは、彼女の本心か? それともこれも俺と彼女の恋愛フラグが立たせられているせい? 誰かの二次小説の中で振り回される高校教師と女子高生の恋愛物語が、今、はじまる。

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

アレク・プランタン

かえるまる
ファンタジー
長く辛い闘病が終わった と‥‥転生となった 剣と魔法が織りなす世界へ チートも特典も何もないまま ただ前世の記憶だけを頼りに 俺は精一杯やってみる 毎日更新中!

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

処理中です...