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大場の指摘3
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「じゃあ美紗和さんはどうなんです」
「あの人は気まぐれ過ぎて何を考えて居る人なのかサッパリ見当がつかないです」
「それは昔からですか」
「そうです」
「あの人の理想の人ってどんな人なんですか」
「偉い話が飛びましてけれど……」
大場さんはチラッと坂部の表情を窺った。
「それが坂部さんには一番気になるんでしょうか」
坂部は返事に困っている間に、鮎はとんでもない方向に動き出して、思わずおとりを手繰り寄せた。その鮎はもうダメで、取り替え時期だと言われて、付け直してまた上流へ流した。
「あの鮎はもう弱り果てて、立ち向かう元気をなくしたようです。美紗和さんもそんな鮎同様に、そんな人ほどほっとけない。そこが弟さんに似てますが裕介さんと違って思い立ったら彼女は果敢に攻めてきますよ」
「想い立たなければ……」
「美紗和さんはもう既に取り替えた鮎で果敢に攻めてますよ」
「誰に……」
「最近、縄張りに入った新しい鮎に」
「ハア?」
此の前の鮎釣りの様子は千里さんから大場さんは聞いた。その時に千里さんは、美紗和さんが果敢に新しい鮎を攻めたと聞かされた。
「此の前の鮎釣りで思い当たるものはありませんか」
と逆に追求された。あの日は触れ合うほど坂部の傍で、美紗和さんが弱ったおとりの鮎を付け替えてくれた。あの感触を坂部は思い起こした。
「何か思い当たる節はありませんでしたか?」
そうか美紗和さんの気持ちは、千里さんに筒抜けなのか。でも千里さんは祖父が選んだだけあって一癖も二癖もあり、尋常な手段でないと白状しないだろう。そう思うとあのデパートで見た佐知さんと、見比べた祖父の気持ちが判ってきた。
「あの人は気まぐれ過ぎて何を考えて居る人なのかサッパリ見当がつかないです」
「それは昔からですか」
「そうです」
「あの人の理想の人ってどんな人なんですか」
「偉い話が飛びましてけれど……」
大場さんはチラッと坂部の表情を窺った。
「それが坂部さんには一番気になるんでしょうか」
坂部は返事に困っている間に、鮎はとんでもない方向に動き出して、思わずおとりを手繰り寄せた。その鮎はもうダメで、取り替え時期だと言われて、付け直してまた上流へ流した。
「あの鮎はもう弱り果てて、立ち向かう元気をなくしたようです。美紗和さんもそんな鮎同様に、そんな人ほどほっとけない。そこが弟さんに似てますが裕介さんと違って思い立ったら彼女は果敢に攻めてきますよ」
「想い立たなければ……」
「美紗和さんはもう既に取り替えた鮎で果敢に攻めてますよ」
「誰に……」
「最近、縄張りに入った新しい鮎に」
「ハア?」
此の前の鮎釣りの様子は千里さんから大場さんは聞いた。その時に千里さんは、美紗和さんが果敢に新しい鮎を攻めたと聞かされた。
「此の前の鮎釣りで思い当たるものはありませんか」
と逆に追求された。あの日は触れ合うほど坂部の傍で、美紗和さんが弱ったおとりの鮎を付け替えてくれた。あの感触を坂部は思い起こした。
「何か思い当たる節はありませんでしたか?」
そうか美紗和さんの気持ちは、千里さんに筒抜けなのか。でも千里さんは祖父が選んだだけあって一癖も二癖もあり、尋常な手段でないと白状しないだろう。そう思うとあのデパートで見た佐知さんと、見比べた祖父の気持ちが判ってきた。
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