ハッタリ宮廷魔導士〜転生したが嘘を付き続けないと事実上、死が確定するようです〜

紅雷

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一章 ハッタリ宮廷魔導士誕生

10話 戦闘終了

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「おつかれ、ハクト!」
「おう、おつかれ」

 盗賊達が逃げ出したのを改めて確認し、シルフと俺は、ハイタッチをした。

「しかし、本当に上手くいったね。こんな、作戦が成功するとは思わなかったよ」
「確かにな。俺も、もう少し苦戦すると思ったが⋯⋯俺のスキルが活躍したのか?」
「さぁ? あたいには、分からないな~。でも、これで、美味しい物が食べられるだよね!」
「待て待て、まだ、お礼が貰えて無いんだから、いま言った事、口走るなよ」
 
 作戦が成功したからか、完全に浮かれているシルフに、俺たちの最終目的を喋らないように、釘を刺したのだが、

「大丈夫! あたいは口が硬いからね。そんな事よりも、騎士の人達を助けてくるね!」

 そう言って、飛んで行ってしまった。

  (駄目そうな気がする⋯⋯まぁ、いいか)

 ふぅ、とため息をつきながら、さっきの事を思い返していた。

  (⋯⋯こんな作戦で、本当に逃げてくれるとは)

 そんな事を思いながら、俺は、今回の作戦を思い返した。

『それで、ハクト、どうやってあの盗賊と戦うの? さっきも言ったけど、あたい、あの数相手は無理だよ?』
『分かってる。てか、そもそも、向こうの盗賊と戦闘して勝つ事が、目的じゃない』
『⋯⋯どういう事?』
『簡単な事さ。なぁシルフ、俺たちの、姫さまを救う為に必要な事は、何だと思う?』

 シルフが、頭を悩ませていたので、少しだけヒントを与えた。

『う~ん? お姫様を助ける為に、あの盗賊を倒す事?』
『まぁ、そうかも知れないが、いいか、確かに俺たちは、姫さまを助ける事が目標だ。だが、そこに、盗賊を倒して姫さまを救出しろとは言われてない』
『⋯⋯それって、つまり⁉︎』
『あぁ、盗賊を脅して、逃しても問題が無いんだよ』

 俺がこう言うと、シルフは納得した様子で、こちらを見ていた。
 
 そう、俺たちの目的は、姫さまの救出し、そのあと貰える筈の報酬である。その為、盗賊を倒そうが逃そうが、関係ないのである。
 それならば、無駄に戦わず、逃げて貰えるようすればいいのだ。
 そのために、俺はとある事をシルフに聞いた。

『なぁ、シルフ。ちょっと確認だが、透明になって、足を切る事が出来るか?』
『えっと、風魔法を、スキルと一緒に使えば出来るけど⋯⋯』
『なら、よし! いいか、作戦はこうだ』

 シルフが、透明になって、魔法を使う事が出来る事を確認して、俺はシルフに作戦を伝えた。

 作戦は、こうである。

 まず、そこら辺の木の棒を加工し、作ったそれっぽい杖を使い、俺が魔法の使える、魔道士だと思わせる。
 その上で、こちらに近づいて来た人を、スキル【隠蔽】を使ったシルフが、そいつに、風魔法を放ち、足を切る。

 こうする事により、俺に近づいたら、足が飛んでしまうと、相手に錯覚させる事が出来る。
 そうなれば、俺に近づこうとはせず、部が悪いと、逃げてくれるかもしれない。

 また、しっかり逃げてくれるように、こちらの目的は、あくまで姫さまであり、あんたらには興味が無い的な事を言っておけば、大丈夫だろうと思った。

 ちなみに、逃げた盗賊達に関しては、俺たちには関係ない為、他の人達に任せる事にした。

  (⋯⋯と、こんな感じの策――策なのか分からんが、とりあえず、この作戦を決行してみたんだが⋯⋯本当に向こうは逃げてくれたし、まぁ、いいか)

 盗賊の撃退が終わって為、少し気を緩めていたが、

 「ハクト! ちょっと手伝って!」
 
 と、シルフの声がした。
 声のする方へ、視線を向けて見ると、横転した馬車を戻そうとしている、二人の騎士の姿があり、そこで、シルフが手を振って、俺を呼んでいたのだ。

  (⋯⋯あれを手伝えと?)

 状況的に、あの馬車を、持ち上げるのを手伝えと言われるだろう。
 だが、俺は、あの馬車を持ち上げられる程の力が無いのだ。

  (⋯⋯でも、手伝わないと、後で面倒だしな⋯⋯しゃあない)

 そう思い、仕方なく、シルフの方へ向かった。
 
 
 
 
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