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美紗和の気合い3
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どうやら兄弟同様に育てられたのは中学生ぐらいまでで、思春期に入る頃には祖父に依って厳格に分けらて、それからはそんなに付き合いはしなくなった。朝も顔を合わせればおはよう、でなくおはようございます、と急に挨拶まで替えられて、まだ中途半端な子供なりに美紗和も裕介も苦労させられた。
「そんな間柄に引き離されて高校時代の典子さんの相談相手は真由さんって謂う同級生しかいなくなった。真由さんは就職して典子さんはいよいよ祖父とマンツーマンで四代目の婿養子を取る為に躾の厳しい禅寺のような仏教系の大学に行かされたのよ。美津枝伯母さんのような気性ならもうとっくに家を飛び出していたけれど……。福井と謂えば曹洞宗の総本山永平寺が有り、その系列の大学でしょう」
「そうなるとあの慈悲深い精神の持ち主である裕介が指をくわえて見てられないだろうなあ。美紗和さんはコッソリ何処かで典子さんと彼奴が真剣に話しているのを見たことは……」
「そんなの有るわけないでしょう。でもおじいちゃんが亡くなってから見かけたけれど……」
おそらく大学を卒業すれば結婚が目の前に迫って相当困っていたのだろう、いや、苦しんでいたかも知れない。同じ屋根の下で暮らしていれば高村も家族も目にするはず。そんな見て見ぬ振りする家族も、高村には典子さん以上に堪えられなかった。祖父が亡くなって典子さんの立場が好転するかと思えば、全く宙に浮いてしまったのも頭痛の種だ。
「そんな間柄に引き離されて高校時代の典子さんの相談相手は真由さんって謂う同級生しかいなくなった。真由さんは就職して典子さんはいよいよ祖父とマンツーマンで四代目の婿養子を取る為に躾の厳しい禅寺のような仏教系の大学に行かされたのよ。美津枝伯母さんのような気性ならもうとっくに家を飛び出していたけれど……。福井と謂えば曹洞宗の総本山永平寺が有り、その系列の大学でしょう」
「そうなるとあの慈悲深い精神の持ち主である裕介が指をくわえて見てられないだろうなあ。美紗和さんはコッソリ何処かで典子さんと彼奴が真剣に話しているのを見たことは……」
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