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14 絶叫ドライブ2
しおりを挟む彼との会話の流れから推測すると、わざと振動を与えて反応を確かめているのかもしれない。
純愛主義だと散々アピールしたくせに、やはり竜の加虐製は根本に備わっているじゃないかと文句を言ってやりたくなる。
腹立たしさを言葉に代えず、ぎゅっと自分から抱きき顔を隠すことで相手の望む姿を見せないようにしたリシアの内側で情欲がゆるゆると湧き上がる。
直接擦られたら、すぐに達してしまいそうになっているのは焦らすような接触が繰り返されるせいだった。
体温や体臭を感じながら、互いの性器を認識させられて、抑制を押しのけた熱が広がっていく。媚薬を飲み干したような疼きに堪えるために、リシアは浅い呼吸を繰り返し、意識を他に向けようとした。
アルヴィに対し優位でいられないのは種族差や能力差を考慮すれば当然のことである。
それなのに、翻弄されているのが自分だけという状況に気持ちが追いついていない。
リシアをつけあがらせたのは、この竜が見せてきた献身やひたむきさの類である。
真摯さを裏付ける言動で、リシアを見事に懐柔してしまった男からは、動揺も緊張も感じ取れない。
これではまるで、自分ばかり夢中になってるみたいだと気付いた瞬間、息を潜めていた矜持が存在感を取り戻す。
滲んだ涙を荒っぽく拭い、快楽に溺れそうな自分を奮い立たせたリシアは、涼しい顔をしているアルヴィの背中を拳で叩き悪戯を咎める。
「よく、そんな平然としていられるな」
情欲の炎に身を焦がすのなら、彼を巻き込んでやらなければ気が済まない。リシアは元々淡白で、慎み深い質なのだから。
「雑多な思念に捕らわれていては、転移に支障が出てしまう。術式の固定に集中している間は、君からの誘惑がどんなに魅力的でも僕には通用しない」
状況を冷静に分析するアルヴィはリシアの痴態にまったく心を動かされていない。こちらの乱れる様だけ眺めて平然とされるのは腹立たしかった。
ストリップの真似事でもしてやろうか。反撃のためなら手段がどんなに過激でも構わない。
愛を捧げてきたくせに身体を抱えて交わるような体位を気にしていないなんて、彼の情緒はどこか正しくない。
恋心に振り回されて、冷静沈着でいられないアルヴィの方が可愛げがあるし、御しやすい竜でいてくれないと不安が募る。リシアの言い分は身勝手なものだけれど、手綱はまだこちらにあるはずだった。
「転移した先で、べちゃべちゃに下着を汚している俺を周りに見られてもいいんだな」
「だ、ダメだ」
慌ててリシアの身体を抱え直したアルヴィの焦った表情は演技ではなかった。
そうやって分かりやすく自分に振り回されてくれるのは愉快だった。
独占欲こそが、相手にのめり込んでいる証拠じゃないかと思いながら、リシアは従順な竜に囁きかける。
「俺をこんな風にした責任はとってもらうからな」
「も、勿論だ。君のためなら、何だって」
世界を転覆させるくらい物騒な力を持つ男にそう告げられて、冷ややかな女王然としていられるほど、恋愛の場数を踏んでいない。
自分を見つめる瞳が蕩けているのを確認して、頬をゆっくり撫でる。竜を躾るのは容易くはないが、不可能でもなさそうだとリシアは思う。
どこから眺めてもどんな顔をさせても美しい男が自分に惚れて傅いているなんて、誰もが憧れる場面だろう。
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