遠吠え

なぜ！！

「あの人結婚したらしいよ
このことあんたに伝えておこうと思って」
彼女は私の心にとどめを刺し
高らかに笑っている

私にはかつて大切なひとがいた
二人で生きていく姿を二人で描きながら
同じ想いを抱けることを喜びあった
人生で一番幸せな日々だった

私達の幸せの実は少しずつ色づき
やがて赤く色づきはじめた
二人で何度も何度も眺めては
「もうすぐだね」と笑い合った
大切にその実を守っていた

幸せの実を二人で手に取る
あともう少しのところで
彼女がその実を切り落としたんだ

今　目の前で高らかに笑う彼女が

そうして二人を
二度と会えないように
二人で歩いたその道を
真っ二つに引き裂いた

そして傷ついた私に
「夢は見るな
今のままでいいんだ」
と何度も何度も繰り返した

彼のいた場所に
自分の愛情を住みかせようとでもするかのように
彼女は愛情を押し付けてきた
そして従順さをも強要してきた

長い時間をかけてやっと私は
一人の道を歩きだそうと立ち上がった

ふらふらと歩き
淋しさに立ち止まり　
空を見上げては　また歩気出す日々

少しずつでも立ち直らなきゃ
私　がんばらなきゃ

そう心を奮い立たせている心に
彼女はとどめを刺したんだ

私は力なく膝から崩れた

彼女は上から見下ろしながら
高らかに笑っている

その私の一番嫌いな目
嬉しそうに　意地悪そうに
喜び溢れた目で
生きながら私が崩れ倒れゆくのを
今も私をずっと見つめ続けている

ねぇ教えて
私をこの世に産み落とし
この道を与えたあなたが
なぜ私の幸せをいつも壊していくのですか？

なぜ　なぜ！！