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124:虹色の欠片の割合

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 エミーリアがいなくなったことで、私やカマルの体調不良は元に戻った。
 彼女は「拒絶反応」や「力を奪ってやる」など、気になる発言をしている。
 けれども、今は話し合える状態ではないよね……
 脅したところで、頑固な精霊が素直に口を割るとは思えない。
 
 今彼女を出すのは危険なので、ヘドロの中に飲み込んだまま魔法を消した。
 ヘドロ魔法は、吸収したものを自由に出せる。一度魔法を消しても、またエミーリアをいつでも取り出せるのだ。
 
 団長には悪いけれど、しばらくはこのままにさせてもらおう……命の危険を感じるので。
 魔法でいつでもエミーリアを出せることや、彼女は無事だということは、彼にきちんと伝えておく。

「いやあ、普段穏やかな人物ほど怒らせると怖いとは、良く言ったものだね」
「ユージン、他人事のように話している場合ではありませんよ」
 
 少し頼りない団長のことは、副団長がいるので大丈夫そうだ。
 私とカマルは、精霊が誘拐されたかもしれない現場へ向かう。
 ドアの外で立ち聞きしていた、シント魔法学校のメンバーも一緒に行くことになった。
 彼らがあのまま大人しくしているとは、私も思わなかったけれど、やっぱり様子を見に来たか……
 
「団長の精霊を飲み込むなんて、アメリーさんの魔法は面白いですね」
「精霊を取り込んでも、隊長や魔力に影響はないのか?」
 
 団長の精霊を飲み込んだにもかかわらず、カディンとシュクレは特に気にしていなさそうだった。

「体調に変化はないよ。魔力は……若干増えている気がする。エミーリアのぶんかな」
「アメリーちゃん。あのね、ジェロームも一緒なんだ。私を心配して、森からついてきちゃって」

 ニキータがいきなり爆弾発言をし、同時にジェロームが姿を現す。
 
「えっ……!?」
「現場を見れば、彼が何かを察知できるかもしれないよ」
「そ、そうだね」

 心配していたけれど、仲間のエミーリアを飲み込んでしまった私に対して、ジェロームが腹を立てることはなかった。あとで出せるからかな?
 それどころか、彼はエミーリアが引き起こした謎の不調について説明してくれる。
「拒絶反応は、君の体に混じっている精霊の部分に、生きている精霊が意図的に干渉することで起きる。精霊は仲間同士の連帯感が強く、他の精霊の力に干渉することが可能なんだ」
「それでは、『力を奪う』というのは?」
「君の中の精霊の力を、干渉を通じて全て引き出そうとしていたのだろう。我々にはそれが可能だ。とはいえ、自分より格上の者の力を奪うのは、かなり難しいのだが」

 恐ろしい話を聞いてしまった。
 
「それにしても、君たち二人の持つ精霊の力は偏っているね」
「どういうこと?」
「そちらの男性の中には、精霊の羽ばかりが詰まっていて、女性の方にはその他の部分が詰まっている」

 私とカマルは、揃って首を傾げる。
 なんだか生々しい話になりそうだと思った。

「精霊は死ぬと結晶になる。結晶は七色で部位によって色が違うんだ。肉は赤、骨は橙、皮膚は黄、髪は緑、血は青、心臓は紫、羽は透明」

 私とカマルの体には、精霊の結晶の痕跡がたくさんあるという。
 人体実験で二人が取り込んだ部位は、異なるようだった。
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