Koruseit world online〜魔力特化した私は体力10しかありません。なので幻術使ってどうにかしたいと思います〜

ゆうらしあ

文字の大きさ
上 下
4 / 57
第1章.始まり

2.人だかり

しおりを挟む
 ~始まりの街 アバール~


「おぉ~!!」
 私は教会から出た。そこには石造りの街、そして噴水に屋台ととても賑わっていた。

(楽しそう!ここ!)
 ベリアルは言う。

 私も同感だ!とてもワクワクするぞ!!
 んーと、とりあえずは何をしようか?と考えていると、私の視界の上の方に3×3の四角が集まっているボタンのようなとこがあった。私はそこを押してみる。すると

 ステータス、装備、お金、持ち物、セーブ、ヘルプ、イベントと言った機能があった。

 ステータスを開くと私の姿が確認できた。
 私の身長は、おそらく小6ぐらいの身長まで下がっていた。正確には分からないが、150センチぐらいだと思う。髪は黒のロング、触ってみると中々にサラサラだった。右目の中には太陽のタトゥーがあった。しかも現実と違って、美少女だった! 現実だったら、絶対取材とかされる系の美少女!!

 ふふっ、ここまで可愛くなってるとセーブしてないとアバターが次やる時には無くなってるっていう事になりかねん!
 私は歩きながらセーブをする。

 よし。これでOK。
 あと、お金は…10000ギルある。これはどのくらいの価値なんだろう。分からない。とりあえずここら辺のお店回って調査してみようかな!

 私たちは屋台をまわった。

(スプリング!あれ美味しそう!)
 ベリアルは焼き鳥の様なものを指差して、言う。

「おー!確かに美味しそう!」

 私達は焼き鳥を2本買った。100ギルだった。大体現実と変わらないかな?と思ってたが、私はある事に気がついた。美味しそうで思わず買っちゃったけど…味するのかな?ゲームで味ってするのかな?

 私はベリアルに1本あげる。
(ありがとー!パクッ。おいし~!)
 ベリアルは目をキラキラさせながら私の周りを飛ぶ。

 ほっこりするな~。ベリアル可愛すぎる…!私がボーッとベリアルを見てると

(スプリングは食べないの?)
 と聞かれた。

「あ、あー!! 食べる!食べるよ!!」
 覚悟を決めろ私!! ベリアルに言われたんだもん。例え味がなかったとしても美味しそうなフリを…!! 私は一気に齧り付いた。


 ……美味しい!!
 すごい! ゲームなのに味がする!!
 あっという間に完食してしまった。

「これだとダイエットとかになるんじゃない!?」
 私は思わず叫ぶ。

 そう言ってると、空中に赤い文字で

「注意」ゲームの中で食べ物を食べても、現実ではお腹は満たされません。時々休憩をしましょう。またトイレ休憩もしましょう。

 と出た。

 あ、はい。そうなんですね。


 ……やっばい。今叫んだので、めっちゃ周囲の目がこっちに向いてる。

 私はそこから一刻も早く離れたくなり、走った。

「わぁー!! 殺してくれー!!」
 と恥ずかしい声を上げながら。


 はぁ。はぁ。もう、無理だ。走れない。
 と思い、近くのベンチに座り込む。

(大丈夫?スプリング?)

「ダイジョバナイ。」
 と私は新しい単語を生み出す程に疲れていた。
 体力とか10しかないからかな。敏捷に関しては5だし。そしてふと顔を上げるとそこには門があった。

 あれは、外に出る門かな。
 …ちょっとだけ、外に出てみようかな?

 私は門に近づく。

(もう外に出るのー?)
 ベリアルが心配そうに言ってくる。

「んー、出てみたいけど…ベリアル死んじゃったら嫌だしなー。」

(俺もスプリング死んだら嫌!)
 ベリアルは可愛い事を言う。この見た目とのギャップが堪らないよ。本当に。もう尊い。

 私達が2人でイチャイチャしていると、周囲の人からまた視線が集まり、ひそひそと私達の話をされる。

「え!あれ!!」
「おい!バカ!声でけーよ!」
「え、だってあれ…!」

「ん!? え!?」
「んー? どうしたー?」
「おい!! あれ見てみろよ!!」

 え、なんかすごい注目集めちゃってる。
 私の周りに、少し離れて人集りができる。

 流石に人前でイチャイチャするのは嫌だったので、私はベリアルを抱えてそこから逃げた。

「あ、待って!」
「おい!逃げたぞ!」

 ひ、ひぃ~!! なんかみんな追いかけてくるんですけど!! 私は近くにある路地裏に飛び込んだ。

「おい!あそこに入ったぞ!」
「あの人とぜひフレンドに!」

 怖いよ!! なんかみんな必死過ぎるよ!!
 私はベリアルを抱えながら逃げてるせいか、先程よりも体力の減りが早かった。

「も、もうダメ。」
 私は路地裏に入り、少し行って曲がったところで疲れて膝に手をつく。

(スプリング、いじめられてる?)
 ベリアルが心配そうに聞いてくる。

「あー、多分そうだと言えるね。」
 私が、少し笑いながらそう答えると
(そうなんだ…じゃあ俺がどうにかする!)
 ベリアルはそう言うと、私の後ろに立ち、庇う様な体勢になる。

「ベ、ベリアル! 何をする気なの!?」
 私が聞く。
(大丈夫。安心してー!)
 ベリアルはそう言うと、路地裏の角の方に指を指すと


(【いたずら】!!)
 と叫ぶ。


 追っかけてた人達が曲がり、私達を見つける。
「いた!あそこだ!!」
「ごめん!そこの君!よかったら!」

 私達に近づいてきた瞬間、ゴキブリがその人達の周りに大量発生した。

「うおっ!?」
「ぎゃーっ!!」
「何何何!?」
「ふっ…。」

 それぞれ悲鳴をあげる。最後の人に至っては意識を手放した様だった。

「うわぁ…」
 私が憐れんだ目で見る。するとそれを見たゴキブリさん達(追いかけてきた人達)は、何故か恍惚とした表情を見せると体を震わせ、皆失神した。

「とりあえず…逃げよ。」
 私達は、その人達を放ってそこから離れた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

とある会社の秘密の研修

廣瀬純一
SF
男女の性別を入れ替えて研修を行う会社の話

セリオン共和国再興記 もしくは宇宙刑事が召喚されてしまったので・・・

今卓&
ファンタジー
地球での任務が終わった銀河連合所属の刑事二人は帰途の途中原因不明のワームホールに巻き込まれる、彼が気が付くと可住惑星上に居た。 その頃会議中の皇帝の元へ伯爵から使者が送られる、彼等は捕らえられ教会の地下へと送られた。 皇帝は日課の教会へ向かう途中でタイスと名乗る少女を”宮”へ招待するという、タイスは不安ながらも両親と周囲の反応から招待を断る事はできず”宮”へ向かう事となる。 刑事は離別したパートナーの捜索と惑星の調査の為、巡視艇から下船する事とした、そこで彼は4人の知性体を救出し獣人二人とエルフを連れてエルフの住む土地へ彼等を届ける旅にでる事となる。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られる都市~

こばん
SF
世界は唐突に終わりを告げる。それはある日突然現れて、平和な日常を過ごす人々に襲い掛かった。それは醜悪な様相に異臭を放ちながら、かつての日常に我が物顔で居座った。 人から人に感染し、感染した人はまだ感染していない人に襲い掛かり、恐るべき加速度で被害は広がって行く。 それに対抗する術は、今は無い。 平和な日常があっという間に非日常の世界に変わり、残った人々は集い、四国でいくつかの都市を形成して反攻の糸口と感染のルーツを探る。 しかしそれに対してか感染者も進化して困難な状況に拍車をかけてくる。 さらにそんな状態のなかでも、権益を求め人の足元をすくうため画策する者、理性をなくし欲望のままに動く者、この状況を利用すらして己の利益のみを求めて動く者らが牙をむき出しにしていきパニックは混迷を極める。 普通の高校生であったカナタもパニックに巻き込まれ、都市の一つに避難した。その都市の守備隊に仲間達と共に入り、第十一番隊として活動していく。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら、感染者や都市外の略奪者などと戦い、都市同士の思惑に巻き込まれたりしながら日々を過ごしていた。 そして、やがて一つの真実に辿り着く。 それは大きな選択を迫られるものだった。 bio defence ※物語に出て来るすべての人名及び地名などの固有名詞はすべてフィクションです。作者の頭の中だけに存在するものであり、特定の人物や場所に対して何らかの意味合いを持たせたものではありません。

処理中です...