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2巻
2-1
しおりを挟むプロローグ アルトが消えた王国
鑑定士アルトがドラムド王国から忽然と姿を消してから一ヶ月が過ぎたある日。
鑑定待ちの物品が天井まで積み上げられたとある倉庫に、男の怒鳴り声が響いた。
「また終わらなかっただと!? お前は何をしていたんだ!」
「いっ、いえ、それが――」
「言い訳など聞く気はない!」
弁解しようとした臨時の鑑定士に対してそう叫んだのは、アルトの元上司――アンメリザ男爵だった。彼は血走った目で男を睨みつける。
アルトが突然いなくなり、アンメリザは苛立ちを覚えながらも代わりの平民を雇った。
それから一ヶ月経ったが、部屋の中に押し込められた未鑑定の物品が減らない。それどころか増え続けている。
「毎日毎日、鑑定待ちの品物が積み上がるのはどういうことだ! お前は何をしていた!」
アンメリザは怒声を発しながら、積み上げられたダンボールを床に叩きつけた。中身は何が入っているか知らないが、どうせ平民が持ち込んだもの。ゴミ同然の価値しかないだろう。
「――で、ですが。こんな量を鑑定するには、魔力が足りな――」
「言い訳を聞く気はないと言っているだろ!!」
アンメリザが男の肩を突き飛ばした。ボロボロの服に包まれたみすぼらしい体が、鑑定待ちの品々の山にぶつかる。物品が崩れ、男がその中に埋もれてしまった。
――平民風情が、無駄に仕事を増やしやがって。
アンメリザは心の中で毒づきつつ、崩れた物品の山を睨みつける。
「飯くらいは持ってこさせてやる! すぐに仕事を再開しろ!」
物品の山の中から反応はなかった。
――この無能の顔はこれ以上見たくもないが、こいつを処分したらまた新しい鑑定士が必要になる。人を雇うのは子爵様の手を煩わせることになるからな。あの方は、会食に狩りにと、お忙しい。迷惑はかけられない。
そんなことを考えているうちに、アンメリザの中でまたふつふつと怒りが湧いてきた。
「どうして貴族である俺様が、平民のことなどで苦悩せねばならぬのだ!」
そう言葉にしたが、答えは知っている。使えない平民が悪いのだ。そして、勝手に行方をくらました鑑定士こそが一番のクズなのである。もっともアンメリザは、その鑑定士アルトの名前すら覚えていなかった。
「無能が!」
最後に暴言を吐き捨て、アンメリザは物品の山に背を向ける。そのまま倉庫を出ようとした時、アンメリザの部下の一人が駆け込んできて、目の前で跪いた。この男が騎士だったことは記憶しているが、名前までは知らない。
「報告いたします。アルト鑑定士の居場所を掴みました!」
「……誰だ、それは」
「しっ、失礼しました! アンメリザ閣下の前から逃げ出した、前の鑑定士です」
「――見つけたのか!!」
アンメリザの声が弾んだ。
前任の鑑定士は無断で逃げ出すようなクズではあったが、ノルマをこなすことはできていた。最低限の仕事すらできないような奴よりはマシだ。
――平民の分際で消えた罰は、一時間くらい殴るだけで済ませてやろう。二度と逃げ出せないように、足を折るのもいいな。
残虐な考え事をしながら、アンメリザは騎士の男に命じる。
「今すぐここに連れてこい! 遅ければお前の首はないと思え!」
「――そっ、それなのですが。今は帝国軍で准尉の地位を与えられているようです」
「……は?」
――この男は何を言っている? 逃げ出したクズが帝国にいる?
――いや、それはまだいい。栄えある王国を出て帝国なんぞに行く意味は理解できないが、そこに関しては目をつむろう。だが、准尉だと?
ドラムド王国で准尉と言えば、準男爵家に生まれた由緒正しき貴族が軍に入った場合に与えられる、名誉ある地位である。平民が准尉に就くなど、アンメリザにとっては意味不明な話だった。
「正確に報告しろ。あの平民をどこで見つけた?」
「帝国の首都カリソルムです。『敵軍の人事に大きな変動があり、我々が探している男とよく似た人物が〈蛇殺しの英雄〉だと騒がれている』、そう報告が来ています」
騎士の男が、数枚の写真を広げてみせる。そこに写るのは、三人の若い女性と楽しげに食事をする男の姿。
「……確かにあのクズだな」
目の下の隈がなくなり、平民に似付かわしくない顔色をしているが、そこに写っているのは間違いなく王国から逃げ出した鑑定士――アルトだった。
――この男が准尉で英雄? くだらない冗談だろう。そもそもの話だが、平民が王国の外に出ること自体が、ありえない話だ。平民にそんな知能はない。命令なしではロクな仕事もできないクズ。それが平民だ。そんな平民風情が国境を越えるなど、他の貴族の指示でもない限り……
――他の貴族!!
「読めたぞ! これは、俺に対する挑戦状だ!」
「挑戦状、ですか?」
「そうだ! 俺の仕事ぶりを妬む奴らからの嫌がらせだな!」
困惑する騎士の男に構わず、アンメリザはまくし立てる。
「あのクズが姿を消してから一ヶ月だな? 平民が一人で帝国に行き、軍で出世する。それが可能だと思うか?」
「……いえ、不可能だと思われます」
「そうだ。だが、これが他の貴族の企みなら、可能なのだ。あのクズを拉致し、帝国で面白おかしく目立たせる。目立たせた目的は、俺様を笑い者にするためだな。アンメリザは平民一人ですら満足に管理できないのか、と」
アンメリザの妄想はおよそ現実味のないものだったが、騎士の男は口を挟まない。ドラムド王国では、貴族に対して口出しすることなどありえないのだ。
――実行したのは、ハームルの奴かメルバリムの次男か、その辺りだろう。あいつらは、俺と違って暇を持て余しているからな。俺様の反応を見て楽しんでいるに違いない。
『お前のところの平民を拉致してやった。帝国に置いてきたから、華麗に取り返してみろ』、そう言っているわけだ。舐めた真似を!
「潜入が上手い者を数名集めろ! 実行した者に知られることなく、あのクズを回収する!」
次の貴族会議までには終わらせてやる。アンメリザはそう意気込んだ。
他の貴族が笑いに来るのは、おそらく次回の貴族会議のはずである。そこで企みが成功したと思い込んで笑いに来た奴に、『おや、その者でしたら、すでに回収しましたが。情報が遅いのでは?』と言ってやらないと、アンメリザの気が済まなかった。
「最悪、殺しても構わん! 平民の代わりなどいくらでもいる! 必ず秘密裡に回収してこい!」
「承知いたしました!」
騎士の男は敬礼をして、部屋を出ていった。
――俺様は俺様で、こんな悪ふざけを企んだバカを特定するか。まったく、面倒を起こしやがって!
そう思いながら、アンメリザ男爵は鑑定待ちの品で埋め尽くされる部屋をあとにしたのだった。
1 入学式と昇進の御褒美
リリたちと一緒に蛇の化物を倒した日から一ヶ月が経過したその日。
俺、アルトは押し潰されそうなプレッシャーに耐え続けていた。
「入学式に先立ちまして、昇進伝達式を執り行います」
マイクを通して聞こえてくる司会者の声に、胃がキリキリと痛みを訴える。周囲には、真新しい帝国軍の制服を着た若者たちが座っていた。その中には、俺の部下であり訓練校の新入生のリリやフィオラン、マルリアの姿もある。
マルリアの弟、病み上がりのマイロくんだけは新入生じゃないが、俺の従者として一緒に授業を受けられるらしく、彼もみんなと並んで座っていた。
「アルト幹部候補生、前へ」
「はい」
司会者に呼ばれ、パイプ椅子が音を立てないように気を付けながら立ち上がって、背筋を伸ばす。当たり前の話だが、みんなが俺を見てるな。
これから褒められに行くのだから、嬉しくないわけじゃないけど、どうにも落ち着かない。バカにされた経験は数え切れないほどあっても、褒められた経験なんて皆無だからな。褒められる場合って、どんな顔をしていたらいいんだ? 真顔でいいのか?
そんなことを思いながら事前に聞かされた通路を通って、舞台の上へ。正面に見えてきたチューリップのような豪華な王冠――帝国女王の象徴から慌てて視線を逸らす。
そう、俺は女王様から直々のお言葉をいただこうとしている。
余計な動きをしないことだけを心がけ、女性の靴を見続ける。目の前にいる人は、一瞬で俺を殺せる立場の人間だ。心を静めて、冷静に……
(そんなに緊張せずともよい。余も取って食ったりはせぬよ)
なっ!? 女王様に小声で話しかけられた!?
どうする!? 返事をしていいのか? 返事をしないと不敬罪で処刑だよな?
しばらく考え、こちらも小声で返事をすることにした。
(……恐れ入ります)
(報告にあった大蛇よりも、余の方が怖いかな? 余も普通の女のつもりであったのだが。そうか、蛇よりも怖いか……)
(いっ、いえ! そのようなことは――)
(くっくっく、いや、すまぬな。どうやら、からかいが過ぎたようだ。許されよ)
女王様は口元を隠したまま、くつくつと優雅に笑う。にわかには信じられないが、俺の緊張をほぐそうとしてくれたのだろう。
国のトップに気を遣われた。王国であれば即刻打ち首になる事件であり、死を覚悟したのだが、周囲が動く気配はない。どういうことだ?
化物を討伐した功績を褒める場だから、特例で許された? いや、それにしては、周囲に動揺がなさすぎる。まさかとは思うが、これが帝国では普通なのか?
考えを巡らせていると、女王様が小さく微笑んで一同に聞こえるように告げた。
「〈蛇殺しの英雄〉たるアルトよ。その功績を称え、准尉の地位と共に、二十四代女王シュプル・リア・テスタロッテが、一代に限りそなたに〝スネリアナ〟の姓を与える」
(なっ!? 女王自ら姓を!?)
(一代限りなのは分かるが、女王様が直接与えるなど聞いたことがないぞ!?)
(それだけ評価なされているということなのですか!?)
どうにも背後がざわついている。なんだ? とりあえず台本通りに対応していいんだよな? というか、俺、それ以外にできることなんてないぞ。仕方ないよな!?
「謹んでお受けいたします。准尉の地位に恥じぬよう、更なる実力の向上に邁進いたします」
暗記していたセリフを述べ、俺が軽く頭を下げると、女王様は青い宝石が光るメダルを首にかけてくれる。
一歩だけ後ろに下がり、握り拳を胸に当てる。一瞬だけ遅れて、背後から大きな拍手が聞こえた。
後ろで聞こえていた戸惑いの声も、今はない。
いつ首を切られるかとヒヤヒヤしていたのだが、どうやら問題はなかったらしい。
「続きまして、帝国軍中央訓練校の入学式を執り行います。新入生代表サーラ、前へ!」
「はい」
リリたちが座る席の近くに戻ってきた俺とすれ違う形で、真っ赤な髪をポニーテールに結った少女が、壇上に上がっていく。大人しそうな雰囲気で、歳はリリやマルリアと同じくらいだ。
どことなく見覚えがあるのだが、どうにも思い出せない。邪竜退治の時にいたような気もするけど……などと思っていると、隣に座るリリが、愛用の杖を俺の膝に載せてきた。
(昇進伝達式、お疲れ様でした! 最後まで堂々としていて、格好良かったです!)
リリの心の声が聞こえてきた。杖が触れていると、こうして心の中で会話可能なのだ。
(あー、うん。もしそれが本当なら、嬉しい限りだよ)
女王様の雰囲気に呑み込まれて、口から心臓が飛び出す寸前だったからな。女王様本人には口が裂けても言えないが、化物と対峙した時よりも恐ろしかった。
(本当にお疲れだったみたいですね。女王様は槍の名手で戦略眼もすごい、って噂ですから。アルト様が身構えるのも仕方ないのかもしれませんね)
(ん? そうなのか?)
(はい。軍略でも一騎打ちでも負けなし、敵は姿を見ただけで逃げ出すという話です。戦場以外ではお優しい方なので、国民みんなの憧れなんですよ!)
(そうなんだ。女王様の人となりを観察する余裕なんてなかったから分からなかった)
そもそも、女王様を観察するなんて不敬どころの騒ぎじゃないと思うのだが、リリの反応を見る限りそうでもないらしい。本当に、王国とは常識が違いすぎるな……
そういえば、この訓練校も女王様の持ち物って話だったか? 俺が帝国に亡命する時、荷馬車に乗せてくれた老夫婦も、『おらっちゃの国が豊かなんは、シュプル女王のおかげやちゃ』とか、そんなことを言っていたし……
個人では勇猛で、集団を統率することもできて、住民に慕われるような政治も行えるってことか。
(私たちを育ててくれた施設も、シュプル女王様の発案なんです。お忙しいのに、何度も私たちの様子を見に来てくださって。私、一度握手もしてもらいました!)
(優しい方なんだな)
(はい! すっごく優しくて美人さんですよね!)
天は二物も三物も与えたってわけか……そんな人がトップをやっていれば、いい国になるよな。怒鳴り散らすことしかできない王国の貴族連中に見習わせてやりたいね。
(それに、サーラさんもすごいんです。施設にいた時も訓練ではずっと一位で。アルト様に教えてもらった〝支援魔法〟を使えばもしかしたら、なんて思っていたんですが。やっぱりダメでした)
(サーラ?)
新入生の代表として壇上にいるポニーテールの子だよな? ……そうか、思い出した。
(俺がリリをスカウトした時のマラソンで、先頭を走っていた子か)
(そうです! 入学試験の順位は発表されないようなのですが、トップの成績の人が新入生代表をする決まりみたいです)
(なるほどな。つまり今回の試験では、サーラが一位ってわけか……)
素質がSランクのリリをはじめ、俺の部下たちは将来有望。とはいえ、彼女たちもまだまだ育ち始めたばかり。試験では上位に食い込めたとは思うが、さすがにまだトップにはなれなかったか。
(それでマルリアが、あんなにご機嫌斜めなんだな)
チラリと視線を向けると、ぐぬぬぬぬ、と叫びだしそうな雰囲気でハンカチを噛んでいるマルリアの姿が目に入る。
(いつもビリだった私と違って、マルリアさんは一位になれるように頑張ってましたから。だけど、マルリアさん、ずっと二位で……)
(あの子が同期のライバル、ってわけか)
まぁ、負けて悔しいと思えるのは、いいことだ。
(時間をかけて、これから勝てばいいさ。リリもそうだけど、人生は長いからな)
(そうですね。一生懸命頑張ります!)
リリは両手をギュッと握り締め、ふわりと笑う。
新入生代表のサーラが壇上から降りて、俺たちの入学式が無事に終わりを告げた。
入学式が行われた体育館を出て、次に向かうよう指定された教室の戸を開けて中に入る。正面には教壇と黒板があって、整然と並べられた机の位置が後ろに行くほどに段々と高くなっていた。
「金がかかっていそうだな」
魔法を使ったにしても豪華な造りの部屋だ。一度に五百人を収容できるらしいが、それなら部屋を分けた方が安く済むだろうに。思うところはあるが、俺が気にするようなことではないな。
さて、どの辺に座るか……
周囲を見渡していると、不意に背後からデカい声がした。
「席などどこでもいいじゃろ。ほれ、適当に座れ」
振り向くと、ムキムキの爺さん――もとい、ルルベール少佐がいつの間にか立っていた。
「ルルベール少佐?」
「うむ、久しいな小僧。じゃが、今はルルベール教官じゃ」
爺さんは何故か上着のポケットから眼鏡を取り出して、上腕二頭筋と胸筋をムキリとさせた。
いや、なんのアピールだよ……などと思っていたのだが……
「さすがはルルベール様だぜ!」
「いい筋肉っすよ教官!」
周囲からはそんな威勢のいい声が飛んでいた。
ちなみに、そいつらもルルベール少佐――じゃなかった、ルルベール教官と同じようなスタイル。つまりはムキムキだな。教官を慕うグループだろうか?
しかしいい身体だ。やっぱ俺も、リリに〝支援魔法〟で補助してもらって、こうムキッとできるように……
「おぬしら、しばらくは黙っておれ!」
「「「了解しました!」」」
男たちは握り拳をドンと胸筋にぶつけ、慌てて近くの席に座る。様子見をしていた他の生徒たちも、それを見て思い思いの席へ。俺たちも部屋の中央辺りに移動して座り、教壇に目を向けた。
「儂がおぬしらの面倒を見ることになった。教官とでも、師匠とでも、好きに呼んで構わん!」
そんな言葉と共に、黒板に『担当教官ルルベール』とチョークを走らせる。見た目に似合わず、綺麗な字を書くな、この爺さん……
「詳しい話は、入学式でもらった端末を見れば分かるじゃろ。給料もそこに入る。以上じゃ」
「「「……え?」」」
ルルベール教官が颯爽と教室を出ていったけど……え? 説明終わり? 教官の自己紹介だけ? 今後の案内すらなし!? ……本当に帰ってこねぇし、あの爺さん。
「……どうする?」
「どうしましょうか?」
リリたちと顔を見合わせて互いに首を捻る。
周囲を見れば、他の生徒たちも混乱している。無駄に長い話をされるのは嫌だが、最低限の説明は必要だと思う。あの爺さんらしいと言えばそれまでだが……
『自分で調べるのも訓練じゃ。自己責任でどうにかせい!』とか、そんな感じだろうか? 何はともあれ、リリたちと相談だな。
「ここじゃ人が多い、ひとまず移動するか」
「そうですね」
リリや他のみんなに合図して、とりあえず教室を出ることに。
周囲も、なんやかんやとグループに分かれて、教室を出ているしな。それに……
(あれが〈蛇殺し〉……ほんとに強いのか?)
(バカ、お前、聞こえるぞ! あの化物に立ち向かえるだけで、マジでやべぇんだかんな!)
(ふーん。どうにも信じられないんだがなぁ)
さっきからヒソヒソと聞こえる声と好奇の視線から逃げたい気持ちも少なからずある。
そして、窓際にいる軍団……
「わたくしたちも状況の把握を始めるわよ! 一号! 腕立て伏せをしながら、端末の文字を読み上げなさい!」
「はい! 喜んで!」
「「「ナイスバルク! キレてるよ! キレてるよ!」」」
どう考えても、あいつらにはお近付きにならない方がいい。
何故、端末の文字を読むのに上着を脱いで腕立て伏せをするんだ? でもって、命令したお嬢さんが、腕立て伏せ中の筋肉さんの背中に乗る必要はどこにある?
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