54 / 74
〈54〉
しおりを挟む
結花の足を覆っていた光が弾け飛び、光沢のある靴とひざ丈の靴下が見えてくる。
ふわりとした可愛らしいスカートと、おへそと肩に大きな切れ込みが入ったブラウスが、光の下から姿を見せた。
結香の胸元に光が集まり、可愛らしいリボンに姿を変える。
(おほっ、この子かわいい!)
(変身キタ━━(☆∀☆)━━!!)
視聴者からのコメントが視界の端に流れていく。
(キラン♪ キラン♪ キラン♪)
(いいよー、かわいいよー、キュートだよー)
視聴者は3人増えて、現在5人。
結香の手に大きな杖が握られて、彼女の体がほんの少しだけ宙に浮かんだ。
すかさずお尻の下に光が集まり、大きなドクロが姿を見せる。
自分の肩幅より大きなにドクロに結花がペタンと座り、空から落ちてきた大きな三角形の帽子を頭によいしょとのせた。
「変身完了ですね」
ずれ落ちそうな帽子をあわあわと手で引き戻しながら、結香が微笑む。
(セクシー! 最高!!)
(なんだろうこの胸の高鳴りは、もしかして恋い!?)
(大きな帽子がずれるとかあざとい! けど、嫌いじゃない!)
(結婚してください!!)
視聴者も5人から8人に増え、結花の可愛らしさに対するコメントが次々と流れていた。
そして不意に、耳元から結花の声がする。
『みんな喜んでくれましたね』
『これでつかみはOKかな。でも、本当に可愛いよ』
『あっ、ありがとうございます////』
視聴者に聞こえないように耳に付けたインカムで言葉を交わしながら、互いに頷きあう。
大きな空飛ぶドクロを巧みに操って、結花が俺の方へほんの少しだけ身を寄せた。
「竜……、じゃなくて、スーグラさん、ビルの様子を見てくるので地上の警戒をお願いしてもいいですか?」
「もちろん。気をつけてね」
「はい!」
パッと華やいだ笑みを浮かべた結香が、お尻の下にあるドクロを小さくなでる。
ドクロが淡い光に包まれ、星1つ見えない空へと上っていく。
(ちょっ、見える! 見える!)
(そよ風さんもっと頑張って!!)
(いいよ、ふとももがすごく良いよ!)
(向かい風に目を細める美少女(^ω^)ペロペロ)
4台のドローンたちも、彼女の周囲を回りながら、その可愛らしい姿を写し続けていた。
ドローンから送られてくる映像と、変態共のコメントを横目に見ながら、俺は手の中に小さな銃を"発現"させる。
その間にも視聴者は順調に増え続けていて、誰しもが魔法少女のような結香の姿に心を踊らせているようだ。
ちなみにだが、そよ風程度ではスカートの中は見えたりはしない。
血のにじむような訓練のおかげで、ギリギリを保てるようになっていた。
スカートをはためかせながら、結花がビルの周囲をゆっくりと見て回る。
(あのおへそをペロってなめたい)
(わかる)(超わかる)
どうやら視聴者には変態しかいないようだ。
だけど、まぁ、わからなくもない。
「スーグラさん、周囲には何も見あたらなかったです」
「そうか、やはり中に乗り込むほかないのか……」
側まで降りてきた結花と肩を並べて、ビルの入り口に目を向ける。
学校から預かった鍵をポケットから引っ張り出して、銃口を前へと向けた。
1歩、また1歩とビルに近付いていく。
コメントも視聴者の数も忘れて、息を潜めた。
ガチャリとドアを開き、体を滑り込ませる。
「異常は、ないよな……?」
「そうですね」
どこかの会社だったのだろうか?
ホコリが乗った小さな受付らしきものが、俺を静かに迎えてくれた。
ふわりとした可愛らしいスカートと、おへそと肩に大きな切れ込みが入ったブラウスが、光の下から姿を見せた。
結香の胸元に光が集まり、可愛らしいリボンに姿を変える。
(おほっ、この子かわいい!)
(変身キタ━━(☆∀☆)━━!!)
視聴者からのコメントが視界の端に流れていく。
(キラン♪ キラン♪ キラン♪)
(いいよー、かわいいよー、キュートだよー)
視聴者は3人増えて、現在5人。
結香の手に大きな杖が握られて、彼女の体がほんの少しだけ宙に浮かんだ。
すかさずお尻の下に光が集まり、大きなドクロが姿を見せる。
自分の肩幅より大きなにドクロに結花がペタンと座り、空から落ちてきた大きな三角形の帽子を頭によいしょとのせた。
「変身完了ですね」
ずれ落ちそうな帽子をあわあわと手で引き戻しながら、結香が微笑む。
(セクシー! 最高!!)
(なんだろうこの胸の高鳴りは、もしかして恋い!?)
(大きな帽子がずれるとかあざとい! けど、嫌いじゃない!)
(結婚してください!!)
視聴者も5人から8人に増え、結花の可愛らしさに対するコメントが次々と流れていた。
そして不意に、耳元から結花の声がする。
『みんな喜んでくれましたね』
『これでつかみはOKかな。でも、本当に可愛いよ』
『あっ、ありがとうございます////』
視聴者に聞こえないように耳に付けたインカムで言葉を交わしながら、互いに頷きあう。
大きな空飛ぶドクロを巧みに操って、結花が俺の方へほんの少しだけ身を寄せた。
「竜……、じゃなくて、スーグラさん、ビルの様子を見てくるので地上の警戒をお願いしてもいいですか?」
「もちろん。気をつけてね」
「はい!」
パッと華やいだ笑みを浮かべた結香が、お尻の下にあるドクロを小さくなでる。
ドクロが淡い光に包まれ、星1つ見えない空へと上っていく。
(ちょっ、見える! 見える!)
(そよ風さんもっと頑張って!!)
(いいよ、ふとももがすごく良いよ!)
(向かい風に目を細める美少女(^ω^)ペロペロ)
4台のドローンたちも、彼女の周囲を回りながら、その可愛らしい姿を写し続けていた。
ドローンから送られてくる映像と、変態共のコメントを横目に見ながら、俺は手の中に小さな銃を"発現"させる。
その間にも視聴者は順調に増え続けていて、誰しもが魔法少女のような結香の姿に心を踊らせているようだ。
ちなみにだが、そよ風程度ではスカートの中は見えたりはしない。
血のにじむような訓練のおかげで、ギリギリを保てるようになっていた。
スカートをはためかせながら、結花がビルの周囲をゆっくりと見て回る。
(あのおへそをペロってなめたい)
(わかる)(超わかる)
どうやら視聴者には変態しかいないようだ。
だけど、まぁ、わからなくもない。
「スーグラさん、周囲には何も見あたらなかったです」
「そうか、やはり中に乗り込むほかないのか……」
側まで降りてきた結花と肩を並べて、ビルの入り口に目を向ける。
学校から預かった鍵をポケットから引っ張り出して、銃口を前へと向けた。
1歩、また1歩とビルに近付いていく。
コメントも視聴者の数も忘れて、息を潜めた。
ガチャリとドアを開き、体を滑り込ませる。
「異常は、ないよな……?」
「そうですね」
どこかの会社だったのだろうか?
ホコリが乗った小さな受付らしきものが、俺を静かに迎えてくれた。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。
夢草 蝶
恋愛
侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。
そのため、当然婚約者もいない。
なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。
差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。
すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
転生嫌われ令嬢の幸せカロリー飯
赤羽夕夜
恋愛
15の時に生前OLだった記憶がよみがえった嫌われ令嬢ミリアーナは、OLだったときの食生活、趣味嗜好が影響され、日々の人間関係のストレスを食や趣味で発散するようになる。
濃い味付けやこってりとしたものが好きなミリアーナは、令嬢にあるまじきこと、いけないことだと認識しながらも、人が寝静まる深夜に人目を盗むようになにかと夜食を作り始める。
そんななかミリアーナの父ヴェスター、父の専属執事であり幼い頃自分の世話役だったジョンに夜食を作っているところを見られてしまうことが始まりで、ミリアーナの変わった趣味、食生活が世間に露見して――?
※恋愛要素は中盤以降になります。
【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜
よどら文鳥
恋愛
フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。
フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。
だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。
侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。
金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。
父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。
だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。
いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。
さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。
お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。
【9話完結】お茶会? 茶番の間違いでしょ?『毒を入れるのはやり過ぎです。婚約破棄を言い出す度胸もないなら私から申し上げますね』
西東友一
恋愛
「お姉様もいずれ王妃になるなら、お茶のマナーは大丈夫ですか?」
「ええ、もちろんよ」
「でも、心配ですよね、カイザー王子?」
「ああ」
「じゃあ、お茶会をしましょう。私がお茶を入れますから」
お茶会?
茶番の間違いでしょ?
私は妹と私の婚約者のカイザー第一王子が浮気しているのを知っている。
そして、二人が私を殺そうとしていることも―――
屋敷のバルコニーから突き落とされて死んだはずの私、実は生きていました。犯人は伯爵。人生のドン底に突き落として社会的に抹殺します。
夜桜
恋愛
【正式タイトル】
屋敷のバルコニーから突き落とされて死んだはずの私、実は生きていました。犯人は伯爵。人生のドン底に突き落として社会的に抹殺します。
~婚約破棄ですか? 構いません!
田舎令嬢は後に憧れの公爵様に拾われ、幸せに生きるようです~
精霊の愛し子が濡れ衣を着せられ、婚約破棄された結果
あーもんど
恋愛
「アリス!私は真実の愛に目覚めたんだ!君との婚約を白紙に戻して欲しい!」
ある日の朝、突然家に押し掛けてきた婚約者───ノア・アレクサンダー公爵令息に婚約解消を申し込まれたアリス・ベネット伯爵令嬢。
婚約解消に同意したアリスだったが、ノアに『解消理由をそちらに非があるように偽装して欲しい』と頼まれる。
当然ながら、アリスはそれを拒否。
他に女を作って、婚約解消を申し込まれただけでも屈辱なのに、そのうえ解消理由を偽装するなど有り得ない。
『そこをなんとか······』と食い下がるノアをアリスは叱咤し、屋敷から追い出した。
その数日後、アカデミーの卒業パーティーへ出席したアリスはノアと再会する。
彼の隣には想い人と思われる女性の姿が·····。
『まだ正式に婚約解消した訳でもないのに、他の女とパーティーに出席するだなんて·····』と呆れ返るアリスに、ノアは大声で叫んだ。
「アリス・ベネット伯爵令嬢!君との婚約を破棄させてもらう!婚約者が居ながら、他の男と寝た君とは結婚出来ない!」
濡れ衣を着せられたアリスはノアを冷めた目で見つめる。
······もう我慢の限界です。この男にはほとほと愛想が尽きました。
復讐を誓ったアリスは────精霊王の名を呼んだ。
※本作を読んでご気分を害される可能性がありますので、閲覧注意です(詳しくは感想欄の方をご参照してください)
※息抜き作品です。クオリティはそこまで高くありません。
※本作のざまぁは物理です。社会的制裁などは特にありません。
※hotランキング一位ありがとうございます(2020/12/01)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる