そのオジサマ 本当は優秀です ～不要なら 私が“盗み”ますけど いいですよね？～

〈13〉幸せな夢

「おや？　なにか面白い事が、起きたようだね？」

「いえ、そのような事は御座いませんよ。どうやらお嬢様がお疲れのようでして。失礼致します」

「ひゃぅ！？？？」

　ちょっ－－、セバスさん！？


　ここここ、、これって、


－－お姫様抱っこじゃないですか！！


　全人類が憧れの！！！！！！


「お嬢様。どこか痛いところは御座いませんか？」

「……いっ、いえ、大丈夫、よ」

「そうですか。それは良かった」

　顔が！

　すてきなお顔が近いです、セバスさん！！

－－至近距離で微笑まないで！！

　死んじゃうから！

　私、萌え死んじゃうから！！

（このまま出口まで案内致します。御不便をお掛けしますが、その瓶をかの者に知られれば面倒事になりますので）

（……そうね。えっと、……この件の全てをあなたにゆだねるわ、セバス）

（かしこまりました）

　ふぉぉぉおおおおお！

　ダンディな声が近いよぉぉおおお！！

　セバスさんの腕に揺られちゃってるよぉおおおおおおお！！

　え？　なに？

　どさくさに紛れて、そのお胸に寄りかかっていいの？

　しっ、仕方ないよね？

　揺れ……、てないけど。安定感抜群で、寝ちゃいそうなほど心地いいけど、仕方ないよね！

　うん、仕方ない、仕方ない！！

　……だから。触れちゃい、ますね？

「ひゃぅ……！！」

「！！　お嬢様？　いかが致しましたか？」

「いっ、いえ、なんでもないの！　うん！　なんでもないのよ？　おほほ」

　セバスさんの胸筋、パネェ！

　マジ、パネェ！！

　え？　なに？

　なんで、細マッチョ！？


　儚はかなげ優しいおじさまが、細マッチョなんて……。



－－美味しすぎるでしょ！！！！


　頬を押し付けたら感じる、確かな弾力！　雄の力！！

　チラリと見上げたら、優しい横顔！！

「はぁはぁはぁ……。じゅるり……」

「失礼致します。お嬢様、お顔を」

　うぉ！？

　片手を離した！？

　なのにこの安定感！？？？


　でもって、ハンカチで優しく口元を拭かれてしまった……。


「はい。よろしいですよ」

「……ありがと」

「いえ。それがわたくしの仕事ですので」

　セバスさんの目が、小さな子を見るような目なのは、なぜですが……？？

　えっと、あの、ですね、

「テンション上げすぎて、すいませんでした」

「？？？？」

　これはあれかなー。

　飲み過ぎた？

　いくらセバスさんが格好いいとは言っても、ハッスルし過ぎだよね……。


　ん？


「あれ？」

「お嬢様？」

「ごめんなさい。なんだか、急に眠気が……」

　さっきまでは何とも無かったのに、目が開けていられない……。


－－ハッ！！

　もしや、セバスさんの超一流なお姫様抱っこの効果か！！！！


　……じゃないとしたら、この幸せな夢が終わるんだよね。

（お嬢様……？　……仕方がありませんね。私が御守り致します。ゆっくりお休みください）

　ありがとう。

　セバスさんのおかげで、幸せな夢だったよ。


－－本当に、幸せな夢……。