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 玄関を抜けると、そこは雪国。ではなく、森の中だった。
 周りを見渡してもお隣の家などなく、木、木、木。日本人の感覚からすると富士の樹海遭難中といった感じである。

 窓から見える風景から、家の裏は木が生い茂ってるんだなーとは思っていたが、家の前まで木が生い茂ってるとは思わなかった。
 一応、家の前にはコンビニ程度の面積の土地が開いているが、それ以外はすべて木である。

 いやいや、じーちゃん、ばーちゃん。なんでこんなとこで生活してんだよ!! ……あぁー。猟師だからか。

 色々と風景から詮索していると、じーちゃんが木々の間から、木の台座に藁を丸めたものを乗せた、いかにも的ですって感じのものを持ってきた。

「よぉし、クラッド。この的に矢を射るんじゃ」
「うん。わかったよ。……この辺でいい? じゃー撃つよー」

 僕の指から離れた矢は、直線の軌道を描き、吸い込まれるように的に刺さった。

「ほほほ、この距離なら問題ないかのぉ。よぉし、少し後ろに下がって射るんじゃ」

 そうして、徐々に距離を遠ざけていき、40mくらいのところ、野球の2塁からキャッチャーくらいまでの距離であれば10発中9発はあたることが分かった。
 これ以上の距離では、的に届く前に失速してしまい、極端に命中率が落ちた。

 これからは筋トレもしないとなー。道具を使ってるんだし、イチローのレーザービームくらいにはなりたいな。

「ほほほ、毎日弓を練習してるとは思うておったが、さすがわしの孫じゃてぇ。よし、午後はじじーと狩りに行くからのぉ。ばーばに動きやすい服を選んでもらうんじゃぞ」

 自分としては、まだまだ距離が足りないと感じていたが、どうやら狩り同行許可は貰えたらしい。午後から張り切っていくとしよう。
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