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第1章.始まり
5.師弟
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私が動物達の攻撃を受け入れた瞬間、動物達が煙の様に消えていった。
すると、洋館も同時にガラガラガラッと音を立て消えていく。瓦礫はなく、動物と同様に煙の様に消えていった。
洋館が消えると、そこには小さな民家があった。民家の前には黒いローブを着た、腰の曲がった白髪のおばあちゃんが立っていた。
「ふふっ。最初から気づいてたのかい?」
とおばあちゃんは私に聞いてくる。
「いえ、全然気づきませんでした! 少し違和感があるなぁって感じただけで!!」
私がそう言うと、
「はっはっはっ! 私の幻術を見て違和感を覚えるだけでも十分さね!」
とおばあちゃんは言う。
そう。あの洋館は全て幻術で出来た物だったのだ。絵画もシャンデリアも、隅にあった蜘蛛の巣までもが、幻術で再現されていたのだ。
「これに気がついたのはアンタが初めてだよ!名前は!」
「はい!スプリングと言います!」
「スプリングかい、良い名前じゃないか。いきなりで悪いけど、アンタ私の弟子になりな。」
「はい?」
「私の幻術に違和感を覚えたんだ。アンタに才能がある事は分かった。私がアンタを一人前の幻術師にしてやるよ!」
おばあちゃんは言う。
「あの質問いいですか!」
私は手を挙げる。
「いいだろう。」
「なんで私が幻術師だと分かったんですか?」
私は疑問をぶつける。
「なんだい?そんなことかい?」
おばあちゃんは呆れながら指差す。
「あの門があっただろう?アンタが壊した門だ。まずあの門の前に来るには幻術師である事、レベル1で魔力が50以上ある事、特定の場所に来る事が求められる。だから此処にくる奴は幻術師しかいないさね。」
おばあちゃんは淡々と答える。
「なるほど…じゃあ他にお弟子さんとかは?」
「弟子は1人しか取らない主義だよ!」
おばあちゃんは怒鳴る。
「え、えっと、じゃあ何で私を弟子に?私が来る前に何人も来れると思いますけど…。」
私がそう言うと、おばあちゃんはニヤリと笑う。
「あぁ、その理由かい。理由は2つ。」
おばあちゃんは指を2本立てる。
「まずあの門を壊した事。あの門は魔力が50の者ならギリギリ開けれるくらいの重さにしてある。だが、アンタは門を壊した。どんぐらい魔力があるのか楽しみだよ。」
ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべている。
「もう1つはさっきも言ったね。アンタが私の幻術に違和感を覚えた事。私はこの大陸じゃあトップクラスの幻術師なんだけどね。自信を無くすよ。アンタの前にここに来た者はいたが、幻術だと破れなかった。そういう奴は、もう2度とここに入れない様にしているよ。」
「どうだい?これがアンタを弟子にしようとしてる理由だ。アンタがもし強くなりたくないってんなら私の弟子になっても損するだけさね。強要はしないよ。どうするんだい。」
おばあちゃんにそう言われた私は
「私は…この世界で自由に走り回れるぐらい強くなりたい…ワクワクしたい! 私に刺激をくれるなら、私は貴方の弟子になりますよ?」
まるで師匠と弟子の立場が変わった様な話し方で話す私を見て、おばあちゃんを目を見開いた。
「はっはっは!! すぐに私にそんな口を聞けなくしてやるよ!そういえば私の名前を言ってなかったね。私の名前は、ソフィア。敬意を込めてソフィアさんと呼びな!」
おばあちゃんは楽しそうな声で、手を差し伸ばしてくる。
「よろしくお願いしますね!ソフィアさん!」
私も手を差し伸べ、手を握る。
本名ソフィア・アーネット。隠居して長いが、この大陸にある王都で最強と謳われた大魔術師。そんな彼女がこのような所でなぜ隠居しているのか。それはまだ先のお話。
「じゃあ、スプリング。ずっと立ちっぱなしも膝に悪いし、家に入るよ。」
「はい!ソフィアさん!」
私は元気よく返事をし、ソフィアさんの家に入っていく。そこにはキッチンにテーブル、ベッドに本棚などと言った、全部の家具が1部屋に収められていた。
ソフィアさんが椅子に座ったので、私も正面に置いてある椅子に座る。
「私がスプリングに最初に教えることは1つ。幻術師は職業の中で最弱だって事だ。」
「え?」
私は呆然とする。幻術師はハズレ職業だったて事…?どうしよう…?もうセーブとかしちゃったし…。
ソフィアさんはニヤリと笑い、こう言った。
「クククッ、そんな顔するんじゃないよ。最弱って言っても"今は"さね。」
「今は?どういう事ですか?」
「幻術師は最初は【影魔術】しか覚えていない。しかも、影魔術は自分の影を動かすって事しかできない。幻術師になったは良いものの、幻術は使えない。だから幻術師になった者は最初頑張りはするものの、挫折してしまう事が多いのさ。」
ソフィアさんは言う。
そして
「幻術は幾つかの魔法を組み合わせて使うのさ。所謂、大器晩成型の職業さね。」
すると、洋館も同時にガラガラガラッと音を立て消えていく。瓦礫はなく、動物と同様に煙の様に消えていった。
洋館が消えると、そこには小さな民家があった。民家の前には黒いローブを着た、腰の曲がった白髪のおばあちゃんが立っていた。
「ふふっ。最初から気づいてたのかい?」
とおばあちゃんは私に聞いてくる。
「いえ、全然気づきませんでした! 少し違和感があるなぁって感じただけで!!」
私がそう言うと、
「はっはっはっ! 私の幻術を見て違和感を覚えるだけでも十分さね!」
とおばあちゃんは言う。
そう。あの洋館は全て幻術で出来た物だったのだ。絵画もシャンデリアも、隅にあった蜘蛛の巣までもが、幻術で再現されていたのだ。
「これに気がついたのはアンタが初めてだよ!名前は!」
「はい!スプリングと言います!」
「スプリングかい、良い名前じゃないか。いきなりで悪いけど、アンタ私の弟子になりな。」
「はい?」
「私の幻術に違和感を覚えたんだ。アンタに才能がある事は分かった。私がアンタを一人前の幻術師にしてやるよ!」
おばあちゃんは言う。
「あの質問いいですか!」
私は手を挙げる。
「いいだろう。」
「なんで私が幻術師だと分かったんですか?」
私は疑問をぶつける。
「なんだい?そんなことかい?」
おばあちゃんは呆れながら指差す。
「あの門があっただろう?アンタが壊した門だ。まずあの門の前に来るには幻術師である事、レベル1で魔力が50以上ある事、特定の場所に来る事が求められる。だから此処にくる奴は幻術師しかいないさね。」
おばあちゃんは淡々と答える。
「なるほど…じゃあ他にお弟子さんとかは?」
「弟子は1人しか取らない主義だよ!」
おばあちゃんは怒鳴る。
「え、えっと、じゃあ何で私を弟子に?私が来る前に何人も来れると思いますけど…。」
私がそう言うと、おばあちゃんはニヤリと笑う。
「あぁ、その理由かい。理由は2つ。」
おばあちゃんは指を2本立てる。
「まずあの門を壊した事。あの門は魔力が50の者ならギリギリ開けれるくらいの重さにしてある。だが、アンタは門を壊した。どんぐらい魔力があるのか楽しみだよ。」
ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべている。
「もう1つはさっきも言ったね。アンタが私の幻術に違和感を覚えた事。私はこの大陸じゃあトップクラスの幻術師なんだけどね。自信を無くすよ。アンタの前にここに来た者はいたが、幻術だと破れなかった。そういう奴は、もう2度とここに入れない様にしているよ。」
「どうだい?これがアンタを弟子にしようとしてる理由だ。アンタがもし強くなりたくないってんなら私の弟子になっても損するだけさね。強要はしないよ。どうするんだい。」
おばあちゃんにそう言われた私は
「私は…この世界で自由に走り回れるぐらい強くなりたい…ワクワクしたい! 私に刺激をくれるなら、私は貴方の弟子になりますよ?」
まるで師匠と弟子の立場が変わった様な話し方で話す私を見て、おばあちゃんを目を見開いた。
「はっはっは!! すぐに私にそんな口を聞けなくしてやるよ!そういえば私の名前を言ってなかったね。私の名前は、ソフィア。敬意を込めてソフィアさんと呼びな!」
おばあちゃんは楽しそうな声で、手を差し伸ばしてくる。
「よろしくお願いしますね!ソフィアさん!」
私も手を差し伸べ、手を握る。
本名ソフィア・アーネット。隠居して長いが、この大陸にある王都で最強と謳われた大魔術師。そんな彼女がこのような所でなぜ隠居しているのか。それはまだ先のお話。
「じゃあ、スプリング。ずっと立ちっぱなしも膝に悪いし、家に入るよ。」
「はい!ソフィアさん!」
私は元気よく返事をし、ソフィアさんの家に入っていく。そこにはキッチンにテーブル、ベッドに本棚などと言った、全部の家具が1部屋に収められていた。
ソフィアさんが椅子に座ったので、私も正面に置いてある椅子に座る。
「私がスプリングに最初に教えることは1つ。幻術師は職業の中で最弱だって事だ。」
「え?」
私は呆然とする。幻術師はハズレ職業だったて事…?どうしよう…?もうセーブとかしちゃったし…。
ソフィアさんはニヤリと笑い、こう言った。
「クククッ、そんな顔するんじゃないよ。最弱って言っても"今は"さね。」
「今は?どういう事ですか?」
「幻術師は最初は【影魔術】しか覚えていない。しかも、影魔術は自分の影を動かすって事しかできない。幻術師になったは良いものの、幻術は使えない。だから幻術師になった者は最初頑張りはするものの、挫折してしまう事が多いのさ。」
ソフィアさんは言う。
そして
「幻術は幾つかの魔法を組み合わせて使うのさ。所謂、大器晩成型の職業さね。」
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