八月のクローバー

野草のな

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ゲーム 前編

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あにいの腕の怪我は、ずいぶんよくなってきた。

ここへ来たときは開いていた傷口も、今は大きなカサブタになっている。

ご飯を食べたり服を着替えるのも、一時のように手伝わなくてよくなった。

ただ、ちょっと目を離すと、あにいはカサブタをはがそうとしはじめる。

その時も、あにいは寝床に座って、傷をいじっていた。

俺は近づいて、腕を押さえてやめさせた。

「コラ。治らないだろ。だめ」

あにいは顔をしかめ、ぼそりと答えた。

「かゆいんだよ」

「だめ」

「血は出ないようにしてる」

「だめだったら。治ったら勝手にはがれるから」

「嫌だ。今、かゆい」

「もう」

聞き分けないあにいに、俺はため息をついた。

彼には、ちょっとわがままなところがある。

自分の意見を曲げるのが、あまり得意ではない。

気に入らないと、そっぽを向いてしまう。

俺にも、たまに不機嫌な顔を見せることがあった。

今日もそうだった。

かまわれたのがわずらわしかったらしく、あにいは俺を振り払って、布団にもぐりこんでしまった。

俺はまた、ため息をつく。

今日は雨が降っている。外に出られない。

エルゼは朝から街に出ていって、いない。

彼女は、基本的にいつも、一人で別行動していた。

食事だけはきちんと作ってくれるが、それ以外はどこで何をしているのか、実は俺もよく知らない。

どうやら、失せ物探しのようなことをやっていると、何かの折りに言っていた。

本当かどうかは、わからない。

あまり詮索すると、あにいと同じで、エルゼも怒るのだ。

私の勝手だ、好きにさせろ、と言ってくる。

ふたりとも、頑固なところが妙に似ていた。

外で、雷が鳴った。

この季節、山の向こうで鳴る雷は、雪を呼ぶと言われている。

今はまだ雨だが、そのうち白いものが降ってくるかもしれない。

そうなると、今よりもっと寒くなるだろう。

うかつに出歩けなくなるなと、俺はため息をつく。

外は凍えるように寒いけれど、寝床のあるこの土管の中は、温かい空気で満ちていた。

実は、寝床の底に秘密がある。

コード、と呼ばれるものが、仕込んであるのだ。

魔法みたいなもの、と思ってもらえばいい。

決められた図柄をかいて、適切な文言を口にすると、それに見合った事象が発生する。

コードとは略称で、正式には、天星降臨術式と言う。

天を統べる星の法則を、一時的に地上の、指定した空間内に適応するのだ。

それ以上に詳しいことは、残念ながら俺にはよくわからない。

耳で覚えた異国の言葉が、ちゃんとした文法を知らなくても通じることがあるように、原理を知らなくとも使うことはできる。

俺たちの生活の至るところに、それは使われていた。

ひとつの文明を支えている、といっても、過言ではない。

俺もたまに使う。夜目を効かせるとか、簡単なものだけれど。

図紋と文言さえあれば、誰にでも使える便利な力だ。

今も、この寝床を暖めている。

正確には、寝床のコードはエルゼが起動したもので、俺は何もしていないけれど。

温度を調節したりするのも、エルゼにしかできない。

俺はただ、恩恵に甘んじているだけだった。

おかげで、凍え死にせずにすんでいる。

エルゼには、頭が上がらない。

もうそろそろ、彼女が戻ってきてもよさそうな頃だ。

外からは、雨の音が聞こえるのみだった。

「チタル」

ふいに、くぐもった声が聞こえた。

振り向くと、あにいが布団から、顔だけをのぞかせていた。

不満そうな顔で、彼はつぶやいた。

「退屈だ」

「うん」

俺も同感だったので、うなずいた。

雨の日は、俺も仕事ができない。

雨があがると、仕事が山ほどできるので、それに備えてじっとしている。

要は、何もやることがない。暇だ。

あにいとふたりして、俺は黙りこんだ。

そこでふと、ひらめいた。

ひとりではなくふたりなら、できることがある。

「あにい」

呼び掛けると、彼はもそりと顔をこちらに向けた。

俺は、着ていたベストの内ポケットから、分厚くて四角い、革のケースを取り出した。

煙草入れに似ているが、違う。

中身は、カードだった。

つまり、トランプだ。

「ゲームしようぜ」

オレが笑いかけると、あにいは目を輝かせた。

「そういうのがあるんなら、早く出せよ」

ちょっと生意気な言い方だったが、顔は期待にほころんでいた。

俺が寝床によじのぼると、あにいもごそごそ布団から出てきた。

寝ぐせがついて、髪がはねている。

あにいの銀色の髪は、どうやらクセがつきやすい毛質らしく、いつも毛先がはねていた。

触覚みたいで、なんか可愛い。

つい、手をのばしてさわってしまった。

なでると、髪のクセはぺたんと消えた。

素直じゃないようで、素直だ。まるで、あにいそのものみたい。

「触んなっ」

不機嫌な声とともに、あにいが頭を振って、俺の手をはらいおとした。

そのまま、彼は自分で髪をくしゃくしゃともみ、手のひらで大きく後ろへなでつけた。

どうしてもおでこを出しておきたいらしい。

けれど、なでつけるそばから、ぴょんぴょんと遊び毛がたった。
さすがに手ぐしだけでは、きれいなまっすぐにはならない。

つい笑って、言ってしまった。

「あんまりなおってないぞ?いいじゃん、そのままにしときなよ。可愛いよ」

「なっ!?」

あにいの頬が、さっと赤くなった。

「かっ、かわいいっ!?馬鹿にしてんのかっ!」

きん、と耳の奥に響く声で、彼は怒鳴った。

怒ってしまった。いや、これは照れているのかな。ああ、もう耳の先まで真っ赤になってしまった。

「見るなー!」

ついに、あにいは爆発して、布団を頭からかぶってしまった。

ああ、照れてるな。すごく恥ずかしがってる。

何だかんだで、彼はすぐに赤くなる。感情の沸点が低いのだ。
体は俺より大きいのに、小さい子供みたいに見えて、ほほ笑ましい。

そのとき、俺はふと思い出した。

そういえばこのあいだ、川原で面白いものを拾ったのだった。

俺は寝床から身をのりだし、壁に寄せて置いてあった、自分の道具袋を引き寄せた。

こまごまとした掃除用具にまじって、樹脂製の輪っかのようなものが入っていた。

俺はそれをつかみだした。

カチューシャだった。

女の子が、髪につけるものだ。

虹のような半円のアーチ型で、タンポポみたいな色をしている。

おそらく子供用だけれど、壊れていないし、落ちてくる髪をとめておくのに不足はないはずだ。

本当はエルゼにあげようと思っていたのだけれど、まあ、いいか。

それを後ろ手にかくし、俺はあにいに近付いた。

「あにい、ちょっと」

声をかけると、しばらくして、布団が持ちあがった。

ぶすっとした顔のあにいが、中から現れる。

いまや、不機嫌最高潮の様子だ。

俺はそっと布団をはいで、髪が乱れかかっている彼のおでこを、なでてやった。

ここを触られると、あにいは大人しくなる。

案の定、ぴくっとふるえて、彼は目を真ん丸にした。

隙あり。

俺は彼にほほ笑みかけ、おでこから頭の後ろにかけて大きくなでつけたあと、何気ない風にそこへカチューシャをつけた。

あにいは、ぽかんとして俺を見上げた。

何が起きたのかわからない、という顔をしていた。

「よし、もっと可愛くなったぞ」

自分で言ってみてから、驚いた。

思ったより、よく似合っていた。

似合うというよりも、あるべきものが、あるべき場所にはまった、という感じに近かった。

大きさもぴったりで、子どもっぽいタンポポの色も、不思議と髪や目の色に調和している。

何より、きれいにひたいが出ていると、彼の顔の造作は引き立つのだった。

俺が感心していると、ようやくあにいは事を悟ったらしく、動き出した。

自分で頭をさわり、異物に気づいて引き抜こうとする。

俺はあわてて、傷をいじるのをやめさせるときと同じ要領で、彼の腕をおさえた。

「だめ。いい感じだから、そのままにしときなよ。そのほうが、髪、邪魔にならないだろ?」

言われて、しぶしぶあにいは手を引いた。

代わりに、着なれない服を無理やり着せられたような、居心地の悪そうな顔になった。

何度か気にするそぶりを見せたが、やがてあきらめたらしい。

ため息をついて、俺をにらみつけた。

「オレで遊ぶなんて、いい度胸だな」

言葉に反して、顔はほんのりと桃色になった。

俺は笑った。

「遊んでないよ。可愛いって」

「遊んでる。可愛いって、なんだ。嬉しくない」

「可愛くないよりは、いいだろう?」

「よくない」

「まあ、いいじゃん。さ、ゲームしようぜ」

「ごまかすな」

気を取り直し、ケースからカードを取り出す俺を、あにいはきつくにらんだ。まだ顔が赤い。

俺はつい、いたずらっ気をおこした。

カードを手のなかにかくし、言ってみる。

「じゃあ、やめとく?」

あにいはぐっと何かをこらえるようにうつむき、やがて小さい声で、つぶやいた。

「やる」

「よし」

俺は満足して、うなずいた。

対するあにいは、瞳に何やら、暗い炎を灯した。

これは荒れるな、とふと予感した。


勝敗とは、荒波をうがつ雷鳴の一撃である。

「はい、あがりー。俺の勝ち」

「ぐうぅっ」

俺がカードを投げて両手をあげると、あにいは腹を押さえてうずくまった。

結論から言うと、彼は弱かった。

考えていることが、顔に全部出るからだ。嘘がつけないのだ。

何かたくらんでいれば、口元がにやつく。

焦っていると、目に余裕がなくなる。

わかりやすすぎて、逆にいたたまれない。

何度やっても、結果は同じなのだった。

そろそろ、ババ抜きはやめてあげたほうがいいのかもしれない。

しかし、

「ううっ、もう一回ぃっ」

「えー?」

あにいは、ちっとも懲りなかった。

負けても負けても、まったくへこたれない。

歪んだタフネスだった。

諦めないのはいいとしても、結果から全く学ばない、ちらりとも反省しない、というのは、いただけない。

さすがに俺も、ひとこと言いたくなった。

「あのな、あにい。おんなじだって、何回やっても。顔にでちゃってるんだよ。向いてないって」

「うるせえー!」

あにいは半泣きで、食ってかかってきた。

「やられっぱなしで黙ってられるかあー!」

「だから、なんでやられちゃうのか、考えてみたことある?変わってないじゃん、なんにも」

「るせえるせえっ!そんなの、運だっ!」

「え、ええー」

俺はげんなりした。

駄目なやつだ、これ。説得が通じない。

駆け引きの意味とか、醍醐味とか、そういうもの自体をわかっていなさそうな雰囲気だ。

どちらかというと知的に見える風貌なのだが、中身は意外と脳筋らしい。

猪突猛進、という言葉が脳裏をよぎった。

頭をかかえた俺に、あにいはつかみかかってきた。

「なんだよぉっ、その顔ぉっ!なんか文句あんのかよぉっ、もう一回だあっ!」

ぐるんぐるんと俺を振り回す。傷に触るんじゃないかとひやひやしたが、あにいはまったく無頓着だ。すぐに俺をぽいっと放り出し、臨戦態勢に入った。

「なにやら、にぎやかだな」

可愛らしく、威厳のある声が急に響いた。

はっとして見ると、寝床の前に、エルゼが姿を表していた。

いつからそこにいたのか、まったく気配がなかった。神出鬼没とはこのことだ。

エルゼは涼しい顔で、着ていたフードつきの上着を脱いだ。

成人男性の着る防水ジャケットで、グレーの地に白いラインが入っている。ぶかぶかだが、そのおかげで彼女の全身はすっぽりおおわれ、ほとんど濡れていなかった。

「雪になりそうだぞ。今日はもう、出られそうにないな」

彼女はそう言いながら、ぽんぽん、とブーツを脱ぎすて、寝床によじ登ってきた。

白いワンピースが、布団の上にふわりとひろがる。

俺がはっと我にかえるのと、エルゼがふわっとほほ笑むのが同時だった。

「さあ、私は帰ってきたぞ。ふたりとも、何か私に言うことがあるはずだが?」

一瞬戸惑ったが、俺は理解した。

「あ、おう。おかえり」

「うむ!」

彼女は、満足そうに笑った。

エルゼの顔は、美人というよりは愛嬌のある部類だった。鼻がまるく、ぺたんと上を向いている。目はぱっちりしていて、やっぱりまるい。

その瞳は、ちょっと見かけない色だった。暗い屋内では桃色に、明るい光のなかでは、淡い桜色に光る。

髪の色はさらに不思議で、背中が隠れるほど長い金髪なのだが、毛先に近づくにつれて色が変わる。瞳と同じ、桜色になるのだ。

俺が見つめていると、エルゼはふと、不思議そうに首をかしげた。

「おや?あにいよ。何やら、可愛らしきものを身に付けているな?」

名指しされたあにいは、ぎくりとのけぞった。手がさっとひたいを押さえ、頬が桃色になった。

「かっ、かわいいって言うなっ!」

燃えるような叫びをあげるあにいを見て、エルゼはふっと笑った。

何やら、威圧的な笑みだった。

「ほう、よかろう。では、謝罪の代わりに、あにいも私におかえりなさいを言うがいい。それで許してやろう」

「はあっ!?」

あにいの声がひっくり返った。

俺も、さすがにあきれた。ただ単に、言わせたいだけだろう。代わりもなにもない。

しかし、エルゼはゆるがない。

「さあ、どうした?あにいよ、言わないのなら、もっと可愛がってやるぞ?」

ぷくりとやわらかい腕に、どこか気品をまとわせて、エルゼはあにいに詰め寄った。

真っ赤になったあにいは、のどに何かが詰まったような音を発した。次の瞬間、彼はエビのように素早く、寝床のはしに逃げた。

「こわがらずともよい」

肩をすくめ、エルゼは柔らかな声で言った。

その彼女を遠くから、あにいは油断なくにらみつけた。完全に警戒している。あっという間に、彼は手近にあった布団にもぐり、隠れてしまった。

俺はため息をついて、妹をこづいた。

「コラ、エルゼ。おまえはちょっと、自分の圧を自覚しろ」

「何?私がおどしたというのか」

「そうだよ」

「心外な」

彼女は腰に手をあて、ちょっと顔をしかめた。

「私はおまえたちに悪意を持ったことなどないぞ」

「わかってるよ。ただ、もうちょっとソフトに、マイルドになんないか、って言ってるんだよ」

「ふむ」

俺の意見に、彼女はあごを指でもんだ。

しばらくそうしたあと、彼女はあっさりと言った。

「考えておこう」

若干の不安が、俺のなかにのこった。

俺にかまわず、エルゼは布団の上に散らばったカードを見回した。その顔が、不敵にほほ笑んだ。

「なるほど。カードゲームか。面白い」

彼女はうさぎのように身軽に、布団の上を跳んだ。

隠れていたあにいのそばにひざをつく。かと思うと、鮮やかな勢いで、あにいのかぶっていた毛布をひっぺがした。

目を皿のように見開いたあにいが、すくんだかえるのように現れた。

エルゼは彼に、号令をかけるように言った。

「さっそく出番だ、あにい!私と組め!ふたりでチタルをたたきのめすぞ!」

「えっ」

俺もとまどったが、あにいはもっと驚いたらしかった。

「たたき、のめす?」

「おうとも!」

ぎこちないあにいのおうむ返しを、エルゼは力強く肯定した。声が何やら、不穏に歪む。

「察するところ、あにいもチタルには敵わなかったのだろう?私もだ。ふたりでひと泡ふかせてやろう。やられっぱなしというのは、性にあわん」

低い声で語りかけながら、彼女は有無を言わせぬ調子であにいをひっぱりだした。
ぽかんとしている彼を座らせて、その腹に背中をくっつけ、彼女はあにいの懐におさまった。そして、意気揚々と声をあげた。

「さあ、勝負だ、チタル!かかってこい!あと、もう少し、近くへ寄れ」

なんとも言えない気分だった。

俺はとりあえず、はあ、とつぶやいた。

エルゼはこの上なく楽しそうに笑っていた。

可哀想に、椅子にされたあにいは、まだぽかんとしていた。

と思ったら、突然その瞳が、炎のようにぎらついた。

「ウオッシャァ!やったらァ!」

雄叫びをあげて、彼は身を乗り出してきた。エルゼがはしゃいだ声をあげて、小さなこぶしをつきあげる。

「その意気だぞ、あにい!」

「おうよ!のった!あいつ、泣かす!」

「話がわかるな!さすが我が兄だ!」

何が起きたのか、わからなかった。

エルゼはよほど嬉しいらしく、手をのばして、あにいの髪をかき乱してなでた。

意外にも、あにいはその手を、気持ち良さそうにうけた。ずれたカチューシャを、律儀になおしながら。

化学反応を起こしたように意気投合するあにいとエルゼを、俺は取り残されたような気分で見つめた。

熱気あふれる二人の視線を浴び、いたたまれなくなって、つぶやく。

「え。俺も、やるの?」

「当たり前だ!」

二人は同時に応えた。

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