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1巻
1-2
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精霊は、セインガルトという国の王都の東に位置する森の湖でだけ生まれる。昔は別の場所でも生まれたらしいが、最近ではセインガルト国でしか見ないらしい。元の世界風に表現すると、絶滅危惧種なのだろう。
そんな精霊に転生した私は、前世の記憶と加護を頼りに食材を火で炙り、少しの調味料を加えて料理を楽しんでいた。
食材に手を加えることを知らなかった他の精霊たちも、私の料理を受け入れている。
契約前の精霊は、普段森の外に出ることがない。出ようと思えば出られるのだが、彼らはみんな人間に興味を持ちつつも「成人するまで森の外に出てはいけない」という精霊のルールを守っているのだ。
だから彼らは、森の中で唯一料理をする私の存在をとても喜んでくれていた。
けれど、人間――特にこの国の騎士には私の力は必要ないだろう。
ふと外を眺めれば、そこは『精霊の森』とも日本の景色とも違う、馴染みのない人間の世界だ。まだ昼間だからか、城の敷地内にある石造りの道を馬や人が忙しなく行き交っている。
窓から離れた私は、森から持ってきた荷物を床の上に広げた。何かの役に立つかもしれないと、できる限り多くの道具を持ってきていたのだ。
精霊の狩猟道具である弓と狩った獲物を捌くためのナイフ、それに炎石という前世の火打ち石のようなもの。趣味で持ち歩いている岩塩や前世の胡椒に似た小さな木の実と、その他諸々のスパイスやハーブ、もしもの時の手作り携帯食もある。あとは、森付近で拾った人間の使うお金が少し。
(今すぐ役に立ちそうなものは、一つもない)
しばらくすると、城で働く使用人が無言で食事を部屋に置いていった。
日持ちしそうな固いパンと具の少ないスープだ。あまり美味しくなかったので、私は持ってきた調味料でそれらに勝手に味をつける。
この世界の食事情は、日本と異なっていた。
パンが主食で品数が少なく、味付けは塩メインというか塩のみだと、人間と共に過ごしたことのある老精霊――『オジジ』から聞いていた。どうやら、彼の言っていたことは本当で、ここの人間には塩以外の調味料を使うという風習はないらしい。
また、前世と完全に同じ食べ物は、今のところ塩以外見当たらない。
パンは主にコムの実という小麦に似た植物や、イズの実という大豆に似た植物から作られ、ライスはマイの実という植物を使っていた。
もっともこれらの材料は元の世界の小麦や米とほとんど変わらない。
――いつの間にか夜になり、使用人が夕食を持ってくる。
これも米の味が薄く美味しくなかったので、自分で味付けした。前世の赤じそに似た葉と梅に似た実を乾燥したものを混ぜ込み、さっぱりとした後味のおにぎりを五つ仕上げる。
うち二つを食べ、残りは大きな葉に包み、とっておくことにした。今の季節なら常温でも腐ることはない。今、この国は秋だが、こちらの世界は日本よりも涼しいのである。
なぜ、おにぎりを三つ残しておいたかというと、私には、とある考えがあったからだ。
(ここを出て、どこか違う場所で、一人ひっそりと生きていきたい)
そのため、翌日分の食料を用意した。
たとえ偉大な祖先の遺言だとしても、それによって全く得をしない余り者が出るという事態が発生している。
きっと私の契約者はすぐには見つからないだろう。
(このままでは、本当にただのお荷物になってしまう……)
あのジェラールという王太子は、契約相手を探してくれると言っていたが、とても難しそうな顔をしていた。実際、私の契約相手を見つけるのは、厳しいと思う。だから……
(私は、誰も加護できなくていい……前世に引き続き、他人に厄介がられるのは応えるから、やっぱり城を出ていこう)
これは、私にしては思い切った決断だった。
今まで私は、自分から動いて環境を変えようなんて一切してこなかったのだ。現状に不満を覚えつつも、何もしなかった。前世では子供だったという理由があるが……
我慢し続け、成人前にあっさりと交通事故で死んでしまったのだ。何一つ、人生に満足しないまま。
だから、今世は同じ轍を踏まないようにしたい。この選択が正しいのかどうかはわからないが、後悔だけはしたくなかった。
積もり積もった鬱屈した思いが、ついに爆発したのかもしれない。
夜、城の住人が寝静まった頃、私は荷物を持ち、窓から夜空に向かってジャンプした。
精霊には羽根があり、空を飛ぶことができる。さらに、この羽根は自由に収納できるので、普段は目立たない。
幸い、巡回している夜勤の騎士が星空を見上げることはなかった。
こうして私は、たった一人で城を抜け出したのである。
世間知らずの精霊であっても、私には前世の記憶が備わっていた。人に混じって生活していくことは、おそらく困難じゃない。
水色の髪が変といえば変だが、精霊に関わりのない人間からすれば「変わった髪色の人」くらいの認識で済むだろう。
案外簡単に城から脱出できてしまい拍子抜けだが、自由になれたのは嬉しい。
私は煌めく星海の中を羽ばたき、王都の外にある大きな森に降り立った。『精霊の森』に比べると暗くて鬱蒼とした場所だが、ここでなら静かに暮らせそうだ。
人間との契約を放り出した掟破りの私が、元いた『精霊の森』に帰ることはできない。
この森で一人生きていこう。それに当たり、まず必要なのが「衣・食・住」の確保だ。
精霊の食べ物は人間と同じ。
それに私は精霊の中でも狩りが上手だ。料理もできるので「食」については問題ないと思われる。
高い木の幹に腰かけて、少し欠けた青白い月を見上げる。一筋の流れ星を見送った私は、これから訪れる未来に胸を高鳴らせ、ゆっくりと目を閉じたのだった。
二 アマモの森
明け方、ガサガサと何かが茂みを掻き分ける音で、私は目を覚ました。
獣の――それも、『精霊の森』では遭遇したことのないような大きな獣の気配がする。それに混ざって、僅かにだが人間の気配もした。
精霊は人間より感覚が鋭いので、いろいろな気配を察知できるのだ。
(なんだろう? 行ってみよう)
誰かが襲われているのではと気になった私は、獣の気配のする森の入り口へ飛んだ。人間は好きではないが、見捨てて死なれたとなれば後味が悪い。
森は、朝だというのに光が差し込まず、雨が降ったあとなのか地面がしっとりと濡れている。
しばらく進むと、私の目に衝撃的な光景が飛び込んできた。
小柄な曙色の髪の男性が、ぬかるんだ土の上に俯せに倒れている。彼の隣には熊のような大きな獣が大の字になっていた。
(一体どういう状態なんだ、これ……?)
戸惑って固まっていると、男性が小さな声を上げた。
「すみません……何か、食べ物を……」
「えっ?」
声がよく聞こえるように、私は男性のそばへ降り立った。地面に顔を向けている彼に私の姿は見えていないはずだが、気配は感じ取れたようだ。
「どなたかわかりませんが、僕に……食べ物を、恵んでくださいませんか?」
どうやら、彼は腹を空かせているらしい。獣のほうを見ると、腹の部分に大きな切り傷があった。こちらは、すでに絶命している。食べ物をあげるのはいいが、今私が持っているのは、城から持ってきた自作のおにぎりだけだ。
「あの、少ししかないですけど……おにぎりでよければ、どうぞ」
そう言って、荷物袋から三個の梅じそ味おにぎりを出し、彼の顔の近くに持っていく。それに反応して、男性がこちらを向いた。
見えるようになった彼の顔は、かなり整っている。思っていたより齢若い青年だ。
その口元へ、私はそっと梅じそ味おにぎりを差し出した。
「……ありがとう」
「飲み水はないのですが、食べ物だけで大丈夫ですか?」
「大丈夫、鞄の中に水筒があるから……」
弱々しく口を開けた青年は、おにぎりを一口齧る。そして……金色の目を見開くと、二口三口と猛烈な勢いで食べ始めた。すぐに彼の手が動き、私の持っている二個目のおにぎりを掴む。
「……美味しい」
彼は、恐るべきスピードで三個のおにぎりを完食した。
「……ごちそうさま」
ごそごそと起き上がり、鞄の中から水を取り出す青年。その姿は先ほどとはうって変わって元気だ。その笑顔に心が優しくなる。
ただ単に空腹だっただけで怪我はなさそうなので、私はほっと息を吐いた。
「あ、あの、では、私はこれで……失礼します」
「待って! 何か、お礼を……!」
青年はそう言うが、特にお礼をもらいたいとは思っていない。自分の作ったものを食べて嬉しそうにしてくれただけで充分だ。それに見たところ、彼の荷物は少ししかなさそうだった。そんな人間から物を奪うほど私は強欲ではない。
(どうしようかな……あ、そうだ。いいことを思いついた)
彼にあげてしまったせいで、私の朝ご飯が消えてしまった。何か代わりになる食べ物が欲しい。
「あの、それなら、この倒れている獣の肉をちょっとだけいただけませんか?」
「えっ!? 別にいいけど……これ、まさか食べるの!?」
「食べられると思いますよ」
森で暮らす精霊は、食べ物に対する勘が働く。特に、『料理』の加護を持つ私は、食べられる獣や木の実、キノコなどを瞬時に見極めることができる。
その力が私に告げていた、この獣は美味しい……と!
「だったら、もちろんいいけど……」
青年は恐る恐るというふうに頷く。
私は荷物袋からナイフを取り出し、さっそく獣の血抜きを始めた。
まずは、顔から足の付け根までをまっすぐに切り開く。続いて、手足も同様に切り開き全体の皮を剥いだ。胴体部分から内臓を取り出したあと、一番美味しそうな背中部分の肉を切り取る。
欲張っても一人で持ち運べない上に腐らせるだけなので、三食分にとどめておいた。
(一食分は今から調理して、残りは干して保存食にしよう。そのためには、夜露をしのげて肉を干せる場所が必要だけれど)
住む場所は、まだ決めていない。精霊に家は必要ないが、雨風が当たらない場所くらいは欲しいところだ。
ちなみに、以前の森では巨大樹のウロの中で暮らしていた。
その巨大樹の中は八畳くらいの広さがあり、雨漏りもなく快適だったのだ。足元には、獣の皮で作ったラグを敷き、家具類は森で集めた植物をそのまま使ったり、工作系の加護のある精霊に作ってもらったりしていた。
とはいえ、前世での人間生活の記憶がある私は、毎日野宿という環境に抵抗がある。
(家を探さなきゃな……でも、まずは朝ご飯を食べたい)
肉を手にし、その場を離れようとした私に、青年が焦ったように声を上げた。
「ちょっと、どこへ行くの!? 森の奥は危ないよ! この凶暴な獣は僕が退治したけれど、まだ似たようなのがいるかもしれない」
「平気です。森は慣れているし、大型の獣の気配はしません。万が一獣が出ても、狩ればいいだけでしょう?」
「……な、何を言っているの? 正気!?」
優しそうな青年は必死で私を止めようとするが、面倒事を避けたい私は、彼の手をすり抜けて全速力で森の奥へ逃げた。
(危険な獣の気配はないし、あの人をあそこに置いていっても大丈夫だよね?)
彼が倒れていた場所は森の入り口に近いので、ゆっくり歩いても半日とかからずに外へ出られるだろう。ちなみに、私が走っている場所も、まだ森の端のほうだった。
(このまま直進すれば森の反対側に出られるのかな)
今、森の深部へ進む気はない。木の少ない場所で火を熾し、肉を焼いて食べるつもりだからだ。
しばらく走ると、川が流れている場所に出た。河原には丸く白い石がごろごろ転がっている。そこに森で採ってきた枯れ木を並べ、荷物の中から炎石を出した私はカチカチと火をつけた。
(森が湿っているせいかな、なかなかつかない)
着火に苦戦した私は、『精霊の森』にいる『オジジ』のことを思い出していた。
契約した騎士の死亡により自由になったその老精霊の加護は『火つけ』なのだ。彼はどんな場所でも道具を使わず簡単に火をつけることができた。私は、よく彼に火熾しを手伝ってもらったものだ。
しばらく奮闘した末、ようやく枯れ木全体に火が燃え広がる。燃えにくそうな木の枝にナイフで切った肉を刺した私は、直火でそれを炙り、持っていた塩とスパイスで味付けをしていった。胡椒に似た木の実が大活躍だ。
肉の焼けるとてもよい匂いが、森中に広がった。ジュウジュウと音を立てて、脂身から透明な汁がこぼれ落ちていく。
近くに生えていた見慣れないキノコが食べられそうだったので、川の水で洗って根元部分を切り落とし、そのまま火にかけた。
そして、バターに似た味を出す木の実を割ってふりかける。この世界は、調理しがいのある不思議な食べ物に溢れていた。
(何より、森なら簡単に食べ物が手に入るところが素敵だよね)
出来上がった料理から、白い湯気が上がっている。
木の枝に刺した肉に齧りついた私は、思わず笑顔になった。焼き加減が絶妙なミディアムの肉は噛むたびにジューシーな汁を出す。
(美味しい。獣独特の臭みがなくて、高級和牛のような味だ)
キノコも香ばしくてバター風味が非常に合う。
そんなふうに一人で食事を楽しんでいると、近くで人の足音が聞こえた。
少しおぼつかない足取りなので、先ほどの男性とは別の人間だろう。その者はだんだん近づいてくる。
「誰……?」
少し迷ったが、私は食事を続けた。もし危ない人間であれば、空を飛んで逃げればいい。あれだけ頼りない歩行の者ならばたやすく逃げられる。
しばらくすると、川下にその人間が現れた。
「いい匂いがするのう」
白く長いひげを生やした老人だ。彼は、そわそわと落ち着きなく私を見つめ、白い眉毛で隠れている目で強く何かを訴えてきた。
「本当に、いい匂いだのう……うまそうな肉の匂いだのう」
もしかすると、先ほど助けた青年のように、この老人も腹を空かせているのかもしれない。この国には、空腹な人間が多いようだ。
「あの、よかったら食べますか?」
幸い肉は多めにもらったし、キノコは周囲にたくさん生えているから、あげても問題ない。ためらいながらも提案すると、老人は満面の笑みを浮かべた。
それを受けて、私はまだ燃えている焚き火で再び肉とキノコを焼く。
「いやあ、薬草を採りに森に入ったら、良い匂いがしてきてのう……思わず引き寄せられてしまった」
焼き上がった肉とキノコを口にした老人は、上機嫌で喋り出した。
「それにしても、うまいのう! 今まで生きてきてこんな食べ物は食べたことがない!」
彼は年齢を感じさせない見事な食べっぷりで、あっという間に肉とキノコを完食する。
(歳をとった人って、脂の乗った肉は苦手と思っていたけれど……そうでもないのかな?)
前世の世界とこの世界とでは、人間の内臓のつくりが違うのかもしれない。
オリジナルで味付けをした肉とキノコを老人が美味しそうに食べたことで、私は少し嬉しくなった。自分という存在が彼に受け入れられたと思えたのだ。
キノコを食べ終えた老人は、上機嫌で話を続ける。
「わしは、この近くにあるホワイ村の村長をしておってのう。このアマモの森にはよく来るのじゃが……森に生えているキノコが、こんなにもうまくなるとは知らなかったわい」
「この森はアマモの森というんですね。それにしても、近くに、村があるのですか?」
「ああ、この川を下った先じゃ。それほど遠くない……ところでお前さんは、どうしてこんな森の中にいるのじゃ? 女の子が一人で危険じゃぞ、最近は凶暴な獣が出ているから、街の冒険者に討伐依頼を出しておる」
「冒険者?」
「そうじゃ。人々を困らせる獰猛な害獣を退治したり、普通の人間がたどり着けない場所にある珍しいアイテムを取りにいったり……そういう仕事をしている者の総称じゃよ」
「ふぅん、そうなのですね。ところで、あなたは、この森に詳しいのですか?」
「ああ。なんせ、この森と共に八十年近く生きてきたからのう」
そう答える彼は、誇らしげだ。きっと、この森について相当の知識を持っているのだろう。
森に詳しい人間に出会えたことは、都合がよかった。
「あの……でしたら、この近くにウロのある大きな木や、人が入れそうな洞窟はありますか?」
そう聞くと、老人は顔を上げてまじまじと私を見つめる。
「――今気がついたが……お前さん、人間じゃないな? 精霊か……?」
彼の言葉に、私はハッとした。
(迂闊だった!)
明らかに、今の私の発言は問題だ。
普通の人間は、木のウロや洞窟に住まないので、そんなものに興味がない。長い間精霊として暮らしてきたせいで、その辺りの感覚が麻痺してしまっていた。
精霊とわかったからといって迫害されることはないと思うが、私は城から脱走中の身――
(本当に私って馬鹿すぎる! でも、どうしてこの人は、今の発言だけで私が精霊だと言い当てたの?)
人々は精霊の存在を知ってはいるものの、森の中にいるか、騎士や国の上層部の人間としか行動しないと思っている。それほど一般庶民の目に触れることは少ないのだ。
逃げようと踵を返す私に、老人が慌てて声をかける。
「待ちなさい。巨大な木や洞窟はないが、森の入り口付近に使っていない狩猟小屋がある。そこなら、自由にしてくれて構わんよ」
「えっ?」
「警戒しなくても大丈夫じゃ。わしの村の周囲で、お前さんに危害を加える者はいない。どうやら行くところがなくて困っているように見えるが、村に来てもらってもよいのじゃぞ?」
ありがたい提案だが、彼を信じきることはできない。人間の中には、平気で嘘をつく強欲な者がいる。前世の私は多少なりとも、その被害に遭ってきた。
「お気持ちはありがたいのですが、私は……」
「なに、気にしなくてもいいぞ。その代わり――」
老人が私の話を遮った。一体何を要求されるのだろうと不安に思った私は、ビクビクしながら体を硬くする。
しかし、続く彼の言葉は意外なものだった。
「またうまいものを見つけたら、ご馳走してほしい。お前さんの料理した肉とキノコは、本当に美味しかった……狩猟小屋は、わしを幸せな気分にしてくれた礼じゃ。それに、あの小屋は持ち主が亡くなって朽ちていくばかりでな。誰かが住んで、建物を維持してくれたらありがたい」
「でも……」
「もし気に入らなかったら、いつでも出ていってくれ。まあ、無理強いはせんよ……精霊に強制なんてできないがな」
彼の言う通り、契約していない精霊を無理に人間に従わせるのは難しいだろう。何かあれば、飛んで逃げられる上に、たいていの精霊は人間よりも力が強い。たとえ、私のようなか弱い女でも一対一であれば負けることはないはずだ。
「見るだけ小屋を見てみたらどうじゃ?」
老人の言葉に、私は迷いながら頷いた。
「わかりました……よろしくお願いします」
住むところは欲しいし、彼の言うように気に入らなければ出ていけばいいだけだ。それに自分の料理で幸せになった礼だという言葉が嬉しい。
私は、老人に狩猟小屋へ案内してもらうことにした。
そんな精霊に転生した私は、前世の記憶と加護を頼りに食材を火で炙り、少しの調味料を加えて料理を楽しんでいた。
食材に手を加えることを知らなかった他の精霊たちも、私の料理を受け入れている。
契約前の精霊は、普段森の外に出ることがない。出ようと思えば出られるのだが、彼らはみんな人間に興味を持ちつつも「成人するまで森の外に出てはいけない」という精霊のルールを守っているのだ。
だから彼らは、森の中で唯一料理をする私の存在をとても喜んでくれていた。
けれど、人間――特にこの国の騎士には私の力は必要ないだろう。
ふと外を眺めれば、そこは『精霊の森』とも日本の景色とも違う、馴染みのない人間の世界だ。まだ昼間だからか、城の敷地内にある石造りの道を馬や人が忙しなく行き交っている。
窓から離れた私は、森から持ってきた荷物を床の上に広げた。何かの役に立つかもしれないと、できる限り多くの道具を持ってきていたのだ。
精霊の狩猟道具である弓と狩った獲物を捌くためのナイフ、それに炎石という前世の火打ち石のようなもの。趣味で持ち歩いている岩塩や前世の胡椒に似た小さな木の実と、その他諸々のスパイスやハーブ、もしもの時の手作り携帯食もある。あとは、森付近で拾った人間の使うお金が少し。
(今すぐ役に立ちそうなものは、一つもない)
しばらくすると、城で働く使用人が無言で食事を部屋に置いていった。
日持ちしそうな固いパンと具の少ないスープだ。あまり美味しくなかったので、私は持ってきた調味料でそれらに勝手に味をつける。
この世界の食事情は、日本と異なっていた。
パンが主食で品数が少なく、味付けは塩メインというか塩のみだと、人間と共に過ごしたことのある老精霊――『オジジ』から聞いていた。どうやら、彼の言っていたことは本当で、ここの人間には塩以外の調味料を使うという風習はないらしい。
また、前世と完全に同じ食べ物は、今のところ塩以外見当たらない。
パンは主にコムの実という小麦に似た植物や、イズの実という大豆に似た植物から作られ、ライスはマイの実という植物を使っていた。
もっともこれらの材料は元の世界の小麦や米とほとんど変わらない。
――いつの間にか夜になり、使用人が夕食を持ってくる。
これも米の味が薄く美味しくなかったので、自分で味付けした。前世の赤じそに似た葉と梅に似た実を乾燥したものを混ぜ込み、さっぱりとした後味のおにぎりを五つ仕上げる。
うち二つを食べ、残りは大きな葉に包み、とっておくことにした。今の季節なら常温でも腐ることはない。今、この国は秋だが、こちらの世界は日本よりも涼しいのである。
なぜ、おにぎりを三つ残しておいたかというと、私には、とある考えがあったからだ。
(ここを出て、どこか違う場所で、一人ひっそりと生きていきたい)
そのため、翌日分の食料を用意した。
たとえ偉大な祖先の遺言だとしても、それによって全く得をしない余り者が出るという事態が発生している。
きっと私の契約者はすぐには見つからないだろう。
(このままでは、本当にただのお荷物になってしまう……)
あのジェラールという王太子は、契約相手を探してくれると言っていたが、とても難しそうな顔をしていた。実際、私の契約相手を見つけるのは、厳しいと思う。だから……
(私は、誰も加護できなくていい……前世に引き続き、他人に厄介がられるのは応えるから、やっぱり城を出ていこう)
これは、私にしては思い切った決断だった。
今まで私は、自分から動いて環境を変えようなんて一切してこなかったのだ。現状に不満を覚えつつも、何もしなかった。前世では子供だったという理由があるが……
我慢し続け、成人前にあっさりと交通事故で死んでしまったのだ。何一つ、人生に満足しないまま。
だから、今世は同じ轍を踏まないようにしたい。この選択が正しいのかどうかはわからないが、後悔だけはしたくなかった。
積もり積もった鬱屈した思いが、ついに爆発したのかもしれない。
夜、城の住人が寝静まった頃、私は荷物を持ち、窓から夜空に向かってジャンプした。
精霊には羽根があり、空を飛ぶことができる。さらに、この羽根は自由に収納できるので、普段は目立たない。
幸い、巡回している夜勤の騎士が星空を見上げることはなかった。
こうして私は、たった一人で城を抜け出したのである。
世間知らずの精霊であっても、私には前世の記憶が備わっていた。人に混じって生活していくことは、おそらく困難じゃない。
水色の髪が変といえば変だが、精霊に関わりのない人間からすれば「変わった髪色の人」くらいの認識で済むだろう。
案外簡単に城から脱出できてしまい拍子抜けだが、自由になれたのは嬉しい。
私は煌めく星海の中を羽ばたき、王都の外にある大きな森に降り立った。『精霊の森』に比べると暗くて鬱蒼とした場所だが、ここでなら静かに暮らせそうだ。
人間との契約を放り出した掟破りの私が、元いた『精霊の森』に帰ることはできない。
この森で一人生きていこう。それに当たり、まず必要なのが「衣・食・住」の確保だ。
精霊の食べ物は人間と同じ。
それに私は精霊の中でも狩りが上手だ。料理もできるので「食」については問題ないと思われる。
高い木の幹に腰かけて、少し欠けた青白い月を見上げる。一筋の流れ星を見送った私は、これから訪れる未来に胸を高鳴らせ、ゆっくりと目を閉じたのだった。
二 アマモの森
明け方、ガサガサと何かが茂みを掻き分ける音で、私は目を覚ました。
獣の――それも、『精霊の森』では遭遇したことのないような大きな獣の気配がする。それに混ざって、僅かにだが人間の気配もした。
精霊は人間より感覚が鋭いので、いろいろな気配を察知できるのだ。
(なんだろう? 行ってみよう)
誰かが襲われているのではと気になった私は、獣の気配のする森の入り口へ飛んだ。人間は好きではないが、見捨てて死なれたとなれば後味が悪い。
森は、朝だというのに光が差し込まず、雨が降ったあとなのか地面がしっとりと濡れている。
しばらく進むと、私の目に衝撃的な光景が飛び込んできた。
小柄な曙色の髪の男性が、ぬかるんだ土の上に俯せに倒れている。彼の隣には熊のような大きな獣が大の字になっていた。
(一体どういう状態なんだ、これ……?)
戸惑って固まっていると、男性が小さな声を上げた。
「すみません……何か、食べ物を……」
「えっ?」
声がよく聞こえるように、私は男性のそばへ降り立った。地面に顔を向けている彼に私の姿は見えていないはずだが、気配は感じ取れたようだ。
「どなたかわかりませんが、僕に……食べ物を、恵んでくださいませんか?」
どうやら、彼は腹を空かせているらしい。獣のほうを見ると、腹の部分に大きな切り傷があった。こちらは、すでに絶命している。食べ物をあげるのはいいが、今私が持っているのは、城から持ってきた自作のおにぎりだけだ。
「あの、少ししかないですけど……おにぎりでよければ、どうぞ」
そう言って、荷物袋から三個の梅じそ味おにぎりを出し、彼の顔の近くに持っていく。それに反応して、男性がこちらを向いた。
見えるようになった彼の顔は、かなり整っている。思っていたより齢若い青年だ。
その口元へ、私はそっと梅じそ味おにぎりを差し出した。
「……ありがとう」
「飲み水はないのですが、食べ物だけで大丈夫ですか?」
「大丈夫、鞄の中に水筒があるから……」
弱々しく口を開けた青年は、おにぎりを一口齧る。そして……金色の目を見開くと、二口三口と猛烈な勢いで食べ始めた。すぐに彼の手が動き、私の持っている二個目のおにぎりを掴む。
「……美味しい」
彼は、恐るべきスピードで三個のおにぎりを完食した。
「……ごちそうさま」
ごそごそと起き上がり、鞄の中から水を取り出す青年。その姿は先ほどとはうって変わって元気だ。その笑顔に心が優しくなる。
ただ単に空腹だっただけで怪我はなさそうなので、私はほっと息を吐いた。
「あ、あの、では、私はこれで……失礼します」
「待って! 何か、お礼を……!」
青年はそう言うが、特にお礼をもらいたいとは思っていない。自分の作ったものを食べて嬉しそうにしてくれただけで充分だ。それに見たところ、彼の荷物は少ししかなさそうだった。そんな人間から物を奪うほど私は強欲ではない。
(どうしようかな……あ、そうだ。いいことを思いついた)
彼にあげてしまったせいで、私の朝ご飯が消えてしまった。何か代わりになる食べ物が欲しい。
「あの、それなら、この倒れている獣の肉をちょっとだけいただけませんか?」
「えっ!? 別にいいけど……これ、まさか食べるの!?」
「食べられると思いますよ」
森で暮らす精霊は、食べ物に対する勘が働く。特に、『料理』の加護を持つ私は、食べられる獣や木の実、キノコなどを瞬時に見極めることができる。
その力が私に告げていた、この獣は美味しい……と!
「だったら、もちろんいいけど……」
青年は恐る恐るというふうに頷く。
私は荷物袋からナイフを取り出し、さっそく獣の血抜きを始めた。
まずは、顔から足の付け根までをまっすぐに切り開く。続いて、手足も同様に切り開き全体の皮を剥いだ。胴体部分から内臓を取り出したあと、一番美味しそうな背中部分の肉を切り取る。
欲張っても一人で持ち運べない上に腐らせるだけなので、三食分にとどめておいた。
(一食分は今から調理して、残りは干して保存食にしよう。そのためには、夜露をしのげて肉を干せる場所が必要だけれど)
住む場所は、まだ決めていない。精霊に家は必要ないが、雨風が当たらない場所くらいは欲しいところだ。
ちなみに、以前の森では巨大樹のウロの中で暮らしていた。
その巨大樹の中は八畳くらいの広さがあり、雨漏りもなく快適だったのだ。足元には、獣の皮で作ったラグを敷き、家具類は森で集めた植物をそのまま使ったり、工作系の加護のある精霊に作ってもらったりしていた。
とはいえ、前世での人間生活の記憶がある私は、毎日野宿という環境に抵抗がある。
(家を探さなきゃな……でも、まずは朝ご飯を食べたい)
肉を手にし、その場を離れようとした私に、青年が焦ったように声を上げた。
「ちょっと、どこへ行くの!? 森の奥は危ないよ! この凶暴な獣は僕が退治したけれど、まだ似たようなのがいるかもしれない」
「平気です。森は慣れているし、大型の獣の気配はしません。万が一獣が出ても、狩ればいいだけでしょう?」
「……な、何を言っているの? 正気!?」
優しそうな青年は必死で私を止めようとするが、面倒事を避けたい私は、彼の手をすり抜けて全速力で森の奥へ逃げた。
(危険な獣の気配はないし、あの人をあそこに置いていっても大丈夫だよね?)
彼が倒れていた場所は森の入り口に近いので、ゆっくり歩いても半日とかからずに外へ出られるだろう。ちなみに、私が走っている場所も、まだ森の端のほうだった。
(このまま直進すれば森の反対側に出られるのかな)
今、森の深部へ進む気はない。木の少ない場所で火を熾し、肉を焼いて食べるつもりだからだ。
しばらく走ると、川が流れている場所に出た。河原には丸く白い石がごろごろ転がっている。そこに森で採ってきた枯れ木を並べ、荷物の中から炎石を出した私はカチカチと火をつけた。
(森が湿っているせいかな、なかなかつかない)
着火に苦戦した私は、『精霊の森』にいる『オジジ』のことを思い出していた。
契約した騎士の死亡により自由になったその老精霊の加護は『火つけ』なのだ。彼はどんな場所でも道具を使わず簡単に火をつけることができた。私は、よく彼に火熾しを手伝ってもらったものだ。
しばらく奮闘した末、ようやく枯れ木全体に火が燃え広がる。燃えにくそうな木の枝にナイフで切った肉を刺した私は、直火でそれを炙り、持っていた塩とスパイスで味付けをしていった。胡椒に似た木の実が大活躍だ。
肉の焼けるとてもよい匂いが、森中に広がった。ジュウジュウと音を立てて、脂身から透明な汁がこぼれ落ちていく。
近くに生えていた見慣れないキノコが食べられそうだったので、川の水で洗って根元部分を切り落とし、そのまま火にかけた。
そして、バターに似た味を出す木の実を割ってふりかける。この世界は、調理しがいのある不思議な食べ物に溢れていた。
(何より、森なら簡単に食べ物が手に入るところが素敵だよね)
出来上がった料理から、白い湯気が上がっている。
木の枝に刺した肉に齧りついた私は、思わず笑顔になった。焼き加減が絶妙なミディアムの肉は噛むたびにジューシーな汁を出す。
(美味しい。獣独特の臭みがなくて、高級和牛のような味だ)
キノコも香ばしくてバター風味が非常に合う。
そんなふうに一人で食事を楽しんでいると、近くで人の足音が聞こえた。
少しおぼつかない足取りなので、先ほどの男性とは別の人間だろう。その者はだんだん近づいてくる。
「誰……?」
少し迷ったが、私は食事を続けた。もし危ない人間であれば、空を飛んで逃げればいい。あれだけ頼りない歩行の者ならばたやすく逃げられる。
しばらくすると、川下にその人間が現れた。
「いい匂いがするのう」
白く長いひげを生やした老人だ。彼は、そわそわと落ち着きなく私を見つめ、白い眉毛で隠れている目で強く何かを訴えてきた。
「本当に、いい匂いだのう……うまそうな肉の匂いだのう」
もしかすると、先ほど助けた青年のように、この老人も腹を空かせているのかもしれない。この国には、空腹な人間が多いようだ。
「あの、よかったら食べますか?」
幸い肉は多めにもらったし、キノコは周囲にたくさん生えているから、あげても問題ない。ためらいながらも提案すると、老人は満面の笑みを浮かべた。
それを受けて、私はまだ燃えている焚き火で再び肉とキノコを焼く。
「いやあ、薬草を採りに森に入ったら、良い匂いがしてきてのう……思わず引き寄せられてしまった」
焼き上がった肉とキノコを口にした老人は、上機嫌で喋り出した。
「それにしても、うまいのう! 今まで生きてきてこんな食べ物は食べたことがない!」
彼は年齢を感じさせない見事な食べっぷりで、あっという間に肉とキノコを完食する。
(歳をとった人って、脂の乗った肉は苦手と思っていたけれど……そうでもないのかな?)
前世の世界とこの世界とでは、人間の内臓のつくりが違うのかもしれない。
オリジナルで味付けをした肉とキノコを老人が美味しそうに食べたことで、私は少し嬉しくなった。自分という存在が彼に受け入れられたと思えたのだ。
キノコを食べ終えた老人は、上機嫌で話を続ける。
「わしは、この近くにあるホワイ村の村長をしておってのう。このアマモの森にはよく来るのじゃが……森に生えているキノコが、こんなにもうまくなるとは知らなかったわい」
「この森はアマモの森というんですね。それにしても、近くに、村があるのですか?」
「ああ、この川を下った先じゃ。それほど遠くない……ところでお前さんは、どうしてこんな森の中にいるのじゃ? 女の子が一人で危険じゃぞ、最近は凶暴な獣が出ているから、街の冒険者に討伐依頼を出しておる」
「冒険者?」
「そうじゃ。人々を困らせる獰猛な害獣を退治したり、普通の人間がたどり着けない場所にある珍しいアイテムを取りにいったり……そういう仕事をしている者の総称じゃよ」
「ふぅん、そうなのですね。ところで、あなたは、この森に詳しいのですか?」
「ああ。なんせ、この森と共に八十年近く生きてきたからのう」
そう答える彼は、誇らしげだ。きっと、この森について相当の知識を持っているのだろう。
森に詳しい人間に出会えたことは、都合がよかった。
「あの……でしたら、この近くにウロのある大きな木や、人が入れそうな洞窟はありますか?」
そう聞くと、老人は顔を上げてまじまじと私を見つめる。
「――今気がついたが……お前さん、人間じゃないな? 精霊か……?」
彼の言葉に、私はハッとした。
(迂闊だった!)
明らかに、今の私の発言は問題だ。
普通の人間は、木のウロや洞窟に住まないので、そんなものに興味がない。長い間精霊として暮らしてきたせいで、その辺りの感覚が麻痺してしまっていた。
精霊とわかったからといって迫害されることはないと思うが、私は城から脱走中の身――
(本当に私って馬鹿すぎる! でも、どうしてこの人は、今の発言だけで私が精霊だと言い当てたの?)
人々は精霊の存在を知ってはいるものの、森の中にいるか、騎士や国の上層部の人間としか行動しないと思っている。それほど一般庶民の目に触れることは少ないのだ。
逃げようと踵を返す私に、老人が慌てて声をかける。
「待ちなさい。巨大な木や洞窟はないが、森の入り口付近に使っていない狩猟小屋がある。そこなら、自由にしてくれて構わんよ」
「えっ?」
「警戒しなくても大丈夫じゃ。わしの村の周囲で、お前さんに危害を加える者はいない。どうやら行くところがなくて困っているように見えるが、村に来てもらってもよいのじゃぞ?」
ありがたい提案だが、彼を信じきることはできない。人間の中には、平気で嘘をつく強欲な者がいる。前世の私は多少なりとも、その被害に遭ってきた。
「お気持ちはありがたいのですが、私は……」
「なに、気にしなくてもいいぞ。その代わり――」
老人が私の話を遮った。一体何を要求されるのだろうと不安に思った私は、ビクビクしながら体を硬くする。
しかし、続く彼の言葉は意外なものだった。
「またうまいものを見つけたら、ご馳走してほしい。お前さんの料理した肉とキノコは、本当に美味しかった……狩猟小屋は、わしを幸せな気分にしてくれた礼じゃ。それに、あの小屋は持ち主が亡くなって朽ちていくばかりでな。誰かが住んで、建物を維持してくれたらありがたい」
「でも……」
「もし気に入らなかったら、いつでも出ていってくれ。まあ、無理強いはせんよ……精霊に強制なんてできないがな」
彼の言う通り、契約していない精霊を無理に人間に従わせるのは難しいだろう。何かあれば、飛んで逃げられる上に、たいていの精霊は人間よりも力が強い。たとえ、私のようなか弱い女でも一対一であれば負けることはないはずだ。
「見るだけ小屋を見てみたらどうじゃ?」
老人の言葉に、私は迷いながら頷いた。
「わかりました……よろしくお願いします」
住むところは欲しいし、彼の言うように気に入らなければ出ていけばいいだけだ。それに自分の料理で幸せになった礼だという言葉が嬉しい。
私は、老人に狩猟小屋へ案内してもらうことにした。
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