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第二十一話
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「そうなの深山さんそんなこと言っての」
妙にしんみりした口振りだったが、眼はしっかりと別なものを見ていた。
「でもあの人以外はみんな変わってないみたい」
厳密に言うならば変化を疑う者は我々以外はいない。ただ彼女の変化に疑問を生じているのは深山さんだけだった。
休みの日の午後二人はいつもの裏山で待ち合わせをした。彼女と二人っきりで会う様になってひと月が過ぎた。いつも見る同じ風景なのに一変していた。どこがどう変わったのだろう。それらを捉える視覚が脳に達する過程が変わった。今までに無い強い印象と感情の変化に衝撃を覚えてから見る物すべてで好奇心が変わった。この変化をどう捉えていいか彼自身まだ答えが出なかった。そんな時にすでに野村の変化に気付いている人が居たとは彼にとっては意外だった。
「陽子ちゃんがねぇ同部屋でしょうあの子が最近希美ちゃん可怪(おか)しいって言い出すからドキッとしたのよ」
「何て言ってたの」
「あたしとあなたの仲が可怪しいって」
「何で陽子ちゃんだけ気付いたんだろう」
「あの子あなたに気があったらしいの、あの子はあなたと来たのはひと月と違わなかった。だから観察点が他の人と違ってたらしい」
「それで」
「白状したらあっさり諦めて応援してくれるって」
そう云えば陽子とは時々視線が合うと、直ぐに向こうからそらしてしまう目立たない子だ。そんな陽子を同部屋の希美子もだいぶ可愛がってたようだ。だから陽子はその相手が希美子と分かってスッキリしたんじゃないかなぁ。それが陽子の愛情だとすれば彼女の愛は惜しみなく与えるものなのか……。
「あなただからじゃないかしら」
希美子も野村の思いを理解したらしい。
「多分深山さんもあたしをそんな風に納得したんじゃないかしら」
此の希美子の云うそんな風がイマイチ野村には解せない。そもそもあの二人を同格に見るのが気にくわない。だが希美子にすればどっちでもいいみたいだ。だがそれは置いといて。
「ならもう誤魔化すのは止めよう辛い、辛すぎる、・・・特に深山さん以外の人からそんな目で見られた時に希美ちゃんは幾ら芝居とはいえ人前でぼくの人格を否定する遣り方には堪えきれない」
野村は此の言葉を禁句にしていた。それは一番見たく無い彼女の姿であって、それを口にすることは彼なりに彼女の一部とはいえ否定することになりかねなかった。この曲折した行動は絶対避けたいのが本音だった。
「ごめんなさい、慎二さんあなたをそこまで苦しめてたなんてでももう深山さんにはその必要はないわね」
偽る必要はない。だったら正直に話せばいい。だが周辺の人々の偏見な眼差しを考えると、今まではっきりさせたくなかった。
「予期したとは云え深山さんは何て思うだろう」
「それは心配無いけど・・・居づらくなるわね」
平然と言う彼女に一瞬違和感が走った。が直ぐ去った。
自分共々彼も変な目で見られる。その反動であんな演技を続けて来たけれどもう潮時かも知れない。
「そうなの深山さんそんなこと言っての」
妙にしんみりした口振りだったが、眼はしっかりと別なものを見ていた。
「でもあの人以外はみんな変わってないみたい」
厳密に言うならば変化を疑う者は我々以外はいない。ただ彼女の変化に疑問を生じているのは深山さんだけだった。
休みの日の午後二人はいつもの裏山で待ち合わせをした。彼女と二人っきりで会う様になってひと月が過ぎた。いつも見る同じ風景なのに一変していた。どこがどう変わったのだろう。それらを捉える視覚が脳に達する過程が変わった。今までに無い強い印象と感情の変化に衝撃を覚えてから見る物すべてで好奇心が変わった。この変化をどう捉えていいか彼自身まだ答えが出なかった。そんな時にすでに野村の変化に気付いている人が居たとは彼にとっては意外だった。
「陽子ちゃんがねぇ同部屋でしょうあの子が最近希美ちゃん可怪(おか)しいって言い出すからドキッとしたのよ」
「何て言ってたの」
「あたしとあなたの仲が可怪しいって」
「何で陽子ちゃんだけ気付いたんだろう」
「あの子あなたに気があったらしいの、あの子はあなたと来たのはひと月と違わなかった。だから観察点が他の人と違ってたらしい」
「それで」
「白状したらあっさり諦めて応援してくれるって」
そう云えば陽子とは時々視線が合うと、直ぐに向こうからそらしてしまう目立たない子だ。そんな陽子を同部屋の希美子もだいぶ可愛がってたようだ。だから陽子はその相手が希美子と分かってスッキリしたんじゃないかなぁ。それが陽子の愛情だとすれば彼女の愛は惜しみなく与えるものなのか……。
「あなただからじゃないかしら」
希美子も野村の思いを理解したらしい。
「多分深山さんもあたしをそんな風に納得したんじゃないかしら」
此の希美子の云うそんな風がイマイチ野村には解せない。そもそもあの二人を同格に見るのが気にくわない。だが希美子にすればどっちでもいいみたいだ。だがそれは置いといて。
「ならもう誤魔化すのは止めよう辛い、辛すぎる、・・・特に深山さん以外の人からそんな目で見られた時に希美ちゃんは幾ら芝居とはいえ人前でぼくの人格を否定する遣り方には堪えきれない」
野村は此の言葉を禁句にしていた。それは一番見たく無い彼女の姿であって、それを口にすることは彼なりに彼女の一部とはいえ否定することになりかねなかった。この曲折した行動は絶対避けたいのが本音だった。
「ごめんなさい、慎二さんあなたをそこまで苦しめてたなんてでももう深山さんにはその必要はないわね」
偽る必要はない。だったら正直に話せばいい。だが周辺の人々の偏見な眼差しを考えると、今まではっきりさせたくなかった。
「予期したとは云え深山さんは何て思うだろう」
「それは心配無いけど・・・居づらくなるわね」
平然と言う彼女に一瞬違和感が走った。が直ぐ去った。
自分共々彼も変な目で見られる。その反動であんな演技を続けて来たけれどもう潮時かも知れない。
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