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141:三学期と卒業後の目標

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 黒撫子寮では、三学期の目玉行事である魔法トーナメントについて話し合いが行われていた。
 魔法トーナメントとは、魔法を使った生徒同士の対戦を指す。
 対戦は同学年同士だが、寮対抗行事で優勝した寮には大きなポイントが入るというもの。
 一発逆転だって狙える行事だ。
 
 学期の最後に各寮の総合得点発表が行われ、一位だと祝勝旅行へ行ける。
 次の学年からは他校へ編入する予定の私。
 この行事、何が何でも勝って、最後に皆と一緒に旅行に行きたい。
 
 寮の皆には編入の件を話した。
 最初は驚いていたけれど、教師になりたい旨を告げると皆受け入れてくれた。
 というか、Bクラスの面々は、それぞれ既に個人的な目標を立てていた。さすがだ。
 
 ハイネは両親の元を離れるらしい。同意は得ていないが家出するとのこと。
 かなり心配だけれど、聞けば彼女も魔法大国へ行く予定だそうだ。
 なんと、学園を辞めて魔法大国にある魔法使いの総本山、魔法棟で働くという。

 実は彼女、インターンの間に魔法棟の就職試験を受けたのだ。
 そして、学生のうちに世界的な難関試験を通ってしまった。
 配属先は魔法棟の研究機関。
 世界最先端の魔法を生み出したり、様々な魔法アイテムを精選したりする場所らしい。すごい。

 ノアは両親の仕事を継ぐので少し早めに修行期間に入るそうだ。
 ミスティは冒険者になるという。彼女も家出組だ。両親にはまだ内緒らしい。

 ガロはシント魔法学校へ編入することになった。
 このままヨーカー魔法学園に残ってもAクラスに交じってやっていくのは困難だ。
 もともと村に出る魔獣を退治したいという動機があったので、私とカマルがシント魔法学校に渡りを付けた。
 例外的に卒業後の騎士業務が免除されるそうだ。
 彼には、自分の出身地をよくするという明確な目標がある。
 
 それぞれの目標が決まったところで、三学期が始まった。
 黒撫子寮の皆はトーナメントに向けて特訓中だ。
 シュエを初めとした使い魔たちは、揃って惰眠をむさぼっている。
 なんか、茶色の毛玉も混じっているし。
 
(そっとしておこう)
 
 トーナメントとなると、特なのは日頃から戦闘訓練を行っている青桔梗寮の生徒たちだろうか。
 だが、黄水仙寮は魔法アイテムを持ち込んでくるだろうし、頭の良い白百合寮も作戦を立ててくるはずだ。
 そして、なんといっても赤薔薇寮!
 ボードレースの時と同様で一番警戒が必要だ。

(そういえば、最近サリーを見ないな)

 以前はよく絡まれたが、それもなくなり平和である。
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