Koruseit world online〜魔力特化した私は体力10しかありません。なので幻術使ってどうにかしたいと思います〜

ゆうらしあ

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第1章.始まり

2.人だかり

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 ~始まりの街 アバール~


「おぉ~!!」
 私は教会から出た。そこには石造りの街、そして噴水に屋台ととても賑わっていた。

(楽しそう!ここ!)
 ベリアルは言う。

 私も同感だ!とてもワクワクするぞ!!
 んーと、とりあえずは何をしようか?と考えていると、私の視界の上の方に3×3の四角が集まっているボタンのようなとこがあった。私はそこを押してみる。すると

 ステータス、装備、お金、持ち物、セーブ、ヘルプ、イベントと言った機能があった。

 ステータスを開くと私の姿が確認できた。
 私の身長は、おそらく小6ぐらいの身長まで下がっていた。正確には分からないが、150センチぐらいだと思う。髪は黒のロング、触ってみると中々にサラサラだった。右目の中には太陽のタトゥーがあった。しかも現実と違って、美少女だった! 現実だったら、絶対取材とかされる系の美少女!!

 ふふっ、ここまで可愛くなってるとセーブしてないとアバターが次やる時には無くなってるっていう事になりかねん!
 私は歩きながらセーブをする。

 よし。これでOK。
 あと、お金は…10000ギルある。これはどのくらいの価値なんだろう。分からない。とりあえずここら辺のお店回って調査してみようかな!

 私たちは屋台をまわった。

(スプリング!あれ美味しそう!)
 ベリアルは焼き鳥の様なものを指差して、言う。

「おー!確かに美味しそう!」

 私達は焼き鳥を2本買った。100ギルだった。大体現実と変わらないかな?と思ってたが、私はある事に気がついた。美味しそうで思わず買っちゃったけど…味するのかな?ゲームで味ってするのかな?

 私はベリアルに1本あげる。
(ありがとー!パクッ。おいし~!)
 ベリアルは目をキラキラさせながら私の周りを飛ぶ。

 ほっこりするな~。ベリアル可愛すぎる…!私がボーッとベリアルを見てると

(スプリングは食べないの?)
 と聞かれた。

「あ、あー!! 食べる!食べるよ!!」
 覚悟を決めろ私!! ベリアルに言われたんだもん。例え味がなかったとしても美味しそうなフリを…!! 私は一気に齧り付いた。


 ……美味しい!!
 すごい! ゲームなのに味がする!!
 あっという間に完食してしまった。

「これだとダイエットとかになるんじゃない!?」
 私は思わず叫ぶ。

 そう言ってると、空中に赤い文字で

「注意」ゲームの中で食べ物を食べても、現実ではお腹は満たされません。時々休憩をしましょう。またトイレ休憩もしましょう。

 と出た。

 あ、はい。そうなんですね。


 ……やっばい。今叫んだので、めっちゃ周囲の目がこっちに向いてる。

 私はそこから一刻も早く離れたくなり、走った。

「わぁー!! 殺してくれー!!」
 と恥ずかしい声を上げながら。


 はぁ。はぁ。もう、無理だ。走れない。
 と思い、近くのベンチに座り込む。

(大丈夫?スプリング?)

「ダイジョバナイ。」
 と私は新しい単語を生み出す程に疲れていた。
 体力とか10しかないからかな。敏捷に関しては5だし。そしてふと顔を上げるとそこには門があった。

 あれは、外に出る門かな。
 …ちょっとだけ、外に出てみようかな?

 私は門に近づく。

(もう外に出るのー?)
 ベリアルが心配そうに言ってくる。

「んー、出てみたいけど…ベリアル死んじゃったら嫌だしなー。」

(俺もスプリング死んだら嫌!)
 ベリアルは可愛い事を言う。この見た目とのギャップが堪らないよ。本当に。もう尊い。

 私達が2人でイチャイチャしていると、周囲の人からまた視線が集まり、ひそひそと私達の話をされる。

「え!あれ!!」
「おい!バカ!声でけーよ!」
「え、だってあれ…!」

「ん!? え!?」
「んー? どうしたー?」
「おい!! あれ見てみろよ!!」

 え、なんかすごい注目集めちゃってる。
 私の周りに、少し離れて人集りができる。

 流石に人前でイチャイチャするのは嫌だったので、私はベリアルを抱えてそこから逃げた。

「あ、待って!」
「おい!逃げたぞ!」

 ひ、ひぃ~!! なんかみんな追いかけてくるんですけど!! 私は近くにある路地裏に飛び込んだ。

「おい!あそこに入ったぞ!」
「あの人とぜひフレンドに!」

 怖いよ!! なんかみんな必死過ぎるよ!!
 私はベリアルを抱えながら逃げてるせいか、先程よりも体力の減りが早かった。

「も、もうダメ。」
 私は路地裏に入り、少し行って曲がったところで疲れて膝に手をつく。

(スプリング、いじめられてる?)
 ベリアルが心配そうに聞いてくる。

「あー、多分そうだと言えるね。」
 私が、少し笑いながらそう答えると
(そうなんだ…じゃあ俺がどうにかする!)
 ベリアルはそう言うと、私の後ろに立ち、庇う様な体勢になる。

「ベ、ベリアル! 何をする気なの!?」
 私が聞く。
(大丈夫。安心してー!)
 ベリアルはそう言うと、路地裏の角の方に指を指すと


(【いたずら】!!)
 と叫ぶ。


 追っかけてた人達が曲がり、私達を見つける。
「いた!あそこだ!!」
「ごめん!そこの君!よかったら!」

 私達に近づいてきた瞬間、ゴキブリがその人達の周りに大量発生した。

「うおっ!?」
「ぎゃーっ!!」
「何何何!?」
「ふっ…。」

 それぞれ悲鳴をあげる。最後の人に至っては意識を手放した様だった。

「うわぁ…」
 私が憐れんだ目で見る。するとそれを見たゴキブリさん達(追いかけてきた人達)は、何故か恍惚とした表情を見せると体を震わせ、皆失神した。

「とりあえず…逃げよ。」
 私達は、その人達を放ってそこから離れた。
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