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受け入れから3ヶ月。
書類整理の合間を縫って、僕は町の一角を訪れた。
「立派な建物が出来上がってるじゃないか。受け入れた大工達は良い仕事をしてくれたようだな」
目の前にあるのは、町が経営となる製鉄所だ。
移民の大工の手により施設が完成し、武器製造の技術を持つ移民が中心となり、第1号となる一振りを完成させたとの報告を受け、無理やり時間を作ったのだった。
実際の所、すずめを通して建物の基礎作りから剣の完成までを見ているのだが、実際に足を運んで、そのお顔を頑張った職人達に見て来てください、とハウン姉に言われたので、そういうものかと数人の護衛を連れてやってきたわけだ。
「そうか、製鉄には火を使うんだったな。
どうだ、うちの炭は? 火力に問題はないか?」
入口を入ってすぐの場所に大量の炭が積まれていた。もちろん、クラッド領で作られた炭だ。
「はい。火入れ担当者の話によると、非常に使いやすく重宝しているとの事です。また、領内で採掘された鉄鉱石に関しても、非常に扱いやすいとの事でした」
案内役を買って出てくれた、製造系の責任者に話をふってみたが、素材、熱源共に問題は無いようだ。
そして、何気なく作業場の入口を潜ると、全身が熱風にさらされた。
敷地内のいたる所で窯から火の手が上がり、職人達が一心不乱にハンマーで鉄を叩いている。しかし、そんな彼らも、僕の存在に気がつくと、作業の手を止め、一斉に頭を下げた。
「みな、ご苦労だな。僕のことは気にせず作業を続けてくれ」
一旦は静まりかえったものの、僕が促すと、すぐにカンガンとハンマーを振るう音が辺りを支配していった。
すずめを通して見るよりもずいぶんと迫力があるな。それにここまで熱いとは思わなかった。これは2時間ごとの休憩などを推奨すべきだな。
「みな一心不乱に打ち込んでいるようだ。ここは問題ないだろう」
「畏まりました。それでは、本日の本命へと案内いたします」
あまりの暑さに作業場を逃げ出した僕は、1本の剣だけが鎮座する、ガランとした倉庫へと案内された。
「町長、あちらが完成品です。よろしければご確認ください」
護衛の観点から手渡しなどは行わず、台座に乗った物を自分の手で持ち上げる。
「軽いな」
ロングソードだと思うその剣は、手触りの良い漆黒の柄を備えており、握りやすく見た目よりも軽い印象を受けた。しかし、僕には剣の良し悪しなどわからないので、素直に鑑定スキルに頼ることにする。
・クラッド印のロングソード ランクB
説明 : 素材すべてをクラッド領内で採取された物を使用した剣。
素材同士の相性が良く、使い勝手に優れる。
どうやら、領内産で製造したことにより、付加価値が付いているらしい。そのお陰で性能が向上するとか、なんともゲームっぽい話だ。
一般的に市場に流れる剣や弓はCやDが多いので、ランクBは優秀な部類だろう。
移民として受け入れした職人達は、独立を許されていた者は居らず、弟子として経験を積んでいた者が大半だったはずだ。
そんな彼らがいきなりランクBを作れるとしたら、クラッド印なる物が大きく影響しているのだろう。
「悪くないな。いや、優秀な成果だと思う。
みなの努力に敬意を表して褒章を与える。ハウン財務官を通して食料を与えるゆえ、みなに分けてくれ」
「畏まりました。誠にありがとうございます」
「それから、職人たちが自信を持って良い出来だと思った物には、クラッド領の焼印を押してくれ。他との差別化を図りたいのでな。
防具や農機具の製造も引き続き頼むぞ」
「心得ております。
採掘人や農家が驚くような物を作ってごらんにいれましょう」
「うむ、期待している。いや、実に良い視察だった」
その後、次第に質の良いものが生み出され、採掘人や農家の効率化に貢献するのであった。
書類整理の合間を縫って、僕は町の一角を訪れた。
「立派な建物が出来上がってるじゃないか。受け入れた大工達は良い仕事をしてくれたようだな」
目の前にあるのは、町が経営となる製鉄所だ。
移民の大工の手により施設が完成し、武器製造の技術を持つ移民が中心となり、第1号となる一振りを完成させたとの報告を受け、無理やり時間を作ったのだった。
実際の所、すずめを通して建物の基礎作りから剣の完成までを見ているのだが、実際に足を運んで、そのお顔を頑張った職人達に見て来てください、とハウン姉に言われたので、そういうものかと数人の護衛を連れてやってきたわけだ。
「そうか、製鉄には火を使うんだったな。
どうだ、うちの炭は? 火力に問題はないか?」
入口を入ってすぐの場所に大量の炭が積まれていた。もちろん、クラッド領で作られた炭だ。
「はい。火入れ担当者の話によると、非常に使いやすく重宝しているとの事です。また、領内で採掘された鉄鉱石に関しても、非常に扱いやすいとの事でした」
案内役を買って出てくれた、製造系の責任者に話をふってみたが、素材、熱源共に問題は無いようだ。
そして、何気なく作業場の入口を潜ると、全身が熱風にさらされた。
敷地内のいたる所で窯から火の手が上がり、職人達が一心不乱にハンマーで鉄を叩いている。しかし、そんな彼らも、僕の存在に気がつくと、作業の手を止め、一斉に頭を下げた。
「みな、ご苦労だな。僕のことは気にせず作業を続けてくれ」
一旦は静まりかえったものの、僕が促すと、すぐにカンガンとハンマーを振るう音が辺りを支配していった。
すずめを通して見るよりもずいぶんと迫力があるな。それにここまで熱いとは思わなかった。これは2時間ごとの休憩などを推奨すべきだな。
「みな一心不乱に打ち込んでいるようだ。ここは問題ないだろう」
「畏まりました。それでは、本日の本命へと案内いたします」
あまりの暑さに作業場を逃げ出した僕は、1本の剣だけが鎮座する、ガランとした倉庫へと案内された。
「町長、あちらが完成品です。よろしければご確認ください」
護衛の観点から手渡しなどは行わず、台座に乗った物を自分の手で持ち上げる。
「軽いな」
ロングソードだと思うその剣は、手触りの良い漆黒の柄を備えており、握りやすく見た目よりも軽い印象を受けた。しかし、僕には剣の良し悪しなどわからないので、素直に鑑定スキルに頼ることにする。
・クラッド印のロングソード ランクB
説明 : 素材すべてをクラッド領内で採取された物を使用した剣。
素材同士の相性が良く、使い勝手に優れる。
どうやら、領内産で製造したことにより、付加価値が付いているらしい。そのお陰で性能が向上するとか、なんともゲームっぽい話だ。
一般的に市場に流れる剣や弓はCやDが多いので、ランクBは優秀な部類だろう。
移民として受け入れした職人達は、独立を許されていた者は居らず、弟子として経験を積んでいた者が大半だったはずだ。
そんな彼らがいきなりランクBを作れるとしたら、クラッド印なる物が大きく影響しているのだろう。
「悪くないな。いや、優秀な成果だと思う。
みなの努力に敬意を表して褒章を与える。ハウン財務官を通して食料を与えるゆえ、みなに分けてくれ」
「畏まりました。誠にありがとうございます」
「それから、職人たちが自信を持って良い出来だと思った物には、クラッド領の焼印を押してくれ。他との差別化を図りたいのでな。
防具や農機具の製造も引き続き頼むぞ」
「心得ております。
採掘人や農家が驚くような物を作ってごらんにいれましょう」
「うむ、期待している。いや、実に良い視察だった」
その後、次第に質の良いものが生み出され、採掘人や農家の効率化に貢献するのであった。
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