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九頭竜川2
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「そのために此処へ来たんじゃ無いけれど、その呼んでくれた当人が中々起きてこなければしゃあないか」
「いつもはキッチリしているのに最近は珍しい」
と千里さんが言えば、何処が珍しいのよ、と美紗和さんはもう食べ終わって珈琲を飲んでいる。
「まあ大学だともう少し早い時間から部屋を出て行くからちょっと遅いなあ」
「ちょっと処じゃないでしょう」
と言われてもどう返事していいか手持ち無沙汰にすると。さあ行くかと立ち上がった美紗和にしても、昇りだした陽射しに、こんな遅い時間に釣りなんて、何処の大名だろうと笑っている。坂部も追い立てられるように、たっぷりと詰め込んでくれたおかずとお握りをバックに詰め込むと、千里さんに見送られて家を出た。その時に庭の池に居る典子さんが眼に入った。思わず声を掛けようとしたが、美紗和さんから鯉に餌をあげてる時間だから、とわざと素通りさせられた。
玄関を出て石畳の緩いスロープを歩いて、頭から突っ込んである赤いコンパクトカーに乗り込んだ。彼女は手慣れた操作で車をバックさせたまま石畳に乗り上げると、そのままギアを前進にして、鉄柵の開閉を坂部に任して市内へ出た。
市内と謂っても敷地の広い一軒家が点在する中を幹線道路が網の目のように通っている。やっと国道に出ると目印になる店舗がないのに良く道に迷わない、と助手席に初めて座って感じた。しかもやっと広い道から国道に出ても賑やかな通りは数キロで、直ぐに両側には田圃が広がる中を走るともう九頭竜川が見えてきた。
「此の辺りが良いかしら」
と聞かれても、坂部にはよく釣れるのか判断が出来ないまま、車は堤防沿いの道を走り出した。
「裕介の奴に女が出来たらしいのよ」
と突然に言われてエッと驚いた。
「いつもはキッチリしているのに最近は珍しい」
と千里さんが言えば、何処が珍しいのよ、と美紗和さんはもう食べ終わって珈琲を飲んでいる。
「まあ大学だともう少し早い時間から部屋を出て行くからちょっと遅いなあ」
「ちょっと処じゃないでしょう」
と言われてもどう返事していいか手持ち無沙汰にすると。さあ行くかと立ち上がった美紗和にしても、昇りだした陽射しに、こんな遅い時間に釣りなんて、何処の大名だろうと笑っている。坂部も追い立てられるように、たっぷりと詰め込んでくれたおかずとお握りをバックに詰め込むと、千里さんに見送られて家を出た。その時に庭の池に居る典子さんが眼に入った。思わず声を掛けようとしたが、美紗和さんから鯉に餌をあげてる時間だから、とわざと素通りさせられた。
玄関を出て石畳の緩いスロープを歩いて、頭から突っ込んである赤いコンパクトカーに乗り込んだ。彼女は手慣れた操作で車をバックさせたまま石畳に乗り上げると、そのままギアを前進にして、鉄柵の開閉を坂部に任して市内へ出た。
市内と謂っても敷地の広い一軒家が点在する中を幹線道路が網の目のように通っている。やっと国道に出ると目印になる店舗がないのに良く道に迷わない、と助手席に初めて座って感じた。しかもやっと広い道から国道に出ても賑やかな通りは数キロで、直ぐに両側には田圃が広がる中を走るともう九頭竜川が見えてきた。
「此の辺りが良いかしら」
と聞かれても、坂部にはよく釣れるのか判断が出来ないまま、車は堤防沿いの道を走り出した。
「裕介の奴に女が出来たらしいのよ」
と突然に言われてエッと驚いた。
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