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 指輪どころか自分が買ったものですらないブレスレッド。魔法が宿る腕輪。
 それでもジュリは、僕の言葉に喜び、涙まで見せてくれた。

 僕は村を大きくしようと思う。力を蓄え、彼女の腕輪が無くなるように。

 そのときに改めて誓おう。指輪と共に。
 

 しばらくして泣き止んだジュリは、お兄ちゃんからキスしてくれるなんて、お兄ちゃんも成長したねー、などど僕をからかった後、顔を洗うついでにお風呂に行くと言って部屋を出て行った。

 幸せと不甲斐なさを感じつつ、布団に潜り込むとすぐに睡魔が襲ってくる。

 今日は商会との最終決戦やジュリの問題など、いろいろ苦労が耐えなかった。どうも精神的に疲れているようだ。
 明日から色々と頑張らないといけないなと思いながら、僕は意識を手放した。


 体が揺さぶられている気がする。近くから声が聞こえる気もする。

「……ちゃん、起きてよ」
  
 ゆっくりと目をあけると、普段見慣れないクリーム色したワンピース型のパジャマに身を包んだジュリと、至近距離で目が合った。
 どうやら僕を起そうと揺さぶっていたらしい。

「あ、起きた?」

 風呂上りなのか、ツインに結われた髪は湿り気を帯び、頬も赤く染まったジュリは、どことなく色っぽく見える。
 しかし、なぜか、すごく怒っている気がした。

「ちょっと、お兄ちゃん。そこに座りなさい」
[……はい。座らせて頂きます」

 触らずジュリに祟りなしだ、

「初めからやり直すから、そこに座ってて」
「了解しました」

 おもむろに立ち上がったジュリは、深々と綺麗なお辞儀をしてみせた。
 膝下まであるワンピースは胸元が大きく開かれており、中に見える肌色に自然と視線がうつる。

「夜伽の準備をして参りました。御自由にお使いください」

 体を見せ付けるかの様に、胸を張り、大きく手を広げた。

「……ジュリ、いきなりどうした?」
「いきなりって!!! もぉー、今日から私はお兄ちゃんの奴隷になったんでしょ。だから夜伽なの!」
「……奴隷になったって、そんなことをするために奴隷になった訳じゃないだ
ろ?」

 ジュリの顔が真っ赤に染まる。どうやら、最高潮に怒らせてしまったらしい。

「うぅーーー、もぉ。ほんと、お兄ちゃんなんだからーー!!」

 そして、その怒った勢いのまま、ワンピース型のパジャマを下からめくりあげ、そのまま脱ぎ捨ててしまった。

 僕の目の前が、肌色に染まる。

 彼女は、ワンピースの下にはなにも身に付けていなかった。

 ダメだと思いながらも、大きく成長した胸に引き締まったお腹周りのラインと、順に目で追ってしまう。

 そんな僕を尻目に、ジュリの細い手が首の後ろへと回され、そのまま布団に押し倒された。
 
 しっとりとした唇が、僕の口に覆いかぶさる。
 胸には押し当てられた2つの柔らかな膨らみを感じる。

「……んっ」

 ジュリが動くたびに吸い付くようにその形を変化させ、艶かしい声が漏れる。

 長く深い時間の後、離された唇が耳元で言葉を紡ぎだす。
 
「私、初めてだけど、ハウン姉さんに聞いてきたから、私に任せてくれていいよ」

 その夜、僕の心はジュリの香りでいっぱいだった。
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