神聖守護者

苦い思い出 2

「この子はリュカっていって、そこの孤児院の子なんだ。可愛いだろ？いつもお使い頑張ってるご褒美にクッキーをあげたんだよ。」

「どうして髪を乾かしてるの？」

「泡風呂で遊んでたから」

「私が潔癖症なの知ってるでしょ？知らない子を家にいれないで！しかもお風呂使わすなんて！汚いからやめて！」

怒鳴って言いたい事だけ言って出て行ってしまった。

美味しいクッキーと楽しいお風呂で幸せだっののに一気に気分が沈んだ。

「クッキーとお風呂有難うございました。とっても美味しくて楽しかったです。僕帰ります。」

「ごめんね。妹に悪気があるわけじゃないんだ。重度の潔癖症でね。妹の言った事は忘れて。またお菓子を用意するしお風呂で遊ぼうね。」




それから僕の苦難の日々がはじまった。僕が孤児院から出ると現れる。

「おいチビ！お前ドロボーなんだって？」

「薄汚いドロボー。お兄ちゃんを誘惑して、美味しい思いをしようとする淫乱！うちに近づかないで」

そう、彼の妹が仲間を連れて僕に嫌がらせをするようになった。

「おいチビ！淫乱なら俺たちの相手しろよ。可愛いがってやるぞ」

「お前ほんとに男なのか？きもちわりー男女」

いきなりはじまった嫌がらせに僕は戸惑った。
初めは暴言を吐かれるだけで無視して逃げていた。でもそのうち追いかけられるようになって、押されて転ばされたり、後ろから蹴られたり軽い暴力がはじまった。

お兄さんと話しているのを見られると妹が怒りまくって暴力と暴言を浴びせてくる。潔癖症じゃなくて、酷いブラコンだった。

「チビ！汚い臭い孤児！淫乱すぎて親に捨てられたゴミ。お兄ちゃんに近づくな。死んじゃえ」

かなり酷い事を散々言われた。生キズが増え、お使いの品物がぐちゃぐちゃになってたり、エルザが異変に一番に気がついてくれた。

心配して後をつけ嫌がらせを知って、マザーとバル兄に知らせてくれた。なんと警邏隊に相談に行き、僕が寝ている間に過去見で記憶媒体に記録し抗議したらしい。

嫌がらせはなくなったけど、僕がお使いに行く事がなくなってお兄さんとはそれきりになった。謝罪に来たらしいけど会わせて貰えなかった。孤児院のお風呂事情が2日に一回になった。

僕はチビって言葉は嫌いだ。